司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日公告(2)

2010-05-10 19:34:24 | 会社法(改正商法等)
 三井不動産株式会社が、平成20年7月31日,簡易吸収分割を実施するにあたり,株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日を定め、その旨の公告(会社法第124条第3項)を行ったことがある。

 上場企業が簡易組織再編を行うに当たってのスタンダードになるものと思っていたが,利用例は,思ったほど多くはないようである。

 ローソンが「簡易株式交換及び基準日設定公告」を行っている。
http://www.lawson.co.jp/koukoku/pdf/p1004142.pdf
「この株式交換に係る株式買取請求権を行使することができる株主を確定するため、平成22年4月29日を基準日と定め、同日の最終の株主名簿に記録された株主をもって、上記株式買取請求権を行使することができる株主といたします。」

 手堅い手法であり,株主数が多い上場企業は,特に活用すべきである。

cf. 平成20年9月4日付「株式買取請求権を行使することができる株主を確定するための基準日公告」
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「戸籍法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について

2010-05-10 17:20:25 | 司法書士(改正不動産登記法等)
「戸籍法施行規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080066&Mode=2

 いろいろ意見が出ている。

cf. 平成22年5月6日付「除籍簿の保存期間が150年に」
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法制審議会会社法制部会第1回会議(平成22年4月28日開催)の議事概要等

2010-05-10 14:29:34 | 会社法(改正商法等)
法制審議会会社法制部会第1回会議(平成22年4月28日開催)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900013.html

 第1回会議の議事概要等が公表されている。

「事務当局から,配布資料について説明がされた後,フリー・トーキングの形式により,企業統治の在り方や親子会社に関する規律等についての指摘の背景や,会社法制の見直しの要否,範囲,方向性等について,意見交換が行われた。」

 議事録は,追って公開されるようであるが,「会社法制の見直しの要否,範囲,方向性等について,意見交換」は,どういう感じだったのであろうか。


 なお,添付省略となっている資料は,次のとおりである。

参考資料3 金融審議会金融分科会 我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ報告~上場会社等のコーポレート・ガバナンスの強化に向けて~
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20090617-1.html

参考資料4 企業統治研究会報告書
http://www.meti.go.jp/report/data/g90617bj.html

参考資料5 民主党公開会社法プロジェクトチーム「公開会社法(仮称)制定に向けて」
http://www.nikkei.co.jp/hensei/comp09/pdf/comp09_2.pdf
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将来の金の価格は消費者契約法第4条第2項本文にいう『重要事項』に当たるか

2010-05-10 09:07:25 | 消費者問題
平成22年3月30日最高裁第三小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=80043&hanreiKbn=01

「金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう『重要事項』に当たらない」

 将来における金の価格が,消費者契約法第4条第4項第1号にいう「目的となるものの質」に当たるか否かが争点となっており,札幌高裁は,肯定し,同条第2項本文の「重要事項」に当たるとしたが,最高裁は,これを否定する判断をしたものである。
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不公正なファイナンス

2010-05-10 08:50:48 | 会社法(改正商法等)
 本日の日経朝刊に,「(法務インサイド)「不公正ファイナンス」摘発相次ぐ 現物出資など新手口が横行 証券監視委、“大物”を続々告発 増資した資金、すぐに流出 過去の資金使途確認を 」がある。

 「新たな手口として『現物出資や株主割当の悪用、割当株式の短期譲渡』など」が挙げられるそうだ。

 特に不動産を現物出資する場合に,「会社法第199条第1項第3号の価額」を高く設定することにより,引受人は,不当に安く株式を手に入れ,当該株式を市場で売却して利益を得ているようである。

 ただし,この場合,引受人は,会社法第212条第1項第2号の規定により差額に相当する額を支払う義務を負うし,当該募集株式の引受人の募集に関する職務を行った業務執行取締役や取締役会に議案を提案した取締役等も同様に支払義務を負う。また,資本金の額の計上を「時価」で行っていないと考えられるので,電磁的公正証書原本等不実記録罪(刑法第157条第1項)にも該当し得る。

 また,ライツイシュー(新株予約権の無償割当てを利用した増資)によるものとして,実例はまだないが,割当価格を株価より高く設定することで一部の大株主だけが応じるようにして,支配株主を変更するといった手口が考えられるようである。

 ただし,この場合,権利行使をしない株主は,当該新株予約権を市場で売却するので,必ずしも特定の株主だけが権利行使することになるとは限らない。募集株式の発行等を株主割当てで行う手口が用いられるであろう。
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