司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

福島県司法書士会調停センター

2010-05-19 14:40:43 | 司法書士(改正不動産登記法等)
朝日新聞記事
http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000001005170005

 今年3月の開設以降,相談6件、そのうち調停申立てに進んだのは2件とのことである。
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「一時会計監査人の職務を行うべき者」の選任

2010-05-19 12:03:59 | 会社法(改正商法等)
 監査役会設置会社の会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において,遅滞なく会計監査人が選任されないときは,監査役会は,一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない(会社法第346条第4項,第6項)。

 この場合の選任手続について,見解が分かれている。

○ 監査役の全員の同意
 江頭憲治郎「株式会社法(第3版)」(有斐閣)558頁,「逐条解説 会社法第4巻 機関1」(中央経済社)354頁(奥島孝康)では,監査役の全員の同意によると述べられている。

○ 監査役会の決議
 松井信憲「商業登記ハンドブック(第2版)」472頁,相澤哲編著「Q&A会社法の実務論点20講」(金融財政事情研究会)93頁,鈴木龍介編「商業登記全書第5巻 株式会社の機関」(中央経済社)287頁)では,監査役会の決議により行うものとされている。


 監査役会設置会社における監査役会の運営に関しては,いわゆる書面決議は認められておらず(会社法施行規則第109条第4項参照),会議を開催し,監査役の過半数をもって決議を行う(会社法第395条第1項)のが原則である。

 そして,例外的に,監査役の全員の同意を要するものとして,会計監査人の解任(会社法第340条第2項,第4項),取締役の会社に対する責任の一部免除等の議案の提出(会社法第425条第3項等)等の規定が置かれており,これらの場合には,監査役会の決議は要しないものとされている(相澤哲編著「立案担当者による新・会社法の解説」(商事法務)114頁,上掲江頭493頁)。

 「一時会計監査人の職務を行うべき者」の選任については,会計監査人の解任に関する規定のように「監査役の全員の同意」によって行わなければならない旨の規定はなく,単に「監査役会は・・・・選任しなければならない」と規定されているのみであるから,原則どおり,「監査役会の決議」によって選任することとなる。よって,監査役の頭数の過半数の賛成があればよい。

 なお,この点に関しては,平成17年改正前商法下の江頭憲治郎「株式会社・有限会社法(第4版)」(有斐閣)には言及がなく,会社法下の「株式会社法」(同)から「全員の同意による」旨の記述が加わっている。会社法施行前は,あまり問題とされておらず,会社法施行直後の中央青山監査法人の業務停止問題で大きくクローズアップされたためであろう。

【その他の参考文献】
太田洋「監査法人への業務停止命令に伴う実務上の諸問題」旬刊商事法務2006年6月5日号
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経済産業省の「M&Aを促す環境整備」

2010-05-19 08:45:28 | 会社法(改正商法等)
 経済産業省が,産業構造審議会(経産相の諮問機関)産業競争力部会において,「産業構造ビジョン」の骨子案を公表。
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100518aj.html

 経済界の要望ゆえか,「株主保護」というよりは,「株式会社の便宜」を図ろうという趣旨であるようだ。


③企業組織再編法制関係(資料3(1)51頁)

<方針>
○ 現行の組織再編スキームでは、時間的・金銭的負担が多く、機動的な組織再編・M&Aを阻害。また、株主保護手続きの不備により紛争も多発。
○ 組織再編の選択肢を多様化するとともに、株主保護手続を明確化することなどにより、安全・確実・迅速な組織再編を可能とする。

<具体的対応策>
① M&A等の組織再編手続きの簡易化・多様化
・自社株式を対価とするTOBの簡易化
・完全子会社化手法(スクイーズアウト・セルアウト制度等)の簡易化等
② 株主保護手続の明確化等
・株主の株式買取請求権の濫用防止等
③ 企業組織再編法制関係


【追記】
産業構造ビジョン骨子案に対する意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595210014&Mode=0

 任意の意見募集手続ということで,平成22年5月25日(火)まで。わずか1週間である。
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