振替法第161条第2項に会社法の特例規定が置かれており,会社法第116条第3項,第201条第3項,第785条第3項等の規定にかかわらず,振替株式を発行している株式会社は,これらの規定による通知に代えて,当該通知をすべき事項を公告しなければならないものとされている。
実務においては、例えば吸収合併(簡易合併を除く。)を行う場合に,反対株主の買取請求のための通知又は公告等について,株主総会の招集通知と一体として「通知」しているケースが少なくないと思われるが,株券電子化後の上場株式会社は,そのような方法を採ることができず,定款で定める公告方法により,「公告」する必要があるのである(いわゆるダブル公告の際の電子公告等と一体として行えばよい。)。
適法に「公告」がされていないと,無効事由に該当すると解されるので,失念しないようにすべきである。
cf. 拙稿「株券の電子化と登記実務上における留意点」月刊登記情報2008年9月号
第116条第3項 反対株主の買取請求
第158条第1項 自己株式の取得
第168条第2項 取得条項付株式の取得(取得する日の決定)
第169条第3項 取得条項付株式の取得(取得する株式の決定)
第170条第3項 取得条項付株式の取得(効力の発生等)
第181条第1項 株式の併合
第195条第2項 単元株式数の変更
第201条第3項 公開会社における募集株式の募集事項
第240条第2項 公開会社における募集新株予約権の募集事項
第469条第3項 事業譲渡における反対株主の買取請求
第776条第2項 組織変更(質権者への通知)
第783条第5項 吸収合併等の消滅会社等(質権者への通知)
第785条第3項 吸収合併等における反対株主の買取請求
第797条第3項 同
第804条第4項 新設合併等の消滅会社等(質権者への通知)
第806条第3項 新設合併等における反対株主の買取請求
社債、株式等の振替に関する法律
(適用除外等)
第161条 【略】
2 会社法第百十六条第三項、第百五十八条第一項、第百六十八条第二項、第百六十九条第三項、第百七十条第三項、第百八十一条第一項、第百九十五条第二項、第二百一条第三項、第二百四十条第二項、第四百六十九条第三項、第七百七十六条第二項、第七百八十三条第五項、第七百八十五条第三項、第七百九十七条第三項、第八百四条第四項及び第八百六条第三項の規定にかかわらず、振替株式を発行している会社は、これらの規定による通知に代えて、当該通知をすべき事項を公告しなければならない。
3 【略】