高知県司法書士会会員研修会における質問事項の一つ。
株式会社の清算結了登記申請における添付書面は,決算報告の承認があったことを証する書面であり,通常は,株主総会議事録及びこれに附属する決算報告書である。
決算報告書において債務超過の事実が判明する場合には,清算結了の登記は受理されない。
そして,次のような先例がある。
決算報告書において,超過債務部分を株主等が負担する旨が記載されている場合であっても,当該超過債務について免責的に債務引受けがされて当該株式会社に債務がない状態で承認された決算報告書の添付がない限り,当該登記の申請は受理することはできない(昭和43年5月2日法務省民事甲第1265号民事局長回答)。
また,会社法施行後の商事課局付による解説(吉野太人「会社法施行後における商業登記実務の諸問題(7)」月刊登記情報2008年4月号42頁以下)として,次のものがある。
【照会】清算結了の登記の申請書に添付された株主総会の議事録の附属書類である決算報告書上,いまだ清算株式会社には負債が残存している旨の記載があるものの,株主総会の議事録には,清算人による清算結了に至る経緯説明として「負債はすべて株主3名からの借入金であり,この債務について,同株主らは席上その一切の債権を放棄する」旨記載されていた場合,当該清算結了の登記を受理することはできるか。
【回答】当該清算結了の登記の申請を受理することはできないが,更に当該決算報告書に同報告書に記載された負債に係る債権放棄証書が添付されている場合には,当該申請を受理することができる。
cf. 松井信憲「商業登記ハンドブック(第2版)」(商事法務)516頁
質問は,私がレジュメに載せた決算報告書例において,「諸債務については,すべての債権者よりその債権全額につき放棄を受けた」と記載している点に関してであり,「従来は,上記先例に基づいて,債務超過の場合には免責的債務引受けがされたことを証する書面がないときは,登記は受理されなかったが,現今は,そのようなやり方が通用しているのか」というものであった。質問者は,いわゆる登記官OBの方で,登記所において上記先例を遵守していたものらしい。
しかし,上記先例及び上記商事課局付による解説のいずれも,「決算報告書上,いまだ負債が残存している旨の記載がある」場合である。一般に,債務超過のケースにおいては,然るべきタイミングで債権の放棄を受けて,負債が残存していない状態となった後に,「清算が結了した」ものとして株主総会の承認を受けるのであり,私の決算報告書例は,そのような場合のものであるから,上記先例等に抵触するものではない。正に「債務がない状態で承認された決算報告書」であるからである。
逆に,残余財産が存する場合には,株主総会で承認を受ける時点では,未だ残余財産の分配が行われておらず,決算報告書においてもそのような内容である。したがって,残余財産の分配が行われた旨が他の添付書面から明らかである必要があると言えよう。
株式会社の清算結了登記申請における添付書面は,決算報告の承認があったことを証する書面であり,通常は,株主総会議事録及びこれに附属する決算報告書である。
決算報告書において債務超過の事実が判明する場合には,清算結了の登記は受理されない。
そして,次のような先例がある。
決算報告書において,超過債務部分を株主等が負担する旨が記載されている場合であっても,当該超過債務について免責的に債務引受けがされて当該株式会社に債務がない状態で承認された決算報告書の添付がない限り,当該登記の申請は受理することはできない(昭和43年5月2日法務省民事甲第1265号民事局長回答)。
また,会社法施行後の商事課局付による解説(吉野太人「会社法施行後における商業登記実務の諸問題(7)」月刊登記情報2008年4月号42頁以下)として,次のものがある。
【照会】清算結了の登記の申請書に添付された株主総会の議事録の附属書類である決算報告書上,いまだ清算株式会社には負債が残存している旨の記載があるものの,株主総会の議事録には,清算人による清算結了に至る経緯説明として「負債はすべて株主3名からの借入金であり,この債務について,同株主らは席上その一切の債権を放棄する」旨記載されていた場合,当該清算結了の登記を受理することはできるか。
【回答】当該清算結了の登記の申請を受理することはできないが,更に当該決算報告書に同報告書に記載された負債に係る債権放棄証書が添付されている場合には,当該申請を受理することができる。
cf. 松井信憲「商業登記ハンドブック(第2版)」(商事法務)516頁
質問は,私がレジュメに載せた決算報告書例において,「諸債務については,すべての債権者よりその債権全額につき放棄を受けた」と記載している点に関してであり,「従来は,上記先例に基づいて,債務超過の場合には免責的債務引受けがされたことを証する書面がないときは,登記は受理されなかったが,現今は,そのようなやり方が通用しているのか」というものであった。質問者は,いわゆる登記官OBの方で,登記所において上記先例を遵守していたものらしい。
しかし,上記先例及び上記商事課局付による解説のいずれも,「決算報告書上,いまだ負債が残存している旨の記載がある」場合である。一般に,債務超過のケースにおいては,然るべきタイミングで債権の放棄を受けて,負債が残存していない状態となった後に,「清算が結了した」ものとして株主総会の承認を受けるのであり,私の決算報告書例は,そのような場合のものであるから,上記先例等に抵触するものではない。正に「債務がない状態で承認された決算報告書」であるからである。
逆に,残余財産が存する場合には,株主総会で承認を受ける時点では,未だ残余財産の分配が行われておらず,決算報告書においてもそのような内容である。したがって,残余財産の分配が行われた旨が他の添付書面から明らかである必要があると言えよう。
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http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ090A4_Z00C14A7TJ2000/?dg=1
トヨタ自動車が理系女子学生の就学を支援する基金財団を設立し,月4万~5万円の奨学金を支給して,グループに入社すれば返済を免除する,という構想であるそうだ。
入社しても数か月で退社してしまうケースもあろうから,「入社して一定期間勤務すれば」ということであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ090A4_Z00C14A7TJ2000/?dg=1
トヨタ自動車が理系女子学生の就学を支援する基金財団を設立し,月4万~5万円の奨学金を支給して,グループに入社すれば返済を免除する,という構想であるそうだ。
入社しても数か月で退社してしまうケースもあろうから,「入社して一定期間勤務すれば」ということであろう。