司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

条件付委任状の可否

2014-12-28 14:09:22 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2015年1月号に,「座談会 商業登記の現状と今後の展望(上)」があり,席上取り上げられている論点の一に,「条件付委任状」の問題がある。

「例えば10月1日が合併の効力発生日という場合の9月30日付等の委任状につき,受理する登記所と受理しない登記所とがありますが,これをどう考えるべきでしょうか。」

 基本的に,委任状の日付は,登記事由の発生した後のものでなければならない。「企業によっては,その委任した9月のある日を記載し,訂正印を一切押さない」ところがあるとは言っても,それは本来事前の打ち合わせによって回避すべき問題であり,肯定すべき理由とはならない。

 法務省民事局商事課は,現今のところ消極の立場ではあるが,「認める方向性でお答えできるのではないかと思う」(野口商事課長)ということで,検討の姿勢が示されている。

 仮に許容される場合があるとすれば,どのような場合か。

(1)効力発生日の到来以外の要件がすべて充足した後の委任であり,委任状にその旨が明記されていること。

 例えば,吸収合併の場合,株主総会決議や債権者保護手続等の手続がすべて終了しており,委任状の授受と同時にすべての添付書面の授受もされるのであれば,条件付委任状を肯定する余地があると解される。

 しかし,定款で定める公告方法が電子公告である株式会社において,株式買取請求のための公告や消滅会社における株券提出に関する公告を電子公告で行っている場合には,効力発生日の前日24時まで当該電子公告を継続する必要があり,すべての手続が終了しているとは言えないので,不可であると考える。

 取締役が停止条件付きで就任したり,辞任したりというケースでは,形式的には就任承諾書や辞任届等の添付書面が完備していても,例えば死亡等の他の事情の発生があり得ることから,条件付委任状は,認められないと考える。すなわち,効力発生の障害事由が存しないことが要求されるのではないか。


(2)「登記の事由」及び「登記すべき事項」が委任状に明記されていること。

 不動産登記の申請において,条件付委任状が許容される場合には,当該委任状の記載内容は,かつての申請書副本の場合と同程度のものであることが必要と解されており,それに倣うものである。


(3)効力発生日以降に登記の申請をすることを委任する旨が委任状に明記されていること。


 上記(1)~(3)を満たせば,会社と資格者代理人の登記申請に係る意思が委任状において明確となっていると言えるであろう。

 私は,どちらかと言えば,消極であるが。
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