司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

HOYA,自己株式を超過取得

2016-05-19 12:59:58 | 会社法(改正商法等)
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02492090Y6A510C1DTA000/

 会社法第461条第2項の「分配可能額」の算定ミスをしたらしい。

 「会社法上,違法ではあるが,有効」説の立場で処理するもののようである。

 有効説によると,「会社法第461条第1項の規定に違反した剰余金の配当等が行われた場合には、当該行為自体の効力は無効とはせず、会社法第462条第1項に規定される者が法定の特別責任を負うこととしている」(相澤哲編著「立案担当者による新・会社法の解説」(商事法務)135頁)ということになる。

会社法
 (配当等の制限)
第461条 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
 一 【略】
 二 第百五十六条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得(第百六十三条に規定する場合又は第百六十五条第一項に規定する場合における当該株式会社による株式の取得に限る。)
 三 第百五十七条第一項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得
 四~八 剰余金の配当
2 前項に規定する「分配可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう(以下この節において同じ。)。
 一 剰余金の額
 二 臨時計算書類につき第四百四十一条第四項の承認(同項ただし書に規定する場合にあっては、同条第三項の承認)を受けた場合における次に掲げる額
  イ 第四百四十一条第一項第二号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
  ロ 第四百四十一条第一項第二号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
 三 自己株式の帳簿価額
 四 最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額
 五 第二号に規定する場合における第四百四十一条第一項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
 六前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額



 下記のケースは,無効説の立場で事後処理がされた。

cf. 平成19年2月17日付け「自己株式の取得が無効?」
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成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限

2016-05-19 12:00:44 | 家事事件(成年後見等)
 平成28年10月13日から施行予定である「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続き法の一部を改正する法律」によって,次の規定が置かれることになる。

民法
(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
第873条の2 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
 二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
 三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)

 このうち,第1号の「相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為」と第3号の「相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)」の区別がはっきりしない感。

 家庭裁判所の許可の要否の分水嶺であり,明確であることが要求されるのだが。

 そもそも「特定の財産」とは,どのようにして定まるのか。本来,法律の規定又は契約によって一義的に「特定」されるはずであるが,上記の場合,誰が決めるの?

 とまれ,横浜の弁護士さんの次のブログの分析記事は,非常に参考になる。

cf. 【天秤印】横浜弁護士雑記
http://yokohamabalance.hatenablog.com/entry/2016/05/04/230510
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