今国会に上程されている特定商取引法の改正法案が成立すると,次のとおりとなる。
特定商取引法違反行為により業務停止を命ぜられた法人の取締役やこれと同等の支配力を有すると認められるもの等に対して,停止の範囲内の業務を新たに法人を設立して継続すること等を禁止する。違反した場合,個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金,法人は3億円以下の罰金が科される。
8年かかりましたね。
cf.
平成20年5月6日付け「消費者問題と『会社法の在り方』」
「これと同等の支配力を有すると認められるもの等」を調査する面においても,「株主リスト」が意味を持つわけである。
しかし・・・設立登記や役員変更登記に際して,司法書士がここまで調査する義務は・・・ないと思われる。
経済産業省等の処分庁が,苦情等を受けて,事後的に検証することになるのであろう。
〇 悪質事業者への対応
[事案]社名を変えて違反行為を繰り返した事案が、年間約100件の特商法に基づく行政処分の約1割
⇒ 業務停止を命ぜられた法人の役員等に対して、停止の範囲内の業務について新たに業務を開始することを禁止する
(次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者への対処)
※その他、刑事罰全般の抜本的強化を実施。
cf. 特定商取引法/消費者契約法の一部改正法案
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2016/215/doc/20160323_shiryou1_1.pdf
改正後の特定商取引法
(業務の停止等)
第八条 主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項若しくは第四条から第六条までの規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合において訪問販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同項の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、二年以内の期間を限り、訪問販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。この場合において、主務大臣は、その販売業者又は役務提供事業者が個人である場合にあつては、その者に対して、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、当該停止を命ずる範囲の業務を営む法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下同じ。)の当該業務を担当する役員(業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下同じ。)となることの禁止を併せて命ずることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
(業務の禁止等)
第八条の二 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者に対して前条第一項の規定により業務の停止を命ずる場合において、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者が当該命令の理由となつた事実及び当該事実に関してその者が有していた責任の程度を考慮して当該命令の実効性を確保するためにその者による訪問販売に関する業務を制限することが相当と認められる者として主務省令で定める者に該当するときは、その者に対して、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、当該停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)の禁止を命ずることができる。
一 当該販売業者又は当該役務提供事業者が法人である場合 その役員及び当該命令の日前六十日以内においてその役員であつた者並びにその営業所の業務を統括する者その他の政令で定める使用人(以下単に「使用人」という。)及び当該命令の日前六十日以内においてその使用人であつた者
二 当該販売業者又は当該役務提供事業者が個人である場合 その使用人及び当該命令の日前六十日以内においてその使用人であつた者
2 主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
cf. 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g19005044.htm