司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法が労働基準法に違反するのか

2018-07-20 18:54:04 | 労働問題
最高裁平成30年7月19日第1小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87883

【判示事項】
基本給と区別して支払われる定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例

「割増賃金の算定方法は,同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ,同条は,労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され,労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではなく(前掲最高裁第二小法廷判決参照),使用者は,労働者に対し,雇用契約に基づき,時間外労働等に対する対価として定額の手当を支払うことにより,同条の割増賃金の全部又は一部を支払うことができる。」
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デジタル・ガバメント閣僚会議(第2回)

2018-07-20 17:27:49 | 会社法(改正商法等)
デジタル・ガバメント閣僚会議(第2回)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai2/gijisidai.html

 デジタル・ファースト法案の策定に関して,

〇 本人確認手法及び手数料支払いのデジタル化等
 オンライン手続に当たっては、紙を前提とした本人確認手法(署名や押印等)や手数料支払い(収入印紙等)はデジタル的な手段で置き換えなければならないものとする。

という点は,実務的にも影響が大きいところ。



 法務省のデジタル・ガバメント中長期計画の重要施策としては,

<添付書類の撤廃に向けた取組>
〇 法人設立のオンライン・ワンストップ化,法人登記情報連携の推進
・法人設立に関して,利用者が全手続をオンライン・ワンストップで処理できるようにする。
・法人の登記情報を提供可能とするなど行政機関間の情報連携のための仕組みを構築することにより,各種手続における法人の登記事項証明書の添付省略を可能とする。

〇 戸籍事務へのマイナンバー制度導入
 戸籍証明書を必要とする行政機関が,マイナンバーを利用して当該機関が必要とする戸籍情報について連携することにより,従来国民が行政手続のために必要であった戸籍証明書を不要とし,国民の利便性向上を図る。

等が掲げられている。


デジタル・ガバメント実行計画の改定に関して,

「電子調達、法人設立、自動車ワンストップサービス等のサービス改革において、単なるシステム化ではなく、業務改革(BPR)を含むデジタル化を推進」

とある点も,気になるところ。
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日司連「公証人法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見書

2018-07-20 16:48:40 | 会社法(改正商法等)
「公証人法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見書
http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/info_disclosure/opinion/45955/

 日司連の意見書です。
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「相続にかかる登記申請代理」も法定業務へ?

2018-07-20 10:26:23 | いろいろ
 兼子仁「行政書士法コンメンタール(新9版)」(北樹出版)が,本年4月に出版されており,その帯に,「『相続にかかる登記申請代理』も法定業務へ」とあるのを見て,出版社がいかにもキャッチーなコピーを付しただけだと思っていたのが・・。

 しかし,同書には,

「不動産登記規則の改正(2017年5月施行の法務省令247条1項)により,相続手続としての「法定相続情報一覧図」および登記の申請代理は,司法書士・弁護士と並んで,行政書士の共同業務と規定されるにいたっている(同条2項2号,戸籍法10条の2第3項,法定の他士業者とともに)。」

という記述があるようである。

 法定相続情報一覧図の保管等の申出の代理については,司法書士法第3条業務に該当しないという整理がされたことから,司法書士及び弁護士以外の6士業者についても,代理することができる旨が規定されているものである。

 不動産登記規則第247条の規定から,「司法書士及び弁護士以外の6士業者も,相続にかかる登記申請代理をすることができる」という解釈など導かれるはずもないし,法務省もそのような立場を採ってはいない。これを認めるには,業法の改正が必要となるのは,理の当然である。

 著者の兼子先生は,東京都立大学の名誉教授でいらっしゃる法学者であるのだが・・。

「法務省令247条1項」という書きぶりもおかしい・・。

 あり得ないことだとは思うが,上記コンメンタールの記述を信じて,司法書士及び弁護士以外の6士業に属する方が相続に係る登記申請代理を行ってしまうような愚行(司法書士法違反)が生じないことを祈りたい。


【追記】
 どうやら,既に,善処されているようである。

 帯は,「『相続情報証明の登記所申請代理』も業務へ」に変更されている。
http://www.hokuju.jp/books/view.cgi?cmd=dp&num=1079&Tfile=Data
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