司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

継続的売買契約において所有権留保特約をした売主と,買主から集合動産譲渡担保権の設定を受けた者との優劣(最高裁判決)

2018-12-07 17:13:01 | 民事訴訟等
最高裁平成30年12月7日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88171

【判示事項】
金属スクラップ等の継続的売買契約において目的物の所有権が代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合に,買主が保管する金属スクラップ等を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が代金完済未了の金属スクラップ等につき売主に上記譲渡担保権を主張できないとされた事例

 上告人である譲渡担保権者は,商工中金である。

cf. 日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38678330X01C18A2CR8000/
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平成30年度犯罪収益移転危険度調査書

2018-12-07 16:58:43 | いろいろ
犯罪収益移転危険度調査書 by 警察庁
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm#p3

 平成30年度版が公表されている。

「法律・会計専門家は、法律、会計等に関する高度な専門的知識を有するとともに、社会的信用が高いことから、その職務や関連する事務を通じた取引等はマネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
 実際、犯罪による収益の隠匿行為等を正当な取引であると仮装するために、法律・会計関係サービスを利用していた事例があること等から、法律・会計専門家が、以下の行為の代理又は代行を行うに当たっては、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。

○ 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
 不動産は、財産的な価値が高く、多額の現金との交換を容易に行うことができるほか、その価値が容易に減損しない。また、土地ごとの利用価値や利用方法等について様々な評価をすることができるため、財産的価値の把握が困難であり、通常の価格に金額を上乗せして対価を支払うことによりマネー・ローンダリング等に悪用される危険性がある。さらに、その売買に当たっては、境界の確定、所有権の移転登記等、煩雑かつ専門的知識を必要とする手続を経なくてはならず、これらの知識や社会的信用を有する法律・会計専門家を利用してこれらの手続を行うことにより、より容易に犯罪による収益を移転することが可能となる。

○ 会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続
 会社その他の法人、組合又は信託は、出資者等とは独立した財産が形成されるものであり、これらは、例えば、多額の財産の移動を事業名目で行うことを可能とするなど、財産の真の帰属や由来を仮装することを容易にするものであることから、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性がある。また、法律・会計専門家は会社等の組織、運営及び管理に必要な専門知識のほか、社会的信用も有していることから、法律・会計専門家を利用して会社の設立等に関する行為又は手続を行うことにより、より容易に犯罪による収益を移転することが可能となる。

○ 現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分
 法律・会計専門家は、財産の保管や売却、当該財産を原資とした他の財産の購入等を行う上で必要な専門的知識及び有用な社会的信用を有しており、法律・会計専門家を利用して財産の管理又は処分を行うことにより、より容易に犯罪による収益を移転することが可能となる。
 このような危険性に対して、所管行政庁及び自主規制団体等は、法令上の措置に加えて、前記のような危険度の低減措置を行っている。
 しかしながら、これらの取組の程度に事業者ごとの格差が生じると、リスクに応じた実効的な低減措置が行われていない事業者がマネー・ローンダリング等に悪用される危険度が高まり、ひいては、業態全体の危険度にも影響を及ぼすことにもなり得る。」
※ 72頁
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上場企業又はその子会社が発起人となって株式会社を設立する場合の実質的支配者

2018-12-07 14:45:42 | 会社法(改正商法等)
ほくらoffice(文京公証役場の公証人)
https://www.hokura-office.com/

「上場会社であることの根拠資料として,有価証券報告書を提出すること,同書類に代表者の記名押印,印鑑証明書が必要だと言う人がいます。それってどうなんでしょう?なぜなら有価証券報告書は金融庁のEDINETで公開されていて誰でも確認できるからです。」(上掲HP)


 例えば,日司連編のQ&Aは,次のとおりである。

Q.上場企業又はその子会社が発起人であり,100%子会社を設立する場合には,実質的支配者はどうなりますか。
A.発起人が上場企業又はその子会社である場合には,当該上場企業等は自然人とみなされます(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(平成20年政令第20号。以下「犯収法施行令」という。)第14条第5号)ので,当該上場企業等が実質的支配者となります。

Q.発起人が上場企業又はその子会社である場合には,当該上場会社等は自然人とみなされるとのことですが,この場合,当該上場企業等が上場企業又はその子会社であることを証する書面は必要になりますか。
A.原則として必要です。例えば,有価証券報告書の写し等が考えられます。


 日本における上場企業は,3638社(平成30年12月7日現在)もあるので,発起人(=実質的支配者)である株式会社が上場企業であることが公知の事実とはいえないことの方が多いであろう。「この会社は上場企業です」と口頭で伝えて,わざわざ公証人にEDINETで調べてもらうよりは,申告書に有価証券報告書の写しを添付する方がスムーズに処理が進むのではないだろうか。発起人(=実質的支配者)が上場企業の子会社である場合には,有価証券報告書の写しを添付することは必須であろう。

 発起人が法人である場合には,そもそも認証手続において,登記事項証明書と印鑑証明書を提出する必要があるので,発起人=実質的支配者である場合に,別途申告のためにそれらの書類を提出する必要はない。


 電子定款の場合には,司法書士は,嘱託人として,自らの名で,実質的支配者に関する申告をしなければならない。自らが,設立される株式会社の実質的支配者を調査し,確認するために徴求した書類については,公証人もやはり確認することを望むであろうから,適宜対応すべきである。

 スタートしてから当分の間は,公証人によって取扱いがまちまちであるかもしれないが,司法書士の側も,柔軟に,かつ,適切に対応すべきであろう。
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上場企業の役員報酬の根拠の開示を義務化へ

2018-12-07 12:45:49 | 会社法(改正商法等)
朝日新聞記事
https://digital.asahi.com/articles/ASLD64QQXLD6ULFA01J.html

 根拠といっても,あってないような・・・。
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