月刊登記情報2020年6月号に,神﨑満治郎ほか「任期の起算点『選任後』の解釈」がある。
会社法第336条第1項の「選任後」の「選任」は,選任決議の時点であると解されている。
したがって,3月決算の株式会社において,3月中の臨時株主総会の決議によって選任され,4月1日に就任した監査役の任期が,1年短くなってしまうことが不合理であるとして,定款規定の「選任後」を「選任の効力発生後」と解することにより,その不合理(?)を解消することはできないか,という問題意識に基づく論考である。
会社法
(監査役の任期)
第336条 監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 前項の規定は、公開会社でない株式会社において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3 第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
4 前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
三 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
問題意識としては,次の記事の私見のとおりであるのだが。
cf. 平成20年2月14日付け「役員の任期の起算点はいつか?」
しかし,そもそも会社の意向は,「4月1日から就任することにしたい」ということであって,「4月1日から任期を起算したい」というものではないと思われる。
また,公開会社でない株式会社にあっては,会社法第336条第2項の規定により任期を10年に伸長することができるとはいえ,現行の定款規定が「選任後4年」であるにもかかわらず,「選任後」を「選任の効力発生後」と解することは,会社法第336条第1項違反の疑義が生じてしまうことになる。
意図することを実現したいのあれば,公開会社でない株式会社にあっては,会社法第336条第2項の規定に基づき,定款の規定を「就任後4年」に変更すればよいのではないか。
公開会社にあっては,「就任後4年」は,会社法第336条第1項違反の問題が生ずるので,もちろん不可である。
定款の規定を「株主総会が定める任期の始期後」とすることによっても,意図を実現することができようか。
cf. 平成25年2月24日付け「取締役の就任の「時点」」
会社法第336条第1項の「選任後」の「選任」は,選任決議の時点であると解されている。
したがって,3月決算の株式会社において,3月中の臨時株主総会の決議によって選任され,4月1日に就任した監査役の任期が,1年短くなってしまうことが不合理であるとして,定款規定の「選任後」を「選任の効力発生後」と解することにより,その不合理(?)を解消することはできないか,という問題意識に基づく論考である。
会社法
(監査役の任期)
第336条 監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 前項の規定は、公開会社でない株式会社において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3 第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
4 前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
三 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
問題意識としては,次の記事の私見のとおりであるのだが。
cf. 平成20年2月14日付け「役員の任期の起算点はいつか?」
しかし,そもそも会社の意向は,「4月1日から就任することにしたい」ということであって,「4月1日から任期を起算したい」というものではないと思われる。
また,公開会社でない株式会社にあっては,会社法第336条第2項の規定により任期を10年に伸長することができるとはいえ,現行の定款規定が「選任後4年」であるにもかかわらず,「選任後」を「選任の効力発生後」と解することは,会社法第336条第1項違反の疑義が生じてしまうことになる。
意図することを実現したいのあれば,公開会社でない株式会社にあっては,会社法第336条第2項の規定に基づき,定款の規定を「就任後4年」に変更すればよいのではないか。
公開会社にあっては,「就任後4年」は,会社法第336条第1項違反の問題が生ずるので,もちろん不可である。
定款の規定を「株主総会が定める任期の始期後」とすることによっても,意図を実現することができようか。
cf. 平成25年2月24日付け「取締役の就任の「時点」」