司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「資本の自由化」と改正商業登記規則

2006-02-11 19:20:46 | 会社法(改正商法等)
 会社法では、「資本の自由化」が実施されるため、改正商業登記規則においても次のような条項が新設されている。第5項の「資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。」は、なるほどである。

改正商業登記規則
(添付書面)
第61条 1~4【略】
5 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
6 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第461条第2項に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。
7 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第448条第3項に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

 しかし、第7項は、不思議な条文である。「資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加」とは、いわゆる準備金の資本組入(会社計算規則第48条第1項第1号)であると思われるが、これと産業再生法の減資等の特例を取り込んだ会社法第448条第3項とは通常の場合リンクしないように思われるのだが。


cf. 会社法第448条第3項
 株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。
コメント

ライブドア「執行役員社長」は定款違反

2006-02-11 17:17:15 | 会社法(改正商法等)
 ライブドア「執行役員社長」の定款違反問題が顕在化(遅過ぎの感もあるが。)。ライブドアの定款には、次のような諸規定が置かれているので、もちろん定款違反である。すなわち、「社長」選任決議は無効、ということである。

 (役付取締役)
第20条 取締役会の決議を以て、取締役の中から、社長1名を選任し、必要に応じて、副社長、専務取締役、常務取締役各若干名を選任することができる。

 (取締役会の招集及び議長)
第19条 取締役会は、社長がこれを招集し、その議長となる。
2 社長に事故があるときは、あらかじめ取締役会の定める順序により、他の取締役がこれに代わる。
3 【略】

 (代表取締役)
第21条 社長は、当会社を代表し、会社の業務を統轄する。
2 【略】

 (招集者及び議長)
第12条 株主総会は、社長がこれを招集し、その議長となる。
2 社長に事故があるときは、あらかじめ取締役会の定める順序により、他の取締役がこれに代わる。

cf. ライブドアの組織図
http://corp.livedoor.com/company/organization.html
コメント (1)

日弁連の会長選挙

2006-02-11 16:18:44 | いろいろ
日弁連会長に平山氏を選出 (朝日新聞) - goo ニュース

 意外に投票率が高いんですね。久保利氏は落選。
コメント

会社法及び整備法施行に伴う最高裁判所規則の一部改正

2006-02-11 13:02:58 | 会社法(改正商法等)
 会社法及び整備法施行に伴って、最高裁判所規則も一部改正される。
http://kanpou.npb.go.jp/20060208/20060208h04272/20060208h042720004f.html
コメント

「ファイナンス法大全アップデート」

2006-02-11 11:31:14 | 会社法(改正商法等)
西村ときわ法律事務所編「ファイナンス法大全アップデート」(商事法務)
http://www.jurists.co.jp/ja/topic/2006/t011.shtml

 近々出版のようだ。
コメント

会社法施行規則等の条文集

2006-02-11 11:06:55 | 会社法(改正商法等)
商事法務編「会社法関係法務省令集」(商事法務)

 省令案からの変更点がわかる解説付で、2月中旬発売(1260円)だそうだ。


 なお、旬刊商事法務の2月10日臨時増刊号は、《特集・会社法関係法務省令》である。
●会社法関係法務省令の公布と概要(編集部)
 1 会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)
 2 会社計算規則(平成18年法務省令第13号)
 3 電子公告規則(平成18年法務省令第14号)

コメント

ウェブサイトによる開示

2006-02-10 20:58:46 | 会社法(改正商法等)
(10 ) ウェブサイトによる開示
事業報告における記載事項の一部,株主総会参考書類における記載事項の一部,注記表及び連結計算書類の全部につき,ウェブサイトで開示することにより,書面による提供の省略を可能とすることとしています(94条,133条3項,計算省令161条4項,162条4項)。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji107.html


 いささか、大会社向けであるが、会社法施行規則で認められた上記(パブコメ案にはなかったものである。)については「定款の定め」が必要である。
コメント

改正商業登記規則等の公布

2006-02-09 13:35:44 | 会社法(改正商法等)
 商業登記規則等の一部を改正する省令(法務省令第15号)が本日公布された。
http://kanpou.npb.go.jp/20060209/20060209g00027/20060209g000270008f.html

 残るは、通達のみ。
コメント (13)

宮本身分帳事件

2006-02-09 00:05:09 | いろいろ
 ネット上ではあまり取り上げられていないようであるが、宮本身分帳事件の鬼頭元判事補が、日弁連に弁護士登録を申請し拒否された事件に関する裁判で、最高裁は7日請求を棄却したようだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060207i312.htm

宮本身分帳事件
http://www.ffortune.net/social/seso/nihon-today/kito-hanziho.htm
コメント

金融庁が最高裁判決を受けてパブコメを実施

2006-02-08 23:41:51 | 消費者問題
 平成18年1月13日最高裁判決を受けて、金融庁が「貸金業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」のパブコメを実施中。
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/kinyu/f-20060208-2.html


cf. 平成18年01月13日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件

   平成18年1月17日付「貸金業規制の見直し」
コメント

会社法施行規則等PDFの活用

2006-02-08 23:33:42 | 会社法(改正商法等)
 会社法施行規則等は、印刷するのであれば、官報HPからプリントアウトする方が軽量簡便(82枚)。
http://kanpou.npb.go.jp/20060207/20060207g00025/20060207g000250000f.html

 法務省サイトのPDF(計619枚)は、ノートPCに保存して閲覧、検索用。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji107.html
コメント (3)

会社法施行に伴う民法の一部改正

2006-02-08 20:53:42 | 会社法(改正商法等)
 会社法の施行に伴う民法の一部改正により、民法第79条第4項が新設される。第79条は民法法人の解散手続に関するものであるが、各種法人の解散手続においても同条が準用されている(例えば、特定非営利活動促進法第40条等)ので、注意が必要である。経過措置規定は設けられていないので、会社法施行後に公告を行うときから官報で、ということになる。
 なお、会社法では、この種の公告は1回で足りることとなった(第499条第1項)が、民法第79条第1項は改正されていないので、民法法人等では3回の官報公告が必要となる。

改正後民法
 (債権の申出の催告等)
第79条 清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第1項の規定による公告は、官報に掲載してする。
コメント

信託法改正要綱

2006-02-08 17:23:01 | いろいろ
 信託法改正につき法制審議会で審議されていたが、私益信託に関する制度の部分について答申が出された。
http://www.moj.go.jp/SHINGI2/060208-2.html

 「第1 信託の意義等について」で俎上に挙がっていた「債権者と担保権者を分離し、担保権だけを信託会社に信託できる制度」は次のとおりである。
http://www.moj.go.jp/SHINGI2/060208-2-1.html#01


cf. 平成17年8月6日付「信託法改正要綱試案の補足説明」
コメント

最高裁判決「その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である」

2006-02-08 13:58:52 | 司法書士(改正不動産登記法等)
http://www.asahi.com/national/update/0207/TKY200602070188.html

「買戻特約付売買契約の形式が採られていても,目的不動産の占有の移転を伴わない契約は,特段の事情のない限り,債権担保の目的で締結されたものと推認され,その性質は譲渡担保契約と解するのが相当である」

cf. 平成18年02月07日 第三小法廷判決 平成17年(受)第282号 建物明渡請求事件
コメント

整備法に基づく職権の登記

2006-02-07 18:10:52 | 会社法(改正商法等)
 会社法施行規則等は本日公布されたものの、なかなか会社法の施行日が定まらない状況である。平成18年5月1日施行を目処に準備が進められているはずであるが、なぜ(?)である。
 おそらくコンピュータシステムの開発がなかなか完了しないためではないかと思われる。会社法施行に伴う整備法施行により既存の会社の登記に関しては、登記官が会社法に適合するように職権で登記を行う作業が必要となる。作業量が膨大なものであるため、作業用のシステムの開発が急務であるが、その目処が未だ立っていないのであろう。

 整備法では、例えば取締役会に関して、定款に定めがあるものとみなす規定(第76条第2項)、登記がされたものとみなす規定(第113条第2項)、そして職権登記に関する規定(第136条第12項第1号)と3段構えになっていることから、たとえ会社法施行日において職権登記が未了であったとしても法的には支障を来たさないようになってはいるが・・・。しかし、万一未了であれば、実務の混乱は必至。

 それとも、会社法施行規則等の公布によりバグ修正が一段落したので、いよいよ施行期日を定める政令が近々公布されるのであろうか。
コメント (2)