斯くも脆き
どんなに重々しい言辞を弄しても
覚醒するたった一個の痛覚で
全てが御破算になってしまうこともある
蛭のように
痛みの周辺を這いずって
イノチのエキスを吸い上げるように
已むに已まれぬ意志に衝き動かされて
コロナの天辺を目指す
賢治の鳥のように
どんなに理路整然に人生を口説いても
一瞬に覆されて
宣なるかなの現実もある
どんなに声を張り上げて己が理想をアジっても
束の間に掻き消してゆく
一つの痛覚がある
生きる価値や能力の有無や出逢いの運不運が
綿菓子のように溶けて無くなる
たった一個の嘆息がある
斯くも脆き入れ物よ!
斯くも弱き心棒よ!
斯くも曖昧なるネアンデルタールの存在よ!!
*10/12 22:28:22 万甫