LXⅦ「旅人」
誰一人として
旅人のままで留まってはいられないのだ
一つの旅を終えれば
速やかにでも徐々にでも
ヒトは秩序や順列の中に
含まれてゆくしかない
在籍するイノチの住所を
劇的には変換できないのだ
早いか遅いか
或いは、豊かであったのか、貧しかったのか
貴重だったか、もしくは
懺悔の値打ちもないものだったか
閻魔の判定が気懸かりなのか
仏陀の糸を授かれるのか
あれやこれやの恣意を一束にして
やがて、必ず来る
二度と戻れない全ての旅が終わって
ほんとうに旅立つときが・・
*10/06 21:36:21 万甫