おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

難解思考の整理・整頓

2017-09-27 | マンション管理関連試験等サポート   

 

前回の 団地に関する記事は それなりに参考になった
というご意見もあったりしたので 今回は 第二弾 として

もう一箇所 難解部分への思いを記してみたいと思います

若々しい あるいは そうでなくても心が若い?受験生たる
知人もいますので 少しでも参考になれば

もちろん マンション住人さんのために 参考になれば 
幸いです

前回の箇所 「団地」のことは
< 制度目的のなかの 対象 の複雑さ >
というようなことの記事とも言えそうですが

今日のそれは 
< 制度目的の 区別 の複雑さ >
というような・・・ことではないか と

マンション(正確には区分所有制に関わるもの全体)での
特殊ケース?の学習範囲のことなのですが

これに関係するのは

・耐震改修促進法 ・建替え ・建替え円滑化法 ・復旧 ・被災マンション法

のことあたりだと考えます

どのような目的で どんな姿をしている制度なのか
なぜに 似ているような事例に対して いろいろな制度が
用意されなければならないのだろうかナー? と疑問を
持つことが多い 私のマンション管理士受験時代でした

ひとつの整理方法として
一番特殊な場面を想定してみるのも 理解の手助けとなる
ような気がします

そこで 被災マンション法の全体像から 他の制度と比較し
て考えてみる というのも 効果的な学習になるのでは と
思われました

【被災マンション法】のこと

マンションの全部が災害によって跡形も無くなってしまった
という極端な場合を思うとき マンション住人間には建物
を持ち合っていたつながりが切れて 敷地に関しての権利
が残るだけになってしまって 区分所有法上の団体的な
決め事が基準とならずに 民法の原則に戻ってしまって・

繰り返しになりますが

「このような場合のマンション再建は 建物は既に無く
(ということは 建物を通じたつながりがあるからこその区分
所有法の適用は許されないということ) 
皆で持ち合っている
敷地の利用だけ
に関する変更をすること 
なのだから 
再建には
マンション規約上の決議方法は使えず 民法上の
共有物の変更に必要な 
全員の合意
によらなければならない」

という大きな制約がムクムクと発生

(もっとも ここのあたりのことですが 例えば 大地震で
一日にして
マンション建物が消失した
として 管理組合関係にとってかわって民法原則共有関係
だけが基準になる というか なってしまう という理論に 
おおいなる違和感があって 
それ以前から尊敬もうしあげていたマンション学界での著名な
弁護士さんにある会合でその点をお伺いしたことがあるの
ですが 
その方も 同様な感想を述べられたことがあって 今も 私の
大切な記憶になっていたりしているのですが・・なぜ そのよう
な解釈が一義的になされなければならないのか?
とはいっても そのように 学者さんも官僚さんも理解されるの
だから 私ごときのホザキなど ということですが・・・ヤハリ 
個人的には 未だに不思議 
もしも違った理解なら 法制も ある部分では どんなに より
シンプルにできたであろうか と この記事の赤字に関するあたり
のことですが・・・動かぬ前提となってしまっていますので もう

異論は止めることとしますが・・・ ゴメンナサイ)

そのようなことに対応するために 全員合意ではなく
5分の4以上の多数決で その敷地に再建する決議が
できるようにした制度 それが 被災マンション法

さらに 土地を売ってしまう決議
(敷地売却決議)
も可能
となりました
建物再築以外の途もつくられたのです
全部滅失でなくとも大規模一部滅失の場合にも
・建物取壊し(11条)
・建物取壊し・敷地売却(10条)
・建物・敷地売却(9条)
の いずれかも可能になりました

なによりも 被災地の健全な復興のための制度

ここで認識しなければならないことは この制度は 
政令で指定された災害のための制度
だということ

繰り返しますが 大規模一部滅失の場合も適用可であったり 
(平成25年にも改正がなされています)
ということですが
指定されない一般の場合(個別災害)には 
全部が滅失した
としても 区分所有者であった者のうち一人でも
再建などに反対

なら 話は別 で これらの制度は適用できません
今のところは ということですが・・・どうなりますか?

{ 念のため ここで
もうひとつの 敷地売却制度について 記しておきます }
【耐震改修促進法】 も関係します

いわば平常時の対応のひとつとして
平成26年に「建替え円滑化法」が改正されて 耐震性が
不足しているという認定
耐震改修促進法 の 要除却認定マンションの認定]
を受けると 多数決(区分所有法での許容を超える
処理になってしまうので 本来なら民法共有の規定から
して<251条共有物の変更>全員合意が必要となるところ
だが)マンションと敷地を売却できる特例ができました


【 区分所有法上の「建替え」「復旧」 】のこと

ということで 被災マンション法は いわば平常時用の
「建替え」「復旧」の制度とは違いがありますネ

それまでの建物を取り壊して建物を築くのは
「建替え」
   ※ (マンションの全部が滅失したり 朽廃の場合は
      区分所有法の建替えの規定は適用されない
      ことになる<理由は 上の赤字のこと>)

建替え前の敷地と離れた土地のみを建替え後の建物の
敷地とするような建替えは認められません
簡潔に言うと 一部でも以前の敷地を含む形なら可
ということで 一般的な建替えというものを考える時
遠く離れた場所での建替えなどでは いろいろと不都合
(制度の悪用も考えられる)や関係者の思惑にそぐわない
ことなどがあり得るだろうから ということです
通常は 同一場所での建替えを希望することが多いで
しょうか・・・

この 「建替え」が決議された後の共同事業について その
さまざまな流れの処理の円滑化を狙ったのが
【 建替え円滑化法 】 

なにしろ 区分所有法自体には 建替え事業についての
具体的な規定が無いのですから

この法の適用があるのは 
マンション
つまり 2以上の区分所有者がいる建物で人の居住の用
の専有部分のあるもの
(ちなみに 被災マンション法 では マンションという言葉
が法律名にありますが 実は 適用は マンションに限りません
例えば 事務所だけの区分所有建物など全般に適用があります)

ここで言ってしまいますが
実は 建替え事業の多くは(といっても事業件数は予期されたものより
かなり少なめ とのことですが) 各区分所有者が権利を
ディベロッパーに譲渡し 建替え建設後に再び分譲を受けると
いう事業代行方式<いわゆる全部譲渡方式>によることが
多かったし 円滑化法の制定後もこの方式が依然見られる
とのことらしいです

つまり 建替えは 円滑化法の利用を強制されるということ
ではありません

ですが
知識として一応 記しますと

・区分所有法での建替え該当部分 ⇒ 建替え決議までの手続
                   決議の内容 等
・円滑化法 ⇒ 建替え決議を事業として実施する段階の手続
         やルール

を扱っていて 一部共通する内容(反対者への売渡請求権等)も
ありますが
前者は いわゆる 私法  後者は 行政処分であるところの
権利変換システムを基軸としている開発法・事業法
ということで 性格は同じとはいえません

少々どころか かなり専門的過ぎた記事で申し訳ありませんが
なかなか わかりやすいようには 工夫ができかねるような具合で・・・
すみません

上に記したように 建替え事業が建替え円滑化法に拠ら
なければならないというわけでもありません が    

(目的)
第一条  この法律は、マンション建替事業、除却する必要のある
マンションに係る特別の措置及びマンション敷地売却事業について
定めることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保並びに
地震によるマンションの倒壊その他の被害からの国民の生命、身体
及び財産の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の
健全な発展に寄与することを目的とする。
という目的があって
先にも記してあるマンション敷地売却決議に関しては
≪・・マンションを除却する必要・・102条≫とか≪敷地利用権の持分の
価格・・108条≫などというような 聞きなれない言葉も登場しています
注意しなければならない言葉として
・マンション建替組合(都道府県知事や市長の設立の認可が必要)
・再建マンション(建替えによって新たに建築されたマンション)
・施行マンション(建替え事業を施行する現に存するマンション)
・組合施行(法人格を有するマンション建替組合が建替事業の主体)  
・個人施行(この方式は 基本的に全員合意式 
        事業計画等を定めて 建替事業について市町村長を
        通じて都道府県知事の認可を受ける必要があります
        ディベロッパー等の法人も この個人施行者
        になる場合が多いと考えられます このケースも可です
        組合施行 ということではありませんから)
・権利変換( このシステムによって 再建マンションの区分所有権と敷地
        利用権を得 担保権は再建マンションのそれらの権利上に
        移り 借家権を持っていた者は再建マンションに対応する
        借家権を得ることになることが 73条等にあります )          
など 重要な用語が登場します

 

さて 「建替え」に対し
それまでの建物の一部が滅失した場合に
それを 修復 するのが
    「復旧」
   ※( ここでも 建物が全部滅失なら復旧の対象には
     ならないことになります )

ここで一応述べますが 「滅失」とは物理的に消滅する
ということだけではなく 要は本来の効用を保っているか
確定的に失っているか否か
ということだと理解されるので 「朽廃」
という場合も建物としての寿命がなくなったか否かという
基準で 
同様に判断し扱うことでよいと 考えられます(学者さんに
よって微妙に違う表現だったりしますが・・)

「復旧」は建物の価格の2分の1以下に相当する部分のか
あるいはそれを超える部分の滅失なのかで 
小規模復旧 か 大規模復旧
に分類されます

いずれにしても 自分の持ち物である専有部分の復旧は
自分の力で 各自がします

大規模 というほどのものですから
①特別決議を要する
②議事録に組合員の賛成・反対を記すこと
③復旧前の建物と構造・用途が異なっても可
④集会決議によらない各区分所有者の復旧は不可
⑤法規定と異なる規約は定め得ない
⑥復旧決議後 反対者などに買取請求権あり
⑦復旧決議・建替え決議がないときの買取請求可

ということで 特殊ケースの 極々 概要を記しましたが

今回は このあたりで 止めときます


・耐震改修促進法 ・建替え ・建替え円滑化法 ・復旧 ・被災マンション法

以上の決まりの 極々一部のことでも 参考になったとしたら
とても うれしいです

お住みなっているマンションの姿に関心を深め 少しなりとも いつもと
違う方向から眺めてみることも いいのではないか と  

       いつものことですが 法律の精査は各自お願い申し上げます
       
概略を記しているつもり 
       ですので・・・書き足らない部分と承知のところもおおいにあります
       ゴメンナサイ            
       ヨロシクお願いいたします 
前回と同様 おかしいところを 連絡してください
       (私の学習にも 当然のごとくなります 参考になりますので)