おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

攻防を知ること は べストの教材 

2020-01-13 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

以前に載せた ブログです( 2019 ・ 7 ・ 21 記 )

https://blog.goo.ne.jp/toku2184/d/20190721

 

 

ブログに登場した 平成28年 12月 の 判例です (主文 事実・理由 も 知ることができます)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86398情報開示等請求控訴・同附帯控訴事件

全文 の 欄 を 参照できます

 

 

マンションにおける サマザマなトラブルの処理において 裁判例は 実際の諸々の後始末

の手本ともなりますので とても 参考になることがあります

 

 

この案件は その後 どのような情況になっているのか 残念ながらつかめていませんが

おそらく 最高裁に上告されている ? のでは と 思われるのですが・・・

 

全文を読み直すと そのたびに ある意味 ズッシリと重い内容とその攻防に  感慨のようなものを

覚えてしまいそうになったりします(関係当事者さまには 不謹慎なこと 申し訳もないことですが・・・)




渦中にある(あった)当事者の方 関係者の方には 申し訳ない言い方になってしまいますが

マンション管理運営における 実務上の重要性からして 読み返すに値するもので

あろうことは 確かとして 特に 勝訴側の熱意・645条登場の背景というもの( おそらくですが

つまるところ 私的自治の要めたる規約よりも そこには登場していない645条を引き出して

決着の重要な役どころとして使ったという事情<それまでの管理運営上の疑義の解明の必要性?>

あたりのこと)・管理組合というものの法的性格・個人の事情と執行部のスタンスと管理会社の

あり方と管理全体の実質的な益との比較考量などの 総決算の論理 が 洗いだされている

ように 思え 自身にとっては 大きな指針とも思う判例(確定か否か不明ですが)のひとつです

 

ということで 今も 読み返しているのです

難解なところもありますが 区分所有法・標準管理規約・場合によっては民事訴訟法の学習者にも

とっても魅力ある攻防場面を示しての ケースブックであるような 【主文  事実及び理由】です

 

省略しているところも在ります   判決に登場の以下の部分は 特に いろいろ考えさせられました
< 主張 や 断判 など が 混じっています       
   本来は 全文 を参照するのがベストであろうこと 当然 です >


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(なお,以下の本判決で は,建物の区分所有等に関する法律を「区分所有法」,マンションの管理の

適正化の推進に関する法律を「適正化推進法」,一般社団法人及び一般財団 法人に関する法律を

一般法人法」といい,適正化推進法3条所定のマンシ ョンの管理の適正化に関する指針を

マンション管理適正化指針」という。)。

ということで青字の法律の学習にもなると考えます



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〔 ・・・各区分所有者から金銭(管理費)を徴収しこれを保管しているが,その金銭は各区分

所有者から保管を委託された金銭にほかならない。

したがって,各区分所有者と管理組合との間には少なくとも金銭管理に関する準委任関係がある

そして,管理組合は,各区分所有者との関係で,団体固有の機密情報というものをおよそ保有し

てもいないから,各区分所有者と管理組合の間では,透明性のある管理費会計が行われることこ

そが最重要課題である。

したがって,各区分所有者と管理組合との間の法律関係は,区分所有法28条が管理者について

民法の委任に関する規定を準用していることからも明 らかなとおり,民法の委任に関する規定に

より規律されると解される

すなわち,個々の区分所有者と管理組合との間の法律関係に対しては,民法645条(受任者の

報告義務を定めた規定)又は民法656条(受任者の保管物引渡義務を定めた規定)が準用される。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


団体自治の名の下に閲覧請求権を著しく制限する原判決の説示に従えば, 規約が裏付資料の閲覧に

関する規定を置かない限り,管理組合は裏付資料を秘匿することが可能となるが,これが管理組合

の適正な運営を阻害し,不当な結果を招くことは明らかである。


・・・・・・・・・・・


裏付資料を含めた管理組合保管文書の閲覧請求が認められる根拠が, 管理組合の適正な運営を担保

するためであること,写真撮影は作業内容が閲覧と異ならないこと,写真撮影をさせても被控訴人

の費用負担の問題が生じないことに照らせば,閲覧の際の写真撮影も「閲覧」に含まれると解釈す

べきである

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


被控訴人の組合員の住所氏名や連絡先は,被控訴人という団体の成り立ちを知るための最も基本的な

情報でありながら,不動産登記記録からは必ずしも明らかにならない情報であるから,これを知るた

めには本件名簿の閲覧によるしかない

社員名簿に関する一般法人法32条,株主名簿に関する会社法125条が, 個々の社員や株主による

閲覧請求権を認めていることからも明らかなとおり, 合理的な理由に基づく本件名簿の閲覧請求は,

組合員のプライバシーに優越する


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


適正化推進法3条所定のマンション管理適正化指針は,管理組合と個々の区分所有者との間の法律関

係を直接的に規律するものではないものの,両者間の法律関係のあり方を検討する上で当然に考慮し

なければならないものであり,その実効性を損なうような法令の解釈適用は避ける必要がある

管理組合の区分所有者に対する情報開示義務に関し,法令の解釈適用をするに当たっては,このよう

に,適正化推進法が施行されて長年が経過し,上記のような内容のマンション管理適正化指針が公表

されているという経過を踏まえて行うべきである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


社団の内部関係に対しては,社団法人に関する法律の規定が類推適用されるというのが法律学の通説

である

一般法人法が上記のとおりの情報開示を保障しているのに,社団である管理組合にあっては同様の保

障が及ばないと考える合理的な根拠は見出し難い。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


国土交通省が定めた標準管理規約64条は,個々の区分所有者に対し組合員名簿の閲覧請求権を認め

ている。

一般法人法32条は,一般社団法人の個々の社員に対し社員名簿の閲覧謄写請求権を認め,会社法

125条は,株式会社の個々の株主に 対し株主名簿の閲覧謄写請求権を認めている。

一般法人法と会社法は,いずれも個人情報の保護に関する法律が平成15年5月30日に施行された

後に立法され施行された法律であるが,これら法律は,個人情報保護の観点から, 人的団体の構成員

が他の構成員が誰であるかを知る権利を制限しようとはしていない。・・・ 〕


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ということで 重要な判例について より詳しい内容を 載せさせていただきました

                  

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