〈遺産分割協議〉における実務の場面では さほど紛れる進行にはならないのが
通常です が 『〇〇は大学院まで進学できた』『 □□は 家を建ててもらった』
などの言が登場し そうした折の説明に サマザマな相続法上の理論の解釈を求め
られても シッカリと誤解を解きつつ 納得していただいたつもりの合意?がアヤ
フヤなまま進めてしまうようなことが無いよう努めないと 隠れていた難解な相続
法上の論点が繰り返され ・・・ 意外な争いに進展してしまうことがあります
(亡くなった者の生前の資産収入・社会的地位からすれば
その程度の教育は普通だろうという場合は 学費の支出は
扶養の範囲であって 特別受益にならないと解釈されるこ
とが以前より多くなっていますが)
そのなかでも モットモ 注意しなければならないのは 《遺留分》 についての
説明ではないかと 思っています
この範囲は そうとうな分量で 大きな改正 が なされています
本日の 各種受験用オリジナル問題の学び です
Ⅹは令和5年12月に死亡し、相続人として子Y・Zがいる。
Xの遺産は、2000万円であり、債務はない。
Xは、ℤに対し、死亡の一年前に、A土地(相続開始時評価額3000万円)を
贈与したが、Yはその事実を知っている。
この場合の遺留分に関しての以下の肢について、その正誤を答えなさい。
1 Yは遺産から1000万円取得するが、それでもYの遺留分は侵害されている。
2 Yが遺留分が侵害されているとして遺留分の主張をしたならば、A土地の共有
持分権を当然に取得することになり、その共有持分に基づく登記請求権は物権
的請求権として消滅時効にかからないことになる。
3 Yは、遺留分の主張をして、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを、Zに請
求できる。
4 遺留分権利者が取得するのは、常に金銭債権であるので、それは民法の一般の
債権と同様の消滅時効の規律に服することになる。
1 について 正しい
(3000+2000) × 1/2 × 1/2 = 1250
であり Yは1000万円取得しても 250万円 侵害されている
〈子として遺留分権利者であり 子が二人なので 同等に分けられる〉
下記 1042・1043・1046条 を 参照ください
2 について 誤 り
肢は 改正前(減殺の請求権)の理論であり 改正後は(遺留分侵害額の請求権)
となり遺留分権利者が取得するのは金銭債権である
下記 1046条 を 参照ください
3 について 正しい
改正後は 遺留分権利者が遺留分の主張(遺留分侵害額請求権の行使・形成権)を
すれば受贈者等に対する金銭債権を得るということなので 正しい内容である
下記 1046条 を 参照ください
4 について 正しい
Yは金銭債権を取得することになるので その金銭債権は債権の消滅時効の規律
に服する
下記 166条 を 参照ください
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記 条文に省略がある場合もあります
財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
り算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。
相続分は、三分 の一とする。
相続分は、四分の一とする。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉
妹の相続分の二分の一とする。
額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたもの
についても、同様とする。
「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)
」とする。
の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭
の支払を請求することができる。
三号に掲げる額を加算して算定する。
利者が取得すべき遺産の価額
る債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額
あったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過し
たときも、同様とする。