おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

相続人に不動産を贈与していた件

2024-02-29 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

〈遺産分割協議〉における実務の場面では さほど紛れる進行にはならないのが

通常です が 『〇〇は大学院まで進学できた』『 □□は 家を建ててもらった』

などの言が登場し そうした折の説明に サマザマな相続法上の理論の解釈を求め

られても シッカリと誤解を解きつつ 納得していただいたつもりの合意?がアヤ

フヤなまま進めてしまうようなことが無いよう努めないと 隠れていた難解な相続

法上の論点が繰り返され ・・・ 意外な争いに進展してしまうことがあります
(亡くなった者の生前の資産収入・社会的地位からすれば

その程度の教育は普通だろうという場合は 学費の支出は
扶養の範囲であって 特
別受益にならないと解釈されるこ
とが以前より多くなっていますが)

そのなかでも モットモ 注意しなければならないのは 《遺留分》 についての

説明ではないかと 思っています

この範囲は そうとうな分量で 大きな改正 が なされています

 

 

 

本日の 各種受験用オリジナル問題の学び です



Ⅹは令和5年12月に死亡し、相続人として子Y・Zがいる。
Xの遺産は、2000万円であり、債務はない。
Xは、ℤに対し、死亡の一年前に、A土地(相続開始時評価額3000万円)を
贈与したが、Yはその事実を知っている。
この場合の遺留分に関しての以下の肢について、その正誤を答えなさい。

1 Yは遺産から1000万円取得するが、それでもYの遺留分は侵害されている。

 

2 Yが遺留分が侵害されているとして遺留分の主張をしたならば、A土地の共有
  持分権を当然に取得することになり、その共有持分に基づく登記請求権は物権
  的請求権として消滅時効にかからないことになる。

 

3 Yは、遺留分の主張をして、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを、Zに請
  求できる。

 

4 遺留分権利者が取得するのは、常に金銭債権であるので、それは民法の一般の
  債権と同様の消滅時効の規律に服することになる。

 



 

1 について                            正しい

 (3000+2000) × 1/2   × 1/2   = 1250

 であり Yは1000万円取得しても 250万円 侵害されている
 〈子として遺留分権利者であり 子が二人なので 同等に分けられる〉


下記 1042・1043・1046条 を 参照ください

 

 

2 について                             誤 り 

 肢は 改正前(減殺の請求権)の理論であり 改正後は(遺留分侵害額の請求権)
 となり遺留分権利者が取得するのは金銭債権である                          


下記 1046条 を 参照ください

 

 

3 について                             正しい

 改正後は 遺留分権利者が遺留分の主張(遺留分侵害額請求権の行使・形成権)を
 すれば受贈者等に対する金銭債権を得るということなので 正しい内容である


下記 1046条 を 参照ください

 

 

4 について                             正しい

 Yは金銭債権を取得することになるので その金銭債権は債権の消滅時効の規律
 に服する


下記 166条 を 参照ください

 

 

 

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              記          条文に省略がある場合もあります

第三節 消滅時効
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

 

第九章 遺留分
(遺留分の帰属及びその割合)
第千四十二条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための
財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一
2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定によ
り算定したその各自の相続分を乗じた割合とする

    (法定相続分)
    第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
    一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
    二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の
      相続分は、三分   の一とする。
    三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の
      相続分は、四分の一とする。
    四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
      ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉
      妹の相続分の二分の一とする。
    
(遺留分を算定するための財産の価額)
第千四十三条 遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価
額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。
 
第千四十四条 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたもの
についても、同様とする。
 
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、
「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)
」とする。

 
(遺留分侵害額の請求
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分
の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭
の支払を請求することができる
2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第
三号に掲げる額を加算して算定する。
一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額
二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権
利者が取得すべき遺産の価額
三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継す
る債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

 
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈が
あったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過し
たときも、同様とする。

 
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