おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

マッタク予想外? でも 登場かも

2023-12-16 | マンション管理関連試験等サポート   

 

以前から記していますが おおよその国家試験は より実務的な傾向を強めて

いると思えます(もっとも 試験というもの まず 何が登場してもオカシク

ハナイという面がありそうですが・・・)

 

主として 〈マンション管理士・管理業務主任者〉試験受験者の方のための

オリジナル問題です
〔行政試験など 総じて法文系国家試験受験者の方にも参考になると考えます〕

よろしかったら ご利用ください
                

                             



                               〈オリジナル 2〉
【1】
令和5年5月5日に、甲銀行は二年後に返済する契約でXに300万円を貸与した。
同じ日に、乙信用協同組合は、同じ約定によりXに300万円を貸与した。
七年経ての数日後に、甲および乙は、Xにはじめて支払いを請求した。
その場合、Xは甲および乙に対して、消滅時効を援用することができるか。

【2】
上記事例について、ここ数年の「民法改正」前での時のことと仮定した場合には、ど
のような決論になるのか。


 

【1】について

Xは、甲および乙に対して消滅時効を援用することができる。
(両債権は、債権者が権利を行使できることを知ったときから5年で、時効消滅する。
 確定期限の定めのある債権については、債権の発生時に債権発生を基礎づける事実に
 ついて現実に認識しているのが通常であるので、二年後に返済という確定期限の到来
 時の令和7年5月5日を起算点としての5年の消滅時効が完成している。)

【2】について

Xは甲に、商法旧522条本文の消滅時効を援用できた。

信用協同組合は商人ではない(最判48・10・5)ので、非商人に貸し付ける行為は
付属的商行為(商503)に当たらない。旧167条1項によって、10年の消滅時効
が適用となり、確定期限から10年を経過していないので消滅時効は完成していない。
Xは乙に対しては、消滅時効を援用できなかった。

 

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期限の到来の効果)
第百三十五条 
法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを
請求することができない。
      ※ 債務は発生していても期限の到来までその履行はとどめられている
        ので 債権者が権利を行使できるわけではない
2 法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅
する。
    
 
(債権等の消滅時効
第百六十六条 
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使し
ないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、
その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時
効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。


(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
第百六十七条 
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の
規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。


 

 

ポイント

・商法旧522条は、廃止された(商行為によって生じた債権にも新166条1項が
 適用される)。

・消滅時効期間は、「権利を行使できるとき」 から進行する
(弁済期限は、未だ権利を行使できるときに至っていないので、消滅時効期間は進
 行しない。債権が存在しているということだけで消滅時効が進行してしまう、とい
 わけではない。)

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