おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

続いて〔Ⅱ〕

2021-06-06 | マンション管理関連試験等サポート   



率直に言って この問題に試験会場で出会ったときの受験者の心持あたりのこと

を想像してみると

『 不動産登記法が出題範囲だ ということさえ理解していなかったので 問題に

 あたってみようという気持ちさえ起きてこなかった 』

『 お手上げ ダ 
 質問の意味 というか このような問題が登場するなどとは思ってもみなかった
 というか 不動産登記法はマダ学習していない 』

 

『 対抗要件のことなどから 不動産登記の基本的なことは知ってはいたが ズバリ 

 敷地権関係の条文知識的なことを問われるとは 考えていなかった

 <敷地権とは?> くらいの知識を問われるレベルの問題ならば想定はしてい

 たのだが 』

『 不動産登記法 という 他の分野に較べるとあまり重要度がないもの?ではあるの
 だろうし だから出題頻度も低いはず・・・ ? と それにしても とにかく例年
 のように出題はされていたようだったか ?と ドキッとはしたが 
 とにかく 条文そのものを問うというレベルなのだろうから 難解問題だとカシコマ
 ッタリ オドオド
 する必要まではないと捉えて とにかく体当たりだ

    それにしても 実際 ここ数年連続で登記関連の出題があったような ? しかも同
 じ条文が何度も登場しているのだったかな ? もっとシッカリ 確かめておけばよ
 かったなー 』

 

などなど

 

どのようなことを どのように登記(公示)しておいて知ってもらえば その権利を
対抗(主張できる)のか ?

 

土地と建物は それぞれが 独立の登記対象なのだけれど 敷地権のことは 定義か
ら理解できるように 一緒の運命体 で扱う仕組み なので 専有部分のこと・土地
だけの権利のことの対抗のことはどのように扱う仕組みなのか 建物関係の登記がな

されたら同様の効力が土地の敷地権についても登記されたことになること と 登記
申請が許されないことがあるのは どのような場合なのか ?

そうしたあたりの疑問が学習上で起こるはず と思われる

その類の疑問が生じてないのであれば まだ 敷地権の仕組み自体が理解できていな

いのではないかな ? いや シッカリと整理済みなので 疑問は起きないと言えるレ
ベルに到達している方も存在するだろうし・・・

 

この問題の重さは
登記制度とか仮登記などの登記法の知識

敷地利用権・敷地権の知識

区分所有権というものの総合的な知識

対抗要件のあり方の知識

その他の知識も

 

本来は そういうものの理解が必要とされる問題だということ だろう

 

でも

もしかすると 出題者は 不動産登記法73条のことだけを念頭にしていたのか ?

ということも考えてしまいそうな・・なぜかというと つまるところ 不動産登記法
73条条文自体の知識を問うているのだ という理解もできそうなので・・・・

でも 仮に73条丸暗記していた方がいたとしても 受験会場ではやはり考え込んで

しまうだろうなー と 思われたりもするし
(そんな単純なことじゃないだろう この条文の存在を仮に知っていたとしても 

 ナゼこのような条文が設けられる必要があるのか 条文の文言を実務の場面とリンク
させた場合 この条項の各々使われ様はドンナものなのか を 追究するタイプの受験

者には堪えただろうな・・・との思いもしてしまう)

 

とにかく 次のようなことの知識もなければ 本来 ?答えには辿りつけなかった

であろう問題だ と 自身には思えてしまうのです

 

 

マンション不動産登記関係のこのレベルの問題がこのように登場し 今後もその可
能性大 といえそうなので・・・

 

まず 敷地権 についての 基本知識をシンプルに記しておいて
それに関しての登記についての 基本知識をも 少しだけでも記してみたいと

 

まず 
マンションの敷地に関する法律用語の確認などをキチンとしなければなりません
そのあたりがシッカリしていないと この類の問題にあたれないと考えられます

 

 

この出題にあたるための基本中の基本だけでも記してみると

 

敷地利用権 とは
 マンションの敷地を利用するための権利を 敷地利用権 といい 一般的には
 所有権ですが 土地を借りてマンションを建てているときは借地権(土地賃借権・
 地上権)です


 (定義)  区分所有法

 第二条 

 6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の
   敷地に関する権利をいう。

 

敷地権 とは
 登記された敷地利用権で 専有部分と分離して処分できなくなったもの

 不動産登記法に登場の条文では


第三款 建物の表示に関する登記

(建物の表示に関する登記の登記事項)

第四十四条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、
次のとおりとする。

九 建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法
第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第
二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有
者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)
があるときは、その敷地権


 

 マンションの権利の構成は 専有部分の所有権と敷地の権利の共有(所有権の
 共有・賃借権等は準共有)持分からなっていて この二つは一体化されていて
 分離して処分することができないとされます(原則であり 規約で一体化しない
 ことも可とされ この場合は 土地に関する権利の登記は 土地登記簿に記載
 されるので敷地共有持分者とその持分割合や各々の抵当権設定登記などが一々
 載り 土地の共有持分者の権利に関わることとして 当然其処に載ることとな
 ります(マンションの敷地である 土地 のことの権利変動の公示の場とし
 て その 土地登記簿に)
 ということで 所有権移転登記をすれば 敷地の権利についても移転の登記を
 した効力が自動的に生じる などということにはなり得ません

 敷地権登記制度は昭和59年1月1日以降の新築マンションに適用され それ
 以前のマンションの登記も変更するとされていますが まだのものも残存して
 いるようです)
 

 繰り返しになりますが

 敷地権の登記がなされた区分所有建物は 建物専有部分について権利変動(所有
 権が移った等)の登記をすれば 敷地権にも自動的にその効力が及びます
 それなので 区分所有建物の権利変動は 建物専有部分の登記簿に記載するだけ
 でよく 敷地権の目的になっている土地の登記簿に記載する必要がないことになり
 敷地権の目的となった土地の登記簿には 
 [所有権敷地権]
  のように
 [建物の表示 ○○○55番地1 一棟の建物の名称 △△マンション]
  のように
 登記されていて 簡単な内容で済むようになっています

 

 

登記原因 とは
 硬い説明では 「登記すべき権利変動の原因となる法律行為」 と表現されそう
 ですが 登記簿に <原因 ・ 平成○年○月○日 売買> などと示されるもの

 

仮登記 とは

 条文で示すと


(仮登記に基づく本登記の順位)

 第百六条 仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産について
 される同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に
 当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした
 場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。


 

 

と記してはみましたが トテモトテモ 受験者の方のための登記関係知識としては ゼン
ゼン

足りません スミマセン

本日掲載の過去問に挑むためには あまりに 不足 過ぎます

またあらためて と 思ってもいます

 

民法基本書にはサラッとしか掲載されていないと思います なんとか 登記関係知識の
知識を獲得できそうな基本書を 見つけてください(司法書士受験者の方にとっても
おそらく チョットばかりは 手ごわい出題だったかも ?)

 

 

 さて

問題の正解は 

 

 について

 担保権に係る権利に関する登記で その登記の目的等(登記の目的・登記原因及び
 その日付等)が敷地権となった土地の権利についてされた担保権の登記の目的等と

 同一であるものは 建物の登記記録によって公示することとしても不都合はなく 

 かえって合理的だからとして 建物についての担保権に係る権利に関する登記が

 敷地権についてされた登記としての効力があるとされている
                      (不動産登記法73①1号括弧書き)

 概ねのレベルで言ってしまうと 日付等同一のものとも言えることの登記内容なの
 で 73条1項のただし書きの対象としてしまう必要はないのでは ということ

 

 について

 不動産登記法 73条ただし書2号
敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関
する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該
建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの なので
敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされ
た登記としての効力を有する。 とはならない
ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。 とある 次に掲げる登記 として
2号に登場しているので

 

 について

 3 敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所
有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をする
ことができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じた
もの(分離処分禁止の場合を除く。)又は当該建物のみの所有権についての仮登
記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登
記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限
りでない
という条文の 太字に該当している場合なので 当該建物のみを目的として登記
することができることになる(ただし・・・・・この限りでない という文言に
よって 登記が可能になっている)

 

 について

2 第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移

転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることがで

きない。
ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離
処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵
当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登
記原因が生じたものは、この限りでない。

との73条2項があるが 肢4には
<・・・当該土地が敷地権の目的となった後に登記原因が生じた敷地権についての

仮登記・・・・>とあるので (ただし、・・・・この限りでない。)の場合に
は当てはまらないことになる

 


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