おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

民法改正 重要なこと タクサン あり

2021-08-19 | ◆ 業 務 参 考( 総 合 )

 

長い間 改正の必要があったのに 100年以上も経ってしまっていたのですから

当然のことかもしれませんが 実務においても 民法改正は 影響が大きい箇所が

多い と いえそうです

自身も 調べものに追われます

というか 基本に戻って 改正前からの学習を という場面もそれなりにあります

以前との比較で考えないと ウッカリミス が恐いので

 

改正関連の事は その都度 少しばかり ? 記してきていますが

本日は 受験上においても 実務においても 気になっている 〔債権者代位権〕

 

 

債権者は 自分の債権を保全(弁済を受けられるように手はずを整え 差押えでき

るように債務者の財産を確保する)するために 債務者の権利を代わりに使うこと

ができる というものが 債権者代位権

 

 

(保全 
 ということを考えてみるケースとして)

 

 が  に対して金銭債権をもっている

 は  に自分の土地を売った

は代金を支払っていない 
は なぜか 請求しないままだ

もっとも に資力がある状況なら  は イザとなったら 

に対して持っている売買代金債権を が差し押さえて

回収することを考えるかもしれない

にお金がないので支払われないままなのかもしれない

そうだとすると 代金債権の差し押さえは無駄になる

“ どうしたらよいのだろうか・・・? ”

まず 

 は 売買契約の解除権を持つので その権利を債権者代位権で

 が 行使する(売買契約を解消して土地の所有権をに戻す)

 が  に対して持っている登記の抹消請求権の行使も債権者代位権で

行って所有権登記名義を  に戻す

そうしておいて  のその土地を差し押さえる

 

 

さて

この債権者代位権についても 改正があります

繰り返しになりますが 実務上でも モチロン タイセツな知識です

 


 

第二款 債権者代位権
(債権者代位権の要件)
第四百二十三条 
債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利
(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。
ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない

      ※ 債務者が死後認知を求めるならば相続人になり財産が入ってくる
        としても そのような事例では債務者に代わって債権者が代位し
        て訴提起するまでのことはできない
        代位行使が認められないものもある
 
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。
ただし、保存行為は、この限りでない。
3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、
被代位権利を行使することができない。


(代位行使の範囲)
第四百二十三条の二 
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、
自己の債権の額の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる。


(債権者への支払又は引渡し)
第四百二十三条の三 
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡
しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対して
ることを求めることができる。
この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権
利は、これによって消滅する。

       ※ 本来なら支払を受けた金銭は 代位された権利からのものなのだから
         債務者へ引き渡すべきだが 相殺して自分の債権を回収できてしまう
         つまり
         債権者代位権により債務者に属している金銭債権を代位行使すると
         事実上 他の債権者より優先的に債権回収できてしまう

         本来なら強制執行差押には確定判決などが必要であり裁判所による手
         続をも必要とされるのに そうしたものがなくとも債権の実現の権利
         行使ができてしまっている
 
(相手方の抗弁)
第四百二十三条の四 
債権者が被代位権利を行使したときは、相手方は、債務者に対して主張することができる
抗弁をもって、債権者に対抗することができる。


(債務者の取立てその他の処分の権限等)
第四百二十三条の五 
債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立
てその他の処分をすることを妨げられない。
この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨
げられない。


(被代位権利の行使に係る訴えを提起した場合の訴訟告知)
第四百二十三条の六 
債権者は、被代位権利の行使に係る訴えを提起したときは、遅滞なく、債務者に対し、訴訟
告知をしなければならない。

            ※ 訴訟告知とは 訴訟になっていることを通知すること
                                (民訴53)
 
(登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権)
第四百二十三条の七 
登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲
り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請
求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができる。
この場合においては、前三条の規定を準用する。
 
           ※ もともとは 債務者が無資力なので代わりに債権者が
             債務者の資力の回復などのための制度でしたが その
             要件を問わずに(特定の物と結びついた債権の場合は
             資力の有無を問わない)との判例などが明文化されて
             います
             
             賃貸人が妨害者にシッカリと対応してくれない場合に 
             賃貸人に代わって不動産の賃借人が妨害排除できるよ
             うにするとの判例でも債権者代位権が用いられていま
             したが 次の条文が登場し債権者代位権によらなくて
             すむようになっています
   
   (不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
   第六百五条の四 
   不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、
   次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
    一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の
      停止の請求
    二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求

 

 

 

受験者の方は 

一条で済まされていたものが 上記のように増えていますので ご注意を

もっとも それなりに学習を続けてきていた方にとっては 判例の明文化 というような

ことも目立つので 少々 安心かな ?

でも 眺めておくべき条項が 7個にもなってしまっていますので 要注意ですね

 

                                                 

                                                                                                  はたけやまとくお事 務 所

 

 

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