昨日は、毎年恒例の中小企業診断士の理論更新研修を受講してきました。
資格の更新のため毎年受講を義務づけられている座学研修です。
今回は、いつものように経済産業局中小企業課長の国の最新施策、中小企業白書の解説と「これからの品質管理」というテーマでの診断士の講演。
年とともに研修や講義をうけることは、結構おっくうになってくるのですが、30度を超える気温、月~金の疲れなどで益々嫌な感じ・・・。
でも必須受講なので、行くしかないなということで真面目に受講。
研修や座学は、一種のリトマス試験紙のようなもの。その時の気分や状況が自己判定できます。
妙にニヒルな時、やけに学ぶ意欲が高い時、とんでもなく眠い時・・・。
その分類で行くと、まあ、話だけは聞いてくるかというネガティブな感じでした(笑)。
興味深かったのが後半の「これからの品質管理」。
ものづくりニッポンのシンボルでもある品質管理。デミング博士に端を発したカイゼン、小集団活動、統計手法、七つ道具・・・。
20世紀の後半には、ニッポン品質は、世界のマーケットを席巻したのです。
しかしながら、現在では、日本でしか通用しないガラパゴス化、過剰品質、オーバースペック等の品質追及の反作用が随所に見られます。
中国や韓国勢は、BOP市場でも大きなシェアをとり、かってのニッポンプランドは大きく揺らいでいます。
講師は、「現在、製造業の現場では七つ道具や新七つ道具はあまり使っていません。それは、これらのツールは改善を目的とするものであり、商品開発や製品開発にはあまり役立たないからです」。
確かに、最近では企業内でのQC大会や小集団活動の話を聞く機会が少なくなりましたし、また、あったとしても形式的、名目的、儀礼的なQC活動、ヤラサレQCといった感じです。
品質管理は、QCがTQCとなり、さらにTQCとなっても、何となく過去の遺物的な感じ、さらに言えば「守りの経営ツール」といった感があります。
戦略だ戦術だ、ポーターだコトラーだと騒ぐチマタの「攻めの経営」理論からすれば、少し後ろ向きな感じです。
新製品や新サービスが華であるとすれば、品質管理は路地裏に咲く一輪のタンポポといった風情です。
攻める新興国、守りのニッポンという図式ということになるのでしょうか。
そうは言っても日本には、狩猟民族的、アングロサクソン的な攻め、攻め、攻め・・・という展開は、どうも難しいような感じがします。
「華々しい新技術や発明だけがイノベーションではない。
日常の地道な積み重ねの中からこそ本当のイノベーションが生まれる」
これはドラッカー博士の言葉です。ガラパゴスと言われようと過剰品質と言われようとニッポンの品質管理の伝統は、守り続けていかなければならないと思います。
そうでなければ中途半端な中国、選択と集中をとらない韓国・・・といったピンボケJAPANになり下がってしまいます。
紳士服の全国大手チェーンではなく、銀座の路地裏にあるテーラーメイドの背広屋さんのように生きる・・・。
そこに知る人ぞ知るコダワリを持ったお客さんが買いに来る、そして商売が成り立つ・・・。
最低でもそんな生き方が出来るニッポンになるべきであると考えています。