最近、やっと脚光をあびはじめた観光ビジネス。
政府のビジットジャパン・キャンペーンや外国人観光客の獲得のための各種施策も3.11以降、少し後退気味でしたが、ここに来て盛り返してきました。
今回の一冊は、価値あるコントパフォーマンスの高い一冊。
観光ビジネスやエンターテイメントビジネス、サービス業に興味を持たれている方には必読の一冊です。
今回は、「企業診断ニュース」2012年7月号に掲載された小生の稚拙な書評文書で紹介させていただきます。
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「観光ビジネス未来白書
統計に見る実態・分析から見える未来戦略 2012年版」
加藤弘治編著 同友館
海外からの旅行客が、東日本大震災前に近づきつつあるという新聞報道。本書2011年版は昨年4月に刊行されたが、原稿がまとめられたのは3.11前であった。今回の2012年版では、最新のデータに更新するとともに、新たなジャンルや項目を盛り込み充実させた内容となっている。2011年版の書評も担当させていただいたが、2012年版ではカテゴリーも8分野増加、ページ数で14ページ増となっている。観光ビジネスによる「復興」についても、復興支援ツアー、市民ファンドサポーター、三陸鉄道復興事業を解説するとともに、東北と全国を結ぶLCC(格安航空会社)運行、被災地ナマ情報発信等の提言をしている。
本書は、16名の中小企業診断士が観光ビジネスについて78のカテゴリーから官公庁やシンクタンクの統計・データをベースとして未来戦略を提唱している一冊である。見開きページで各ジャンルの「現状」と「未来戦略」で構成。未来戦略での提言は診断士らしいクリエイティブなアイデアが散りばめられており興味深い。12年版では、新たにエコツーリズム、グリーンツーリズム、メディカルツーリズムや地域イベントビジネス等が取り上げられ、最終節では「注目の観光ビジネス」としてロケ地誘致ビジネス、カジノビジネス、ペットホテル、町家ビジネス等を取り上げている。
観光立国を目指すわが国にとって、ソフトパワーは極めて重要である。観光ビジネスを体系的に整理した本書の存在は、明日の観光ビジネスを考えていく上でのプラットホームになりうる。この本をベースにして観光ビジネスに関する勉強会や研究会を実施すれば、さまざまなアイデアや多様な意見を引き出すことが出来るものと考える。以上