政府をあげて進めている「働き方改革」。
労働基準監督官を100名増員、
かとく(過重労働撲滅特別対策班)の活動強化、
法改正に向けた取り組みなど、従来なかった動きが出始めています。
お上による改革・・・「働き方」改革というよりは、むしろ「働かせ方」改革のように思います。
生産性、効率性、効果性を高めて労働時間を短縮し、ワークライフバランスを充実させる・・・
言うは易し、行うは難しの二律背反のテーマです。
そんな中、働き方改革に関する新書が出ました。
日経文庫「働き方改革まるわかり」
北岡大介著 日本経済新聞出版社 860円+税
著者は、元労働基準監督官の社会保険労務士。
労基署の実務、現場での行政など具体的な事例、ケースを交えて分かりやすく解説された一冊です。
目次
第1章 働き方改革の背景 なぜ、いま必要なのか?
第2章 労働時間をどう見るか
第3章 多様な労働時間制度と健康障害防止対策
第4章 働かせ方、働き方改革の進め方
第5章 働かせ方トラブル時の紛争解決制度
終章 労働の未来と働き方改革
今までは、36協定を結んでおけば、厚労省の限度基準告示に基づき、
的確な労働時間管理、労務管理をしておけば労使トラブルはそれほど起こりませんでした。
1か月45時間、1年360時間というのが、日本のホワイトカラーの平均的な労働時間になっていたように思います。
数十年前、日本の労働者は、年間2000時間以上働いていました。
当時は、日本人の勤勉、働きすぎが、国際的にも非難され、
何だかよく分からないホワイトカラーの生産性向上キャンペーンのようなものが民間を中心にムーブメントとなっていました。
ほとんど効果はありませんでしたが・・・。
あれから40年。
日本人の労働時間は、年間1700時間まで減少。
(ドイツでは、年間の労働時間は1300時間台・・・)
今ふたたび、働き方、働かせ方改革の動きが、お上を主役として進んでいます。
労働の生産性が高まり、時間に余裕が出来たとしても、
それは、公務員以外のサラリーパースンは、遊びではなく、新たな仕事に使うと思います。
ホワイトカラーの仕事を単に労働時間で測ることは、あまり意味のないこと。
工場の生産ラインのように、動かせば動かすほど生産量が増加するわけではないからです。
高度プロフェッショナル、ホワイトカラーエグゼンプションといった制度は必要と考えています。
残業代カット法案、過労死法案ではなく、サラリーマン人生を賭けたプロサラリーマン応援法案だと思っています。
時代は、労働時間というより、アウトプットの質とスピードの時代に入っていると思います。