10連休、ゴールデンウィークのお勉強タイムの2冊目。
事業買収についてです。
廃業率が開業率を上回って久しいニッポン。
後継者不在、事情承継難で、127万社が消えていくということです。
会社が380万社あるということですから、その3分の1がなくなるという計算です。
会社の倒産、解散は、雇用の場を減らし、取引先やステークホルダーにも影響を及ぼし、地域経済に打撃を与え、ひいては日本経済全体の地盤沈下に繋がっていくことになります。
0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円 個人でできる事業買収入門
奥村聡著 光文社新書 840円+税
著者の奥村さんは司法書士。
自ら立ち上げた地域最大の司法書士事務所を他者に譲渡した方です。
現在は、事業承継デザイナーとして、後継者不在や社長の死亡、財務状況の悪化など存続の危機にある中小企業700社以上を支援してきたというキャリア。
「社長のおくりびと」の異名を持っているそうです。
日本においては、M&Aや事業買収、事業再生、事業譲渡といった高い専門性が求められるジャンル。
M&A会社、専門家としては、一部の税理士、一部の弁護士、一部の司法書士、一部の中小企業診断士といったところでしょうか?
でも、事業再生と同様、怪しいコンサルタントや口八丁手八丁の輩の跋扈する世界です。
チャンスとリスクがコインの表裏となる世界です。
目次
第1章 「絶滅危惧社」を買ってみよう 投資×実働の両輪で勝負する 人生100年時代の最強キャリアスキル
第2章 「ダイヤの原石」を探してみよう
第3章 「おいしい会社」を手に入れよう
第4章 会社を買う値段を決めてみよう
第5章 分社手法で買える会社を増やそう
第6章 オーナー社長を口説き落そう
小職の知り合いの中小企業の経営者の人たちを見ると、一つの共通点があります。
アタマは低いが、とても個性的であるということです。
人生を賭けて事業を起こしたり、親から事業を引き継いだ社長たちは、独自の世界観、人生観を持った人が多いように思います。
彼彼女たちから、人生の舞台、生き甲斐である会社を引き継ぐことは、とても難しいように思います。
会社におんぶにだっこだったサラリーパースンが、自身のビジネススキルを活かして実働して会社を再興するということは、新規起業に比べればリスクは少ないと思います。
しかしながら、潰れるように出来ている会社経営ということを考えると、素人が飛び込むとかなり厳しいのではないかと思います。
独立起業の相談を受けることがあるのですが、その際には、
①自分が好きで過去のキャリアが活かせる分野であること
②借金をしないこと
③人を雇わないこと
の三点を助言するようにしています。
昨年は、三戸政和さんが書かれた「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門(講談社α文庫)」という本が売れました。
世の中、脱社畜、個人M&Aの時代に入って来たのでしょうか?
奥村さんの面白い指摘が第3章の「会社を買う鉄則」5つ。
財務面や資産面からどんな会社を買うべきかを指南します。
会社を買う鉄則① 借金は大きくてもいい、資産は小さいほうがいい
会社を買う鉄則② 今よりも未来の稼ぐ力に注目せよ
会社を買う鉄則③ 技術と設備に警戒すべし
会社を買う鉄則④ 既得権益ごと買ってしまえ
会社を買う鉄則⑤ 地の利を活かした戦いをする
この個人版M&Aのフレームを使うと良いと思うのが、サラリーマン社会に疑義を持つ20歳代の若者か、サラリーマンの王道やメインストリームを外れたがやる気まんまんの40歳代サラリーマン。
背水の陣で臨むハングリーな人たちだと思います。
そして、
その事業に強い関心があること
勉強好きなこと
高いコミュニケーション力があること
高い志、24時間働ける粘り強さ、強じんな体力を持っていること
が必須であると思います。
リスクを取ることが否定される時代・・・起業家精神の発揮が求められる時代になっていると思います。