将来性が高く、今、最も魅力的な職業と言われているデータサイエンティスト。
日経文庫から入門書が刊行されました。
野村総合研究所データサイエンスラボによって、「データサイエンティスト」を全体的に俯瞰した分かりやすく読みやすい内容になっています。
データサイエンティスト入門
野村総合研究所データサイエンスラボ編 日経文庫 900円+税
AI、IoT、ビッグデータ、RやPython、データサイエンス、ディープラーニング、機械学習・・・数学苦手の文系の小職としては、ちょっと縁遠い世界です(笑)。
大学時代の悪友は、現在、Pythonの学習を始めたということをZoom飲み会で知りました。
まさに60の手習い・・・お主、なかなかやるのう!です。
彼はマーケティングが専門ですが、時代について行こうという姿勢には感心します。
目次
第1章 いまなぜデータサイエンティストなのか
第2章 データサイエンティストに求められる3つの能力
第3章 データサイエンティストの仕事
第4章 データサイエンティストのリアル
第5章 データサイエンティストが拓く未来
データサイエンティストは、「データを使ってビジネスを変革できる専門家」。
今までは、経営コンサルタントが行っていたソリューションを、今からはデータサイエンティストが行うようになるだろうというのが同書の見立てです。
SWOT、3C、4P、7Sなどで企業変革を行ってきた課題解決を、これからはビッグデータを読み取るデータサイエンティストが行うようになるということです。
マッキンゼーやボストンコンサルティングなどの外資系ノコンサルファームが台頭したのが1980年代・・・少し怪しい職業でしたが、今では大学生の人気職種になっています。
データサイエンティストも、この10年くらいで社会的認知が上がり、大学生の憧れの職業になると思います。
「データは21世紀の石油」「数値は言葉よりも雄弁」・・・確かにそのとおりだと思います。
データサイエンティストに求められる3つの能力は、「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」と指摘します。
ただし、SEほどのプログラミングスキルは不要とのこと。
第4章では、「データサイエンティストのリアル」として、6つのストーリー、小説が出てきます。これが、なかなか面白く、データサイエンティストの実像をあぶり出しています。
また、データサイエンティストは、麻酔医に例えたところも興味深い点です。
華やかな外科医や脳医者ではなく、麻酔医。
一歩離れたバックヤードから支える大切な仕事という意味です。
経済産業省の調査によると2030年には54万人の先端IT人材が不足するとのこと。
現時点でも8万人が足りないとのことです。
今では小学校からプログラミングの授業があったり、国立の滋賀大学にもデータサイエンス学部が設置されとのこと。
世界に後れをとらないためにも、STEM教育(科学、テクノロジー、エンジリアリング、数学)の推進は不可欠です・・・最近ではSTEMに「Art(芸術、デザイン)」が加わり「STEAM」教育になっています。
理系人財の時代に移行しなければ、日本の明日はないと思います。
個人的には、データサイエンスは敷居が高すぎるため(笑)、AIやデジタルが出来ない分野を深めていこうと考えています。
「クリエイティビィティ(創造性)」や「ヒューマニティ(人間らしさ、おもてなし)」「マネジメント(ビジネス力)」。
「戦略サファリ」や「MBAが会社を滅ぼす」の名著で有名なマギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授が指摘するように、経営は「サイエンス」「アート」「クラフト」の三角形が重要です。
サイエンス(科学、数字)を尊重しつつ、「アート(芸術性、デザイン)」「クラフト(職人技)」で付加価値を創出していくという戦略戦術です。
デジタルの最先端を進むデータサイエンティストたち。
その岐路となるのは、高校時代、特に高校1年生あたりだと思います。
日本復興のためには、この国の若者たちが、デジタルで世界を変革するという志や夢、希望を持てるかどうかにかかっていると思います。
社会にイノベーションを起こすのは、いつの時代も「若者」「ヨソ者」「バカ者」。
この国にスティーヴ・ジョブズが出てくることを願わずにはおれません。
がんばれ!若いの!