寒くなってきました。
朝から青空。
橋の横には凍結防止剤が置かれていました。
さあ、一週間の始まり、月曜日。
寒くなってきました。
大好きなヤマザキマリさんの新刊本が出ました。
新潮新書では「パスタぎらい」に次ぐ2冊目です。
17歳でイタリア・フィレンツェに留学。
貧乏な画学生として、スタートします。
その後、漫画家、文筆家、画家としてブレーク。
「テルマエ・ロマエ」「プリニウス」はベストセラーになりました。
貧乏ピッツァ
ヤマザキマリ著 新潮新書 820円+税
同書でも歯に衣着せぬヤマザキ節がさく裂します。
札幌の交響楽団でバイオリン奏者だった母のこと、幼少の頃のこと、イタリアへの留学のこと、イタリア人のご主人との会話、米国やイタリア、日本など世界中を転々としながら食を楽しむ姿勢・・・笑いながら読むことのできる一冊です。
目次
第1章 貧乏が私のかくし味
第2章 やっぱりイタリアは美味しい
第3章 素晴らしき日本の食文化
第4章 世界を食べる
第5章 忘れがたき思い出メシ
メインとなるのは、やはりイタリア料理の話。
初めて知ったことが、たくさんありました。
同じピッツァでも、イタリア北部と南部では違うことを面白おかしく解説されています。
ナポリやシチリアなどのイタリア南部では生地の厚いピザ、フチが大きなピザが主流・・・貧しい人が多いため、腹持ちを良くするためだそうです。
基本素手で食べます。
イタリア南部から米国に移民していた人が多く、米国のピザは南部のピザだそうです。
これに対して、イタリア北部は、生地の薄いピザが主流。
ナイフとフォークを使って食べ、フチは食べずに残すそうです。
当然ですが、食のマナーも国により違います。
イタリア人の旦那さんは、日本のラーメンや蕎麦を音を立てて食べることが出来ないそうです。
欧米では品のないことだとされているからです。
でもズルズルすすり上げて食べる醍醐味・・・おいしさが倍増するような気がします。
日本に生まれて良かったなあ!と思います。
世界には、いろいろな食のタブーがあることも書かれていました。
ドイツ・・・ジャガイモをナイフで切ってはいけない。
英国・・・アスパラをナイフで切ってはいけない。
中国・・・接待で出された料理を少し残さなければいけない おもてなしが足りなかったと思われる。
インド・・・食べ残しは失礼。
ハンガリー・・・「最初はビールで」の乾杯はNG。対ドイツ、1849年の独立革命に失敗したため。
メキシコ・・・タコスは素手で食べる。
ブラジル・・・ビザやタコスはナイフとフォークで食べる
イスラム・・・右手だけで食べる
ホント、いろいろあるんですね(笑)。
この他、世界の料理や日本料理についても、マリさん独自の文化論、歴史観を交えて進んでいきます。
同書の結論は、「人間、どうせ死ぬんだから、食べたいときに食べたいものを食べるのが一番幸せ」ということだと思いました。
経済で世界のトップレベルに達したものの、その後失速した日本。
一人当たりGDPは、今やイタリアと同じくらいです。
でも、あくせく働く日本人と対照的に、イタリア人は少しビンボーでも毎日楽しく暮らしているような気がします。
NHKのBSで映し出されるイタリアの日常の光景・・・ビンボーでも庶民でも幸せそうな人々の暮らしがあります。
ヤマザキマリさんの華麗なる貧乏話、世界の食を食べつくした結論としての食哲学・・・笑いながら読めるリベラルアーツとしての見事な一冊でした。