最近、人事労務管理のジャンルの多様化してきました。
今までのように、成果主義が流行れば多くの会社が成果主義導入、役割給が流行ればこれまた役割給ブームに踊った我が国です。
最近では、伊藤リポートを受けての人的資源経営、健康経営、パーパス経営、サステナブル経営、ウェルビーイング経営、ジョブ型雇用、グローバル人事などなど、様々な学者や経営者が諸説をぶつけ合っているように思います。
人事変革ストーリー 個と組織「共進化」の時代
髙倉千春著 光文社新書 990円
著者は、1983年に津田塾大学を卒業して農林水産省に入省。
フルブライト奨学生として米国ジョージタウン大学院でMBAを取得。
その後、コンサル会社、ファイザー、ノベルティスなどの外資系企業を渡り歩き、味の素のグローバル人事部長、ロート製薬取締役、さらには上場企業複数社での社外取締役を務められています。
すごいキャリアです。
現在は、コンサル合同会社を設立され、共同代表を務められています。
目次
序章 いま、企業人事は何を問われているのか
第1章 霞が関からMBA、そしてコンサルタントに 女性の社会進出とキャリア形成を考える
第2章 グローバルHRプロフェッショナルへの道
第3章 適材適所から適所適財へ 日本企業のグローバル人事制度改革
第4章 ジョブ創出型企業の挑戦
第5章 組織改革への道のり 日本企業の特性を踏まえたアプローチとは
第6章 今後の人事はどうあるべきか 人的資本経営の実現に向けて
終章 私の「転職論」
同書で驚いたのが、第2章と第3章で自身のキャリア形成をストーリーとして展開されている部分。
将来の目標をしっかり定め、それに向かってドリフトしながらも進んでいく、学んでいく姿勢に圧倒されました。
キャリア論では、WILL(やりたいこと)、CAN(できること)、MUST(求められていること)の3つの視点があります。
著者は、自ら学び、先を読み、ホームを出てアウェイに身を置き、試行錯誤を重ねながら自身のキャリアを築いていきました。
バリキャリを目指す女性(もちろん男性も)に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
同書では、米国の人事の最新事情が散りばめられています。
・動的な人財マネジメント
・コーポレートアラムナイ
・4B
・組織ヘのエンゲージメント 個のエンゲージメント
・エナジャイズ
・エンプロイーエクスペリエンス(従業員経験価値)
・職業観、価値観、キャリアビジョンとしてのパーパス
・SDGsネイティブ
・ジョブを創出しつづけること
・企業変革のドライバーは「消費者」と「投資家」
・投資家に人事ストーリーを語れるか?
人間にはココロがあり、人事(ジンジ)を決して人事(ヒトゴト)にしてはいけないという著者の信念が通底しています。
この国のCHROや人事部長に読んでいただきたい一冊。
新しいピープルマネジメントをキャッチアップすることが出来るおすすめの本です。