コロナ禍の中、間違いなく増えたのが勉強時間、読書時間。
自宅での自粛、巣ごもり時間の中、学びの時間を増やすことが出来ました。
今年の社労士試験を受験した後輩からメールがありました。
今年の試験は、難易度が高かったとのこと・・・労一が超難問だったとのことでした。
今年3回目の受験・・・努力が実を結ばなかったと意気消沈していました。
合格率が6~7%の社労士試験・・・100名受けて90人以上が不合格となる試験です。
落とすための試験になっているんでしょうね。
運とタイミングがある・・・あきらめたら、そこでゲームセット。
彼をなぐさめ、はげましました。
社会保険労務士になったらなったで、これまた大変です。
刻々と変わる法律や制度・・・社労士の世界も、時代の進化の中で、新しい知識や実務を更新、キャッチアップしていかなければおいて行かれることになります。
働き方改革法、同一労働同一賃金、長時間労働の是正、変形労働時間、年金法の改正・・・。
知識ベースで行くと、この10年で必要な専門知識は、1.5倍くらいになったと思います。
社労士と言えば、年金や健保などの社会保険、労災保険や雇用保険などの労働保険のスペシャリストと見られています。
が、今、社労士業界で焦点になっているが、労務管理の専門家してのADRや裁判への関与。
増加する労働事件・・・労働関係の弁護士が、まだまだ少ないということもあり、その隙間を埋めるべく社労士の中からさらに試験を実施、特定社会保険労務士の制度が出来ました。
屋上屋的なところもないとはいえないのですが、専門性の担保、倫理意識の醸成という点からすると、より高いハードルを設定は必要だと思います。
そして、今回。
社会保険労務士法の改正法案が、一昨年11月14日の衆議院本会議に上程され、全会一致で可決成立しました。
これは、社会保険労務士法の第8次の改正案ということで、概要は次の三点です。
1.厚生労働大臣が指定する団体が行う個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続(民間型ADR)での特定社会保険労務士が単独で紛争当事者を代理することが出来る紛争目的価格の上限を現行の60万円から120万円に引き上げること。
2.社会保険労務士が労働社会保険諸法令に基づく事項について、裁判所において保佐人として弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることが出来ること。
3.社員が一人の社会保険労務士法人の設立をすることができること。
社会保険労務士法の改正は、過去7回にわたり実施されており、司法制度改革の潮流の中で次第に業容の拡大が図られているようです。
紛争目的価格の上限60万円というのは、簡易裁判所での事件を想定されているのではないかと思うのですが、それが倍の120万円。
また、裁判所の法廷に弁護士とともに出頭、陳述出来るというのが、今回の法改正です。
労働審判や労働事件は増加傾向にありますが、労働法を専門とする弁護士もまだまだ少ないのが現状。
事件の規模が小さな労働事件は、弁護士にとっても魅力が乏しいものだからというのが大きな理由だと思います。
何億円という不動産関係の事件を扱ったり、会社を主体とした商事事件を扱えば、労働事件の10倍~100倍の報酬を得ることができるのですから・・・。
ただ、司法制度改革により弁護士数の急増により、なんと弁護士がサラ金の過払い利息などの領域にも乗り出しています。
テレビやラジオのマス媒体を使って、一件あたりの報酬は少額でも数をこなして稼ぐ・・・そんな背に腹は変えられない状況となっているのです。
今まで、弁護士法第72条で守られていた弁護士の独占業務。
認定司法書士や特定社労士などのサムライ業に徐々に開放されつつあります。
友人の弁護士に聞いてみると、そもそも労働法に詳しい弁護士が少ないとのこと。
特に、社会的弱者を守る人権派弁護士はいるが、経営側、事業主側をサポートする弁護士は数少ないとのこと。
これは、司法試験の選択科目だった労働法を選択する受験生が少ないこと、労働法が試験科目から消えたことにあるのでしはないかということでした。
もっとも大切なのが、国民にとって使い勝手の良い良質なリーガルサービスが受けられること。
そのために、社会保険労務士の連合会や単位会でもすでに動いていますが、より高い倫理観の醸成、実務に裏付けられたより高い専門性を担保することが必要不可欠だと思います。
非弁行為とならないよう、専門性を担保するためにも、弁護士と連携しながら仕事を進めていくことが大切です
まだまだボケるわけにはいきません(笑)。