「指導者の使命は、<国民に変化を受け入れるよう説得する>ことです。しかし、その前に、<まず自分が変わる>ことが先決です。しかし、日本のリーダーは、自分は変わりたくないと思っている。変化はトップからやるべきです。政策は、それからです」
かつては<資源>が富を生み出してきたが、1990年代からは<知識>が富の源泉となった。
アメリカの経済学者サロー博士はそれを<知識主義経済>と呼び、蒸気機関を動力源とした<第一次産業革命>、電気・通信にちる<第二次産業革命>に続く、<第三次産業革命>と位置付けた。
しかし、そうした日進月歩の技術革新にも関わらず、誰も<どこにたどり着くのか>目標点を見いだせない。
<我々は今、革命の中にいる>それがサロー博士の時代認識である。
1980年に博士は「ゼロ・サム社会」を出版した。
<利益>と<損失>を合せれば<ゼロ>になる。勝者の陰には必ず敗者がいることを訴え<敗者のいない社会>を建設するために、社会的合意を形成し、政策を行うべきだと主張した。
その理論はアメリカの経済政策に大きな影響を与えた。
「どんな学問の成果も、一般市民に理解されなければ、真の価値がない」と言う。
「ゼロ・サム社会」を執筆した当時、アメリカ国内はオイルショックによる急激なインフレで、<沈没する船>に乗っているかのような失望感が広がっていた。
サロー博士はそれでも<なぜ、船が沈んでいるのか>という理由さえ分かれば、大した問題ではないのです>と指摘した。
そして<危機が来る前に、それを阻止するよう、変革を実行するが真のリーダーなのです>と強調した。
先行きの不透明な未来だからこそ<挑戦の勇気><目標となるビジョン>が不可欠となる。
<冒険心><探究心>
<努力>しなければ<自分がどこでいけるのか>分かりません。
<冒険心>なくして、自己の限界を知ることはできません。
かつての産業革命を成し遂げた原動力も、強気<探究心>であり、挑戦の魂であった。
いかなる厳しい逆境も、一人立つ挑戦がある限り、未来はおのずと開かれていくにに違いない。