阪神・西、あぁ涙雨…自責0で5敗目

2019年06月08日 10時35分37秒 | 社会・文化・政治・経済

「味方のミスをカバーできず悔しい」

 (セ・パ交流戦、阪神2-3日本ハム、1回戦、日本ハム1勝、7日、甲子園)全てを背負いマウンドに立つエースとして、バックを救いたかった。西は7回8安打3失点で5敗目(3勝)も自責0。要所での守備のミスに言い訳することなく責任を被った。

 「味方のミスをカバーすることができず、悔しい投球となりました。梅野も懸命にリードしてくれましたが、勝ち越された状況でマウンドを降りてしまい、悔しいです」

 失点の全てに失策が絡んだ。それでも集中力を切らすことない。三回2死、二遊間の打球に横っ飛びで遊ゴロに仕留めてくれたD3位・木浪聖也内野手(ホンダ)や、ピンチでは球数をかけて懸命に丁寧にリードしてくれた梅野に対して…。バックにも前にも何度も声をかけ、全員で勝利を目指した。七回無死二塁となったところでは雨が降り、試合が一時中断。雨脚が弱まってくると、真っ先にベンチを出てきてキャッチボールをした。あらゆる面で最後までファイティングポーズをとっていたのが西だった。

 5月10日の中日戦(甲子園)で3勝目を挙げて以来、4試合連続白星なし。それでも大崩れすることなく、懸命に勝利のため、腕を振っている。

 七回までマウンドを託した矢野監督も「西に本当に申し訳ないというか」と一番に頭を下げた。「西はエラーした選手にも声を掛けながら、その後も投げる姿をね。俺らだったり、野手だったりっていうのが打って返すとか。そういう気持ちを持って臨んでいくことは大事」。右腕が一番勝ちたがっていることを知っているからこそ、信頼が揺らぐはずがない。次こそ、虎をかけて、西を勝たせたい。

 防御率2・31はリーグ3位。11登板中9試合でクオリティ・スタート(6回自責3以下)と安定感は抜群だ。どれだけ援護がなくとも、西はチーム愛でマウンドに立つ。


阪神、3失策がすべて失点絡んだ

2019年06月08日 10時29分16秒 | 社会・文化・政治・経済

 (セ・パ交流戦、阪神2-3日本ハム、1回戦、日本ハム1勝、7日、甲子園)

エラー! エラー! エラー!

阪神は3失策すべてが失点につながり、日本ハムに惜敗。

3位に転落した矢野燿大監督(50)は野手陣に「打って返せ」と檄を飛ばした。試合前にはセットアッパー、ピアース・ジョンソン投手(28)=前ジャイアンツ=が蓄積疲労のため、出場選手登録を抹消された。緊急事態を乗り越えろ!

 聖地に降りつけた豪雨が、虎の“命”を奪った。田んぼのように浮いた水、ぬかるんだ土…。恨んでも恨んでも、3失策すべて失点につながっての3位転落は変えられない。矢野監督の歯車は狂いっぱなしだった。

 「野手だったりっていうのが打って返すとか。次の(西の)登板だったり、そういう気持ちを持って臨んでいくということは大事。グラウンドがこういう(悪い)状況で、それがOKということにもならない」

 ピンチを招けば招くほどギアを上げる日本ハム・有原に対し、六回、内野ゴロの間と暴投で2点をもぎとり、何とか追いついた。しかし、その流れをまた「E」で手放した。直後の七回の守り。先頭・中島のゴロを処理した代わったばかりの北條が一塁悪送球(記録は内野安打と失策)。二進を許し、最後は大田の犠飛で決勝点を許した。

 北條は「結果的にそれで点が入ってしまった。もっと練習してチームに貢献できるように頑張ります」と前を向いたが、四回の糸井の二塁悪送球、六回のマルテの落球を含めて、これでチーム失策は52(12球団ワースト)。先発した西は7回3失点も自責0。いくら天然芝の甲子園を本拠地としているとはいえ、あまりにも、もったいない交流戦の本拠地開幕だ。

 試合前、虎党が最も恐れていたことが起こった。ジョンソン、登録抹消-。新加入ながら開幕から16試合連続無失点を記録するなど、28試合で2勝0敗19ホールド、防御率0・64とフル回転で躍進を支えてきた。藤川、ドリスが同一試合で投げると8勝0敗1分けという不敗神話もあった。絶対的右腕が1軍戦線から離脱。幸いにも肘や肩などの故障ではなく、矢野監督は「ここで一旦ちょっと期間をとって、そこから帰ってきてくれる方がその後のことを考えるといいのかなという判断」と積極的休養であることを説明したが…。最短でも18日の楽天戦(倉敷)から復帰できる。つまり、この日を含めて1軍9試合以上をジョンソン抜きで戦わなければいけなくなった。

 2005年のウィリアムス(現駐米スカウト)のように投手分業制が主流の今、セットアッパーの優劣がVへの条件になる。八回は藤川が務めることが濃厚だが、1点をどう防ぐかが今後のカギになる。だから接戦をもぎとることでジョンソン・ショックを振り払わないといけなかった。それが自滅で終わるとは…。

 今季最多を更新する貯金7には3度目の失敗。巨人に抜かれ、3位に転落した。指揮官は「いるメンバーでどうするか」と力を込める。矢野虎にとって、まさに今季最大の試練。乗り越えるしかない。


<斜めの関係>

2019年06月08日 07時17分26秒 | 社会・文化・政治・経済

親や教師は「こうあってほしい」と過剰な期待を寄せる。
だが、地域社会には子どもたちを、ありのままで受け入れてあげられる<斜めの関係>もある。
人生の先輩であるお兄さんやお姉さんなどの存在。
言わば<人生の伴走者>であろうか。
「生きているだけでも、すごいんだよ」と包み込み、よく褒めてくれる。
会えなくとも「君のことを思っているよ」手紙でメッセージを伝える。
子どもたち一人一人の<奥深くに眠っている力>を信じるとともに、誰よりも深い慈愛で見守っている人生の師匠もいるはず。


人生の伴走者 2

2019年06月08日 06時57分58秒 | 創作欄

「結婚しなかったのですね」夏目徹は言ってたならないことを口から出してしまった。
これで、二人のつながりは切れるだろうな・・・
悔やまれた。
駅の改札口で別れた。
向い側のホームに彼女は背を向けて立っていた。
彼女が育った北海道の旅のポスターを見詰めていたのだろう。
あれから2年、岸田晴美からの連絡は途絶えた。
「今、どこでどうしているのだろう」眠れぬ夜、何時ものようにCSテレビで洋画を観る。
彼女は何故か引っ越しを繰り返す人であった。
「居場所が定まらない。漂泊ね」と言っていた。
東大出のキャリア官僚の「愛人」の時期に徹は彼女と出会った。
彼女は広報課に勤務していた。
お役所には珍しい朗らかな女性で、周囲をはばからずよく笑っていた。
徹は記事になりそうな資料を求めて、広報課へ行くと彼女と視線が合う。
良く動く大きな眼である。
二人は省内の食堂の食事で同席してから、親しく言葉を交わすようになる。
「私ね。アイヌの血が入っているのよ」
「アイヌ?」
「そう、毛深いでしょ」と半袖の腕を見せる。
徹は毛が薄い質であった。
「わたしと、派長が合いそうね」
「派長?」
「そう派長」彼女は朗らかに笑ってので、周囲の視線が注がれる。
「映画好き?」
「高校生のころ映画評論家になりたいと思っていたんです」
「映画評論家!」再び彼女は朗らかに笑った。
二人は有楽町や銀座で度々、洋画を観て食事をする仲となる。


「人生の伴走者」

2019年06月08日 06時11分37秒 | 創作欄

あの時期、夏目徹は目いっぱい頑張っていた。
大切な人たちがいたから。
そうなのだ。
人間、誰かのために頑張ることができるのだ。
社内には離婚して小学生の娘さんをかかえている内田百合さんもいた。
彼女の別れた旦那は大手の新聞の記者で、麻雀や競馬にはまっていた。
旦那が東京から大阪に転勤になったことをきっかけに、彼女に別れることを決意させたのだ。
彼女の父親は女子大学の教授であった。
偶然であるが、徹の大学の後輩の川口幸造がその大学の付属高校の国語教師をしていた。
「先輩、結婚するなら良い子を紹介しますよ。みんなお嬢さんです」
「どうせ、冗談だろう」と思い徹は聞き流した。
徹は教師になりそこねていた。
「あんな、やさしい試験になぜ落ちたの」と親戚の島田のおばさんは呆れていた。
島田のおばさんは徹の母親の女学校の恩師であり、父母たちのお仲人でもあった。
島田のおじさは女子短大の教授だった。
徹が勤務していた出版社は九段にあった。
後輩が勤務していた女子高も同じ九段にあったので、度々酒を飲む機会もあった。
「先輩、まだ詩を書いてるんですか?」
「少しな」
「よく、続きますね」
後輩は大学院を出ていた。
専攻したのは中世文学だった。
英語が全くだめな徹は大学院を諦め就職した。
「仕事、どうです?」後輩は徹のコップにビールを注ぐ。
「まあ、頑張っている」
「先輩が、営業の仕事をするとは、思いませんでした」川口幸造は母親似の端正な顔立ちをしている。
「生徒たちに好かれているだろうな」徹は改めて後輩の横顔を見詰めた。
バー「園」の止まり木は心が休まる場であった。