カルチャーセンター

2022年05月29日 07時29分47秒 | 社会・文化・政治・経済

松波太郎  (著)

松波太郎はそこにいた。 カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』が収録され、作家や編集者たちから寄せられたコメントに、松波太郎の説明責任までもが生じてくる文章と空白の連なり……松波太郎は、ニシハラくんに語りかける。「どうかな? これは何だろう? 小説なのかな?」
松浦理英子さん推薦!
「小説を書きたいという欲望に憑かれていた若くほろ苦い日々を、哀惜をこめて振り返る松波太郎は本物の作家である」

これはすべての作家が通って来た文学的青春への鎮魂の書である。

小説とは何かも言えないまま、ただ書きたいという欲望に憑かれていた時代への。 ――松浦理英子
小説のわからなさを、そのわからなさと共に生きていくことを、ひたすらに書いている。この小説を読み終わりたくないと思った。 ――柴崎友香
カルチャーセンターは、社会で帰属する場を離れて〈個〉となった人と人が、遠い憧憬を胸に秘めて集う。

それが稀に奇跡のように幸福な交流を、この地上にもたらす。 松波さんはその鎮魂と再興のために、この小説を、みんなの力を借りて作り上げた。 (この推薦文わかりにくいですか? 読むうちにほぐれて、あなたを照らす光になるはずです。) ――保坂和志

著者について

1982年三重県生まれ。文學界新人賞、野間文芸新人賞受賞。著書に『よもぎ学園高等学校蹴球部』、『LIFE』、『ホモサピエンスの瞬間』、『月刊「小説」』、『自由小説集』、近著に『本を気持ちよく読めるからだになるための本』。
 
カルチャーセンターの小説講座が題材になっている。
講師と受講生、合評、提出作品―。
その道を志す仲間の声が、著者の内部に滑り込み、響き始める。
何かを成したくても成すことができない焦燥が、慈しむべき青春の輝きを放っている。
身を引き裂かれながら小説を書く哀しみと孤独を封じ込めている。
 
小説を書きたいという欲望そのものが、小説であることを教えてくれる。