出版社からのコメント
日中戦争の時は憲兵隊長として、戦後は償いに生きた父
「人間にとって戦争とは何か」を問い続けた娘の心の旅
澤地久枝先生から推薦を賜りました!
「陸軍憲兵中佐上坪鉄一は、陸士第三十八期出身。同期に二・二六事件で銃殺刑の安藤輝三、磯部浅一がいる。憲兵になるのは宿命めいている。
憲兵特にその隊長とは、おそるべき残忍な存在であった。ソ満国境の東安憲兵隊長のあと一家は通化で敗戦。上坪は行方不明になる。のち撫順の戦犯収容所で罪状を認め、四十四名の中国人を七三一細菌部隊に送ったと懺悔した。父の生前、語ろうとするのを遮った娘はいま、中国との友好を訴える。父の生まの“証言"は消えたままだ。
『水子の譜』を書いた上坪隆は兄であり、著者は五人兄弟の末っ子。父は遺言書に「絶対に戦争を起こさないように」と、書いている。父の人生を辿ることは昭和史を血の通う生きたものとして見直すことであった。舞台は「満州」。
若い人たちへの痛切なメッセージである。
「人間にとって戦争とは何か」を問い続けた娘の心の旅
澤地久枝先生から推薦を賜りました!
「陸軍憲兵中佐上坪鉄一は、陸士第三十八期出身。同期に二・二六事件で銃殺刑の安藤輝三、磯部浅一がいる。憲兵になるのは宿命めいている。
憲兵特にその隊長とは、おそるべき残忍な存在であった。ソ満国境の東安憲兵隊長のあと一家は通化で敗戦。上坪は行方不明になる。のち撫順の戦犯収容所で罪状を認め、四十四名の中国人を七三一細菌部隊に送ったと懺悔した。父の生前、語ろうとするのを遮った娘はいま、中国との友好を訴える。父の生まの“証言"は消えたままだ。
『水子の譜』を書いた上坪隆は兄であり、著者は五人兄弟の末っ子。父は遺言書に「絶対に戦争を起こさないように」と、書いている。父の人生を辿ることは昭和史を血の通う生きたものとして見直すことであった。舞台は「満州」。
若い人たちへの痛切なメッセージである。
内容(「BOOK」データベースより)
七三一部隊に多くの中国抗日活動家を送った罪で特別軍事法廷で裁かれた父―上坪鉄一。日中戦争の戦犯たちの「認罪」の記録は今を生きる我々に何を物語っているのか。戦争における「加害」の傷痕。人間にとって戦争とは何か。人が人として生きるとは、どういうことか。
で、今度は自民党の推薦を受けて北海道知事に立候補するも落選、2009年の衆議院選挙では国民新党から出馬するも落選、現在は政界からは引退した状態である。
実兄は「 水子の譜(うた)―ドキュメント引揚孤児と女たち 」著者の上坪隆氏。
本書は、上で書いた著者の経歴の前後、東大入学前と政界引退後にあたる話が主である。
父親は元憲兵中佐で満州に赴任、戦争後は戦争犯罪人としてソ連、中国に抑留、裁判を受け、終戦後10年以上経ってから帰国。
一方、残された著者の一家は極貧の生活の中でも希望の大学に進学する。
著者は冤罪とされる事件も担当した弁護士なのだから、公開された起訴状や父親の証言を見て長期間の拘留・待遇見直しによる「学習」の効果を疑わなかったのか?という不自然さを感じたが、
それだけ著者の父が戦時中731部隊に捕虜を何人も送り死亡させたことを知った時の衝撃が大きかったということなのだろう。
日本を戦争する国にしてはいけない、日本と中国は絶対に武力ではなく対話しなければいけないんだという主張を見ると、著者の父親だけではなく、その娘である著者自信も「認罪」したのだろうと考えずにはいられない。