6月14日、午後11時からCSテレビのザ・シネマで観る。
これで2度目である。
解説
「恐怖の報酬」についでアンリ・ジョルジュ・クルーゾーが監督する推理スリラー映画一九五五年度作品である。原作はピエール・ボワローとトーマス・ナルスジャックが合作した探偵小説で、クルーゾーとG・ジェロミニが共同で脚色、台詞も担当した。
撮影は「恐怖の報酬」のアルマン・ティラールと「禁じられた遊び」のロベエル・ジュイヤアル、音楽は「寝台の秘密」のジョルジュ・ヴァン・パリスである。
主演は、「嘆きのテレーズ」のシモーヌ・シニョレ、「恐怖の報酬」のヴェラ・クルーゾー、「宝石館」のポール・ムーリッスで、「埋れた青春」のシャルル・ヴァネル、「密告(1943)」のピエール・ラルケエ、テレーズ・ドルニー、ジャン・ブロシャール、ジョルジュ・シャマラ、ノエル・ロックヴェール、ジョルジュ・プージュリーらが助演する。
1955年製作/114分/フランス
原題:Les Diaboliques
ストーリー
妻クリスティナ(ヴェラ・クルーゾー)の財産で、パリ郊外の小学校の校長に収っているミシェル(ポール・ムーリッス)は、妻に教鞭をとらせ、もう一人の女教師ニコオル(シモーヌ・シニョレ)と公然と通じていた。
乱暴で利己的な彼に対して二人の女はついにがまんできなくなり、共謀でミシェル殺人の計画を立て、三日間の休暇を利用してニオールのニコオルの家へ行き、電話でミシェルを呼んだ。いざとなるとクリスティナは怖気づいたが、気の強いニコオルは、彼女に命令してミシェルに睡眠薬入りの酒を飲ませ、寝こんだところを浴槽につけて窒息させた。
翌朝二人は、死体を用意して来た大きなバスケットに詰め小型トラックで学校まで運び、夜の闇に乗じて死体をプールに投げこんだ。校長失踪はたちまち校内の話題になったが、ニコオルは平然としていた。プールに飛びこんだ生徒が校長のライターを発見し、プールの水を干すことになったが、水を干してみると、死体は影も形もなかった。
しかも、つづいて、ミシェルが殺されるとき着ていた洋服がクリーニング屋から届けられる事件が起きた。クリスティナは洗濯屋から依頼人の住所を開き、そのホテルヘ行って見たが、そのとき止宿人はいなかった。安心できぬクリスティナは、校長に似た溺死体がセエヌ河に浮んだという新聞記事を見て、死体公示所へ行ったが人違いだった。
公示所でクリスティナからおおよその事情を聞いたフィシェ老警部は、学校に来て調査をはじめた。モワネという生徒がガラスを割って校長に叱られたといい、学校で記念撮影をしたところ、校長らしい人物が写真の中に写っていたりして、クリスティナは恐怖のあまり持病の心臓病が悪化して寝こんでしまった。ニコオルは学校を辞めて行った。その夜、一人寝ているクリスティナを脅かす足音が聞えて来た。
動てんした彼女は廊下から部屋へ足音を追って浴室に来ると、浴槽には殺したときそのままのミシェルが沈んでおり、それが動き出したため、彼女は恐怖のあまり発作を起して絶命した。
この大芝居はミシェルとニコオルが共謀して打ったものだった。事成れりとほくそえむ二人はフィシェに捕えられた。事件は解決した。しかし、モワネは、今度はクリスティナ夫人に会ったといっている。
見どころ
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督が『恐怖の報酬』についでメガホンを取ったスリラー。モノクロ映像と巧妙な仕掛けが底知れぬ不気味さを漂わせている。
ストーリー
パリ近郊の寄宿学校の校長・ミシェルは妻・クリスティナの莫大な財産を利用して今の地位を築いていた。
しかし、ミシェルの横暴ぶりはクリスティナを苦しめ、ミシェルの愛人・ニコルの同情も買っていた。2人は共謀してミシェルを溺死させるのだが…。
キャスト・スタッフ
出演
シモーヌ・シニョレ
ポール・ムーリス
シャルル・ヴァネル
ジャン・ブロシャール
監督
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
原作
ピエール・ボワロー
トーマス・ナルスジャック
音楽
ジョルジュ・ヴァン・パリス
大昔の白黒映画でやや退屈ではあったが、謎が謎を呼ぶ展開と最後の大どんでん返しには驚かされた。
見事なミスリードにしてやられました。
素晴らしいサスペンスは時代を経ても色褪せないですね。ヒッチコックが映画化を狙ってたらしいので、ヒッチコック版も観てみたかったですね。
恐怖の報酬はドキドキしたし、面白いと噂のこちらも。
クソみたいな男を、病弱な妻と強気な愛人が、なんでか力を合わせて殺そうとするのだが…。
ずっと暗鬱な雰囲気。
まぁそんな感じね、と思いつつもやっぱりドキドキさせられたし、これじゃ思うつぼ。
だけど最後なに?どういう事?怖いっ。
なんといっても現実とリンクしちゃってる部分が1番怖いわ。
そしてこれによって、ヒッチコックのライバル意識が「めまい」と「サイコ」を生むんだから面白い。
クソ夫を妻と愛人が協力して殺害するも、遺棄した筈の死体が見付からずさぁ大変なお話。
50年代の映画って凄い久々に観た気がする。
そして初アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督作品。
ぬへぇ、こりゃ良いじゃないですか。
まず妻と愛人が協力して夫を殺害っていう泥沼展開なんだけど、そもそも極秘の愛人でなくてある種公認(というか黙認?)的な存在だし同じ学校で教師をしている時点で中々ぶっ飛んだ設定だなと。
劇中は「あれ?友達同士だっけ?」と思ってしまう程基本この二人が一緒の場面が多いのも印象的でした。
で、プールに沈めた筈の死体が無い!ってなってからは二人とも大慌てで、特に妻の方は心臓が元々悪いのもあってメンタルが杏仁豆腐並みの脆さなので観ていて変な危うさも感じられます。
死体は無いのに謎の人物からクリーニングされた夫のスーツが届くし、学校で集合写真を撮ったら夫らしき顔が写り混むはでどんどん二人の精神を追い詰めていくじわじわ展開も良かったです。
特に写真のあの写り方はモノクロなのも相まって超不気味でした。
終盤はこれまた人影や暗闇を利用した恐怖演出でこれでもかと主人公を追い詰めていき、明らかになった真実に「おぉ、なるほどね~」となりスッキリするんだけど最後のオチで別次元の恐怖を仄めかしてくるもんだから「うおぉ……」と素直に怖がっちゃいました。
リメイクもされているようですが、評判そこそこっぽいので両方観るにしてもまずは此方から観賞した方が良いかなと。
一応「ネタバレしないでね」というメッセージがラストにあったので、短めに纏めました。決して連日の疲れで眠くなってきたからではないです。
「フランスのヒッチコック」と呼ばれる監督は二人いるようで、一人はクロード・シャブロル。そしてもう一人が本作のアンリ=ジョルジュ・クルーゾー。カンヌでグランプリ受賞した「恐怖の報酬」(1953)に次ぐ本作は「どうぞこの映画の筋はお話にならないで下さい」との謳い文句で世界中の話題になった。
有名作で期待しすぎたためか中盤まではシナリオも画作りも緩慢に感じ、登場人物全員に漂う胡散臭いムードも相まって「何だか昭和のひばり書房のB級ホラー漫画みたいだな」と思いながら観た。その印象は観終えた今も変わらないが、ラストは確かに映像ともどもインパクトがあり話題になったのも頷ける。
※原作は「その女の正体」。当時映画化をヒッチコック監督が熱望し権利を買おうとしていたところをクルーゾー監督に先を越された。悔しがったヒッチコック監督は原作者のポワロー&ナルスジャックの次作の映画化権を早々に取得し「めまい」(1958)を撮った。
※ヒロインを演じたのは監督の妻ヴェラ・クルーゾー。実際に心臓疾患があったのだが本作の五年後、クルーゾー監督がブリジッド・バルドーの不倫騒ぎを起こしている最中にパリのホテルの浴室で変死しているのが発見された。
※日本での公開当時、谷崎潤一郎が随筆「過酸化マンガン水の夢」で、本作について詳細に評論している。
おもろい!巻き起こる謎に対して、誰がなぜ、どうやって!?とハラハラしながら話に惹きつけられる、これぞミステリの真髄じゃ〜〜という気持ち!!
誰にもネタバラシするなよって最後に注意されるのも楽しい
私はナゾ解明できました、わっはっは(純粋に自慢)
なのでラストは驚きより答え合わせ気分になってしまい、ちょっと残念な気もしつつ
でも正々堂々と開示された情報から鑑賞者が推理できるミステリとして、良い勝負だったなとたしかな満足でした
やったぜ
そして女優ヴェラクルーゾーのWikipediaで経歴欄を見てうおーっとなったので鑑賞後はぜひ
現実は映画みたいにミステリ
残念ながら、途中で最後のオチが見えてしまった。
けれどそれはこの作品のせいではなく、
後世の作品がこれを真似しまくったせいだろう。
おそらく公開時は皆驚いたと思う。
これだけの複雑なプロットを最初に考えた人は天才だ。
この間、続けて黒沢作品を見たが、やはり内容は後世に真似しつくされていたが、それども、それらの後世の作品に負けない力強さと魅力にあふれていた。
しかしこの作品には、黒沢映画にあるプラスアルファの何かがない。
その辺が、この映画が名作映画としてあまり名前が挙がってこない理由だろう。