取手出身の歌手・藤野とし恵さんの歌を聴く

2022年06月21日 23時19分45秒 | 日記・断片

家人の友人のちゃ子さんの親友である取手市出身の歌謡歌手の藤野とし恵さが、取手・台宿のカラオケスナック「エスカルゴ」に来店した。
藤野さんはこの日、エスカルゴの前にあるカラオケの「ニューバンダイ」の開店50周年記念に招かれていたいたが、午後6時にエスカルゴでも歌を披露した。

歌の雰囲気に盛り上がり生ビールと日本酒を4合も飲む。
出された料理も美味しかった。
古い付き合いであるが、エスカルゴの採算を抜きにしたサービスに感謝するばかりだ。
当方は、プロの歌手の前なので人から勧められたが、カラオケは遠慮した。
歌好きの愛ちゃんは「プロの歌に酔いしれているから」と遠慮して歌わなかった。

なお、ちゃ子さんは、学校給食の勤務で、午前6時15分に家を出るそうで、皆さんより早く帰宅する。

ちなみ、藤野さんはコロナ前に取手西口にある取手ウェルネスプラザでも歌っている。

 
取手出身の歌手・藤野とし恵さん 2022年6月21日
動画リンク
 
 
 
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【阪神】チェン・ウェインがシーズン途中に構想外で退団へ 日米通算96勝も今季登板なし

2022年06月21日 22時28分54秒 | 新聞を読もう

6/21(火) 19:00配信 スポーツ報知

 阪神のチェン・ウェイン投手は21日、戦力構想から外れ、事実上の退団が決まった。この日、球団からウェーバー公示の手続きを行うことを通達された。嶌村聡球団本部長は同日の広島戦(マツダ)の試合前に取材に応じ、「非常に残念ではあるのですが、うちのチーム構成を考えた場合、なかなか今の現状では上(1軍)で先発ローテーションに入ってくるというのは(難しい)ということで、判断をさせてもらった」と説明した。

【写真】阪神入団した時のチェン「打倒巨人」が目標だった

 日米通算96勝のチェンは20年オフに年俸200万ドルの2年契約で阪神に加入。昨季4月29日の中日戦(バンテリンD)で日本球界では10年ぶりとなる勝利を挙げたが、同年6月に左肩の故障で離脱した。その後リハビリに取り組み、今季はウエスタン・リーグで7試合に登板し、2勝1敗、防御率3・03。今月18日のオリックス戦(高槻萩谷)でも先発したが、1軍での出番はなかった。

 チェンは22日にウェーバー公示され、そこから1週間以内に獲得を希望する球団がなければ、自動的に自由契約選手となる。

 球団は20日に元オリックスのロドリゲス獲得と育成・島本の支配下復帰を発表。2人を加えれば、支配下登録選手70人枠が埋まることになっていたが、補強期限の7月31日を前に再び1枠の余裕が生まれる。


利他の実践

2022年06月21日 11時52分06秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽<学問の内容が高度になればなるほど分化>する。
そして大衆から知識人を遊離させる大きな原因となる。

▽知識人と民衆の生活の場を舞台にして初めて、その知識や知性が役立つものとなる。

▽知識人は、民衆の生活を向上させ、役立ってこそ、知識人である。
この本来の関係性の中でこそ、知識は、社会に還元され、現実の価値を創造できる。

▽自分一人の目から見た世界には限界がある。
だからこそ、物事の関係性に目を向け、その関係性の中で生きていることを忘れてはならない。

▽<自己超克>を達成する具体的な方法は、利他の実践である。
困難な出来事を、自分の中に閉じ込めておくだけでは価値は生じない。

▽自分と同じように悩んでいる人に励ましを送っていく。
その励ましによって他者が元気になったり希望を抱いたりすることで、自分もまた「この苦難には意味があったのだ」と実感できる。

▽<自他の実践>は、それを通して、自身の苦難の経験に価値を見いだすことができる。
だからこそ、利己的欲望を克服し「困難に打ち勝とう」といい主体性を獲得することにもつながる。

▽苦難に負けず、むしろ、それを武器にして、生き生きと自他共の幸福のために生き切る人こそ、真に人々が尊敬する、人間としての最高の人格が形成できるのではないだろうか。

▽他者との関係性において「宿命」に意義を見いだし、他者の救済という利他的行動を実践する「使命」へと価値創造していく―。
これこそ、人間が困難に打ち勝つ主体性を得るために必要な精神であり、今日のような苦脳あふれる現代社会をも変革していく生き方ともいえるだろう。


新 失敗学 正解をつくる技術

2022年06月21日 10時58分10秒 | 社会・文化・政治・経済

畑村 洋太郎  (著)

「自分で考え実行し、その結果を検証する」
―そのための第一歩は「自分で考える」ことだ。
それは言い換えると、「仮説を立てること」。
仮説を立てるために、「価値について考える」「想定外を考える」「時間軸を入れて考える」という三つのポイントが挙げられる。
感染症の拡大はものごとの価値を考える直す機会になった。
仮説を立てる上で、この価値という視点は不可欠だ。
「想定外を考える」ことも大切だ。
「現地に行く」「現物にふれる」「現場にいる人から聞き、議論する」。
仮説を立てて実行する。
そこでは当然失敗も経験するが、その繰り返しのなかにしか、低迷する今の時代を脱し、未来を創造する道はない思う。

「決められた正解を素早く出す」ことが優秀な人とされた時代から「自ら正解をつくる」ことができる人の時代へ。
「自ら正解をつくり出す時代」の思考の技術。
近年の日本の地盤沈下の背景には、すでに世界が「正解がない時代」になってるにもかかわらず、いまだに日本では「決められた正解を素早く出すことが優秀な人の条件」とされていることにある。

これらは変わらない偏差値信仰、近年の官僚・みずほ銀行などのエリート組織の躓きを見ても明らか。
「正解がない時代」とは「正解がいくつもある時代」のこと。そのためには自分たちで正解をつくっていく必要がある。そして自分たちで正解をつくるとは、仮説ー実行ー検証を回していくことにほかならない。
この過程で必ず付いてくるのが失敗。いままで避けがちだった失敗とどのように向き合い、どのように糧としてしゃぶりつくすのか、そこがこれからの時代の成否を分ける。
そのためのポイントを丁寧に解説、これから私たちが身につけるべき思考法を明らかにする。

第1章 正解がない時代の人材とは
第2章 すべては仮説から始まる
第3章 失敗を捉えなおす
第4章 仮説の基礎をつくる
第5章 仮説をつくる三つのポイント
第6章 仮説を実行する

畑村 洋太郎

1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授、工学院大学グローバルエンジニアリング学部特別専任教授 を歴任。東京大学名誉教授。工学博士。

専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主 宰。’02年にNPO法人「失敗学会」を、’07年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『失敗学実践講義 文庫増補版』(ISBN-10:4062766132)が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 
日本人は明治維新から正解を海外から仕入れては猿真似を繰り返してきたため、自分の頭で考えて答えを見つけていく能力が著しく落ちてしまっているのではないでしょうか?
今や正解のない世界です。そんな環境変化にどう対処すべきか?
ものごとの本質が見極められるような思考方法を身につける必要があると思います。
本書はそのための示唆を大いに与えてくれる良書です。
 
 

失敗学の第一人者、畑村洋太郎さんが『失敗学のすすめ』を出したのは2000年。

そこから20年、また2011年の東日本大震災の教訓も踏まえた失敗学の新刊です。

・ここ20年を見てみると、あまり失敗の取り扱いは変わっていない。
・それどころかむしろ失敗を忌避する傾向が強まっている部分も見受けられる。
・いまは「正解がない時代」というよりも「正解がたくさんある時代」。
・日本から新たな創造を生み出すためには「自ら考えて答えを出す」(仮説―実行)こと。

失敗と向き合い、これを糧にしながら未来を創造していく技術を伝えるのが、本書が目指していることです。

わかりあえない他者と生きる 差異と分断を乗り越える哲学

2022年06月21日 10時06分11秒 | 社会・文化・政治・経済

マルクス・ガブリエル  (著), 大野 和基 (編集), 1 more

◆多様性が尊重される現代社会。その一方で、密かに広がる分断、同調圧力――。
◇私にとって「他者」とは何か、わかりあえない他者とともに生きることは可能か?
◆世界が注目する哲学界の旗手が示す「まったく新しい他者論」!


多様性の尊重が叫ばれると同時に、その背後で人々の分断が加速している現代社会。
誰もが自分とは異質な存在である「他者」と、共生することを強いられている――。

そんな現代社会を取り巻く「私と他者の関係」について、哲学者マルクス・ガブリエルは、
「他者がいなければ私たちは存在することさえできない」と喝破し、
さらに、「従来の哲学における他者認識は誤りだった」とまで語る。

ガブリエルの提唱する「新しい実在論」から見た「他者」とはいかなる存在なのか。
そして、わかりあえない他者とともに、我々はどう生きるべきなのか。
現代に生きる我々の「アイデンティティ」「家族」「愛」「宗教」「倫理」といった、
様々な課題に対する、新たな解決策を提示する1冊。

【本書の目次(項目一部抜粋)】
第I章 私にとって「他者」とは何か

〇従来の哲学における他者認識は、何が問題だったか
〇SNSは「アイデンティティ」を押し付けてくる
〇日本的同調圧力をどう見るか

第II章 我々はいかに「他者」とわかりあうべきか
〇話し合いは万能の解決策である
〇「対話できない相手」と話し合う方法とは?
〇ガブリエルが語る「民主主義」の意味

第III章 家族とは何か、愛とは何か
〇毒親とどう接するべきか
〇「私なんて、生まれない方がよかった」は真実か?
〇愛し方を学ぶ――現代における恋愛の意味

第IV章 自己の感情とどう向き合うか
〇社会的孤立と身体性、パンデミック
〇負の感情から抜け出す処方箋
〇「抱くべき怒り」とはどんなものか

第V章 宗教や倫理と他者の関係
〇宗教は「救いと対立」のいずれをもたらすか
〇なぜ利他主義は道徳と言えないのか
〇「無知の知」を乗り越えるために必要なこと

著者について

【著者略歴】
マルクス・ガブリエル[Markus Gabriel]

1980年生まれ。史上最年少の29歳で、200年以上の伝統を誇るボン大学の正教授に就任。西洋哲学の伝統に根ざしつつ、「新しい実在論」を提唱して世界的に注目される。著書『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)は世界中でベストセラーとなった。さらに「新実存主義」「新しい啓蒙」と次々に新たな概念を語る。NHK Eテレ『欲望の時代の哲学』等にも出演。他の著書に『世界史の針が巻き戻るとき』『つながり過ぎた世界の先に』(ともにPHP新書)など。

【インタビュー・編者略歴】
大野和基(おおの・かずもと)

1955年、兵庫県生まれ。大阪府立北野高校、東京外国語大学英米学科卒業。1979~97年渡米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。その後、現地でジャーナリストとして活動。97年に帰国後も取材のため、頻繁に渡航。世界的な識者への取材を精力的に行っている。著書に『代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳』(集英社新書)、訳・編書に『世界史の針が巻き戻るとき』『つながり過ぎた世界の先に』(マルクス・ガブリエル著、ともにPHP新書)、『5000日後の世界』(ケヴィン・ケリー著、PHP新書)、『コロナ後の世界』(文春新書)など多数。

【訳者略歴】
月谷真紀(つきたに・まき)

翻訳家。主な訳書に、『Learn Better』(アーリック・ボーザー著、英治出版)、『不可能を可能にせよ!』(マーク・ランドルフ著、サンマーク出版)、『第三の支柱』(ラグラム・ラジャン著、みすず書房)など。
 
 

一読しました。筆者は「話し合えばわかり合える」という信条のようです。理解し合えない者とも、妥協点を探る、駆け引きをする、時間を掛ける、時には強硬に出るといったような具合です。
勿論、教育によりそういった議論なり知的な解決を模索出来るような人物を育む必要があるとの主張。確かに理想はそうだなと思いました。
ただしかし、申し訳無いけれど、西ヨーロッパ人特有、また日本にも良くいますが、お勉強が出来るアタマの良い人達に良くある"理想"信奉の人達の、傲慢のようなものを感じてしまいました。私達ならならデキるぜ、みたいな。そしてそれをサイレントマジョリティーに押し付けるのです。
しかし共産主義と同様に、そんな理想は貧しい国も含め、信条や宗教や価値観の違う、国家間や社会で実現出来るのでしょうか。私は全くそう思いません。
いまウクライナでの残念な事がクローズアップされています。よく考えれば別にこの件でだけではなく、パレスチナを爆撃しているイスラエルなど、戦火はウクライナだけではないのです。彼らは話合いで解決するのでしょうか。仮にそうだとしてもどちらかが戦いに疲弊したあとでしょう。
争いには互いの理屈・理由があります。そもそもこの侵攻は英米EU、つまりそれらを牛耳る強欲なグローバリスト・巨大資本の連中がウクライナを通じて、ロシアを煽り続けた結果ともいえます。その価値観の侵入をどうしても防ぎたいという者。どちらも正義、どちらも悪とも言える。
背景は異なりますが、ABC包囲網で石油を止められ、手を出すように仕向けられたかつての日本も完全に悪党だったのでしょうか。私にはそうは思えません。ただ、そういった政府のもとで、命を落とす普通の市民や仕方なく戦地に赴く兵士は本当に悲しいし、心から気の毒です。
自分の家族や日本の同胞が同じ目にこの先も遭わないことを祈るし、そういう意志を代弁する政治家を選ぶ他ないでしょう。
そんな状況であるのに、一方的にウクライナの肩を持つような発言が日本のマスコミ、ソーシャルメディア、まあこれらは予定調和ですが、意外と保守系の論者にも多く見られ個人的にはガッカリでした。
そもそも西欧と東欧の複雑な歴史や地政、状況を日本人は理解できるのか。影響力がある方々が、いとも単純に一方の陣営に肩入れする発言をする背景が理解できません。戦争で儲かるグローバリストの太鼓持ちなら勿論そうなるんでしょうけど。
そもそも、日本人は高度成長期以後、そういったグローバリストに何をされてきたかを理解し、忘れない方が良いのではないでしょうか。良くも悪くもこれだけ真面目に働く日本で、不況が三十年も続くのは不自然と思いませんか。
巨大資本家、グローバリスト達に脅され、好き勝手にルールを変更され、家族との団欒を犠牲にしてまで働いた、日本人の努力の結晶をいとも簡単に奪われてきた背景があるのに、そういったデジタルな反応には理解できません。

こんな魑魅魍魎が跋扈する世界で、果たして筆者が云うような理想は、この地球上で実現するのでしょうか。話し合いだけではなく、差別をなくせ、ヘイトを許すな。そんな美辞麗句も、グローバリストにとって自分たちを正当化する事に使われています。
そもそも筆者のいう話し合いとは、どのレベルの話し合いなのでしょうか。国家の間の話し合いというならば、その場のルールは、突き詰めれば英米の上位0.1%の連中が提供しているのではないでしょうか。
国連では日本は未だに敵国条項に入る国です。そんなところにせっせと金を貢いでる日本政府は一体何なんですかね。ウクライナを言うならもっという他にも対策すべき事が山ほどあります。
そもそも日本は何故世界のこういった事に責任を感じ、血税を怒涛のように投入する義務があるのか全く理解出来ない。そんな見返りもない事に費やされた金は、日本国籍をもつ子供の学費を大学まで余裕で無料にする事も出来たのではないのか。
世界から核兵器廃絶。人類皆兄弟。国家間の争いの歴史や、綺麗事すら支配力強化のために利用するようなクズが支配している世界では、真の平等な条件での話し合いとやら、そんな理性の果へは未来永劫到達できない、銀河の果のように思えます。
いわば弥勒菩薩が外界に降るのを待つのと同じで、それは信仰に近いのではないかというのが読後の感想です。
 

私は哲学について多くを語れるほどの知識も智恵も持っていませんが、本書は「新しい実存論」から見た「他者」と捉えるのではなくて、「マルクス・ガブリエルという哲学者」が論じる「他者性」の
考察と考えた方が正当な理解のように感じました。

その手掛かりは編集部による『プロローグ』にあります。

 本書を読めば、あなたの中にある他者と自己の束縛は解き放たれ、「自由」を感じるだろう

『エピローグ』にも同様のことが書かれていることから、タイトルにある「他者」とは、単に「自分以外の他の人」や、「自分とは違う(わかりあえない)他の人」よりも拡張して、自分の中に潜む
「他者性」までを取り扱っていると考えたいです。
そもそも、サブタイトルが『差異と分断を乗り越える哲学』となっているのは、ガブリエル氏を新実存主義の旗手という画一的に捉えていることへのアイロニーなのかもしれません。

分けることの危険性を言いながら、分類することには理解を促進する面があるのは確かですので、
” 便宜上” 、本書の内容を自分の中の他者と生きること、わかりあえない他者と生きること、そしてわかりあえない社会と生きることの3つの視点で見ていきます。

■ 自分の中の他者と生きること

この本で扱っているテーマは広範囲にわたっているので、自分の中の「他者性」との向き合い方への示唆はいろんな切り口からなされています。その要約抜粋は、次のとおりです。

 ・自由とは、正しい束縛を選ぶ自由だ 
  束縛の無い自由は、単なる放縦だ
  ただしそれは、正しい束縛でなければならない
  … 完全な自由は幻想に過ぎず、むしろそれは不自由に近いという思想には賛意しかないですが、 正しい束縛とは何かがよくわからないし、本書にはその解も納得のいくヒントもありません。

 ・非効率的な活動をする余白を持ったほうが効率性は上がる
  … 知識社会や産業のサービス化と言われて久しいですが、効率性はある転換点からは、それ以上の過剰な効率性の追求は逆効果であることに、先駆者は気付き始めています。
 次の引用も同じ文脈で語られている警句です。
 ・何かをすべきでないタイミングがわかっているのは、たいていの人に欠けている大事なスキルだ

 ・現在主義と同様に、正義に寄与するのは、「欲望のレベルを下げる」という禅宗の考えだ
  … 「足るを知る」です。これがすべてではありませんが、持続可能性を考える時に不可欠です。

■わかりあえない他者と生きること

本書にこの部分の新機軸の提示を期待しているのなら、肩透かしを食らうかもしれません。

 ・誰もが普遍的価値の存在を信じているけれど、何が普遍的価値かを見出すには対話が必要だ
  … 対話(ダイアログ)や物語り(ナラティヴ)の詳細を知りたいなら、心理学や学際領域を扱う
   経営学関連図書を当たる方が良いと思います。

 ・新実存主義における「道徳」は、ふるまいが行為者自身の幸福になる点で、「利己主義」と重なる
  … 的を射た指摘ですが、アダム・グラント氏の『GIVE & TAKE』を読む方が内容は濃いです。

もしかすると、ガブリエル氏は紙幅の関係上、この切り口では深く言及しなかったのかもしれません。
言い換えると、自分の他者性およびわかりあえない社会と向き合うことを強調したいのだとも受け取
れます。

■わかりあえない社会と生きること

キーワードは「倫理」です。表現は、政治、民主主義、資本主義などが出てきますが、一言でいう
なら「社会」と捉えてよいと思います。

〔政治の移行プロセス〕アイデンティティ政治 → 違いにこだわる政治 → 違いにこだわらない政治

 ・まずは「違いにこだわる」段階を踏まなければならない
  ステレオタイプは非常に強風なので、一足飛びには次のステップに到達できないからだ
  この段階で、私たちは話し合う必要がある
  … わかりあえない他者と生きると同じく、対話の重要性を説くにとどまっています。

 ・相手が自分自身の人間性について違う解釈をしているという事実を見る、「違いにこだわらな
  い」が最終段階だ
  … ここでは、ジェンダーや民族などに対する偏見や差別の問題が取り上げられており、それをい
    かに発展的に解消するのかが描かれています。世界をリードしてきた米国に自国第一主義を唱
    える大統領が現れたかと思えば、新型コロナ感染症問題においては外国人排斥思想が出現し
   (本書では、東京オリンピック・パラリンピックの日本の対応を厳しく批判しています)、そして今日時点では、20世紀の冷戦構造の亡霊のようにウクライナ問題が勃発しています。

 ・今私たちがやるべきは、倫理資本主義を創造することだ
  … 共産主義の破綻により顕在化したのは、資本主義の行き詰まりでした。
この苦境からどう脱却するかを明確に提示しているリーダーや論客はおそらく出てきていませ んが、多くの賢人が共通して訴えているのは、「倫理」の重要性です。
 日本を例に取るなら、渋沢栄一の『論語と算盤』の精神です。
 社会システムがどのように変わるにせよ、「倫理」の欠落したシステムは持続可能ではないこ とを示唆しています。

最終章でガブリエル氏は、「利他主義は簡単だ。自分自身の利益を大事にするほうが実は道徳として難易度が高い」と言い張っています。一見暴論に見えますが、一周回るならこの論理は正しいです。
ですが、日本に暮らす私たちだけでなく世界の多くの国の社会は、まだ第二段階の「違いにこだわる」にすら辿り着いていません。

だから、『わかりあえない他者と生きる』ための「対話」であり、私たちの深層心理に根付いている
バイアスから「自由」になることが求められているんだな。

ほぼ妄想レベルの書評ですが、ガブリエル氏との「対話」を楽しみ、内省できる良書です。
 
 
 
「哲学界の旗手が示すまったく新しい他者論」という惹句にみごとに引っ掛かり、1,020円+税を無駄にしてしまいました。

 Zoomによるインタビューをまとめた安直なつくりの本で、テーマは哲学的な議論ではなく、新型コロナ対策やSNS等の世情に関する陳腐、ときに独善的な見解の開陳です。

 差異の認識、他者の尊厳尊重、合理的話し合いの重視、寛容、許し、倫理、倫理的「思考」の訓練が強調されますが、それらは昭和の戦後民主主義以来、くり返し耳にしたことです。説法する方は気分が良いが、聞かされる方は退屈する机上論です。総じて、おどろくほど新しみのない他者論です。

 ロックダウンは非倫理的だと一方的に批判する一方、多様性への理解を深めるために、政府が3か月、ランダムに当てた外国に住むことに義務化すると良い、などといった自分のアイデアを自慢げに披露します。しかしそれは「居住移転の自由」の侵害ではないでしょうか。
 その他、為政者気分で「賢者」の考える社会改善方策がいろいろと提案されますが、上空飛翔的で、かつ幼稚な印象をぬぐえません。

 「民主主義では愚かな人でも自分の考えを言っていいんだよと娘に教えました」(p.106)ともあります。意見の違うひとは、つまるところ「愚かな人」とみなされています。「普遍的価値」は存在するので、それが何かを「対話」で白黒はっきりさせるということのようです。むろん「賢人」が勝利するのでしょう。

 このひとは印税を稼ぐ「天才」なのでしょうか。権威や肩書への盲信的態度を改めるのが重要であることに思いいたらせてくれる読書体験となりました。
 

人に2人が非正規労働者。他人事ではない「貧困強制社会」のリアルに迫る

2022年06月21日 10時00分05秒 | 社会・文化・政治・経済

ノンフィクション 2021/8/25

不寛容の時代 ボクらは『貧困強制社会』を生きている

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   今の時代、非正規雇用での働き方は身近なものとなっている。なんと、約4割、5人に2人が非正規労働者だという。また、最近ではコロナ禍によって、飲食店が相次いで閉店に追い込まれるなど、働く人を取り巻く環境がますます厳しくなっている。


 2021年8月23日『不寛容の時代 ボクらは「貧困強制社会」を生きている』(くんぷる)が発売された。

   本書は、元北海道新聞社会部記者の藤田和恵さんが、非正規労働者の実態を取材した渾身のルポルタージュである。藤田さんが非正規労働者の取材を開始してから20年。以前と比べて非正規労働者数は急激に増え、今や働く人の約4割が当てはまるという。

   弱者の切り捨て、差別、自己責任化する風潮は非正規労働者を苦しめる。最近では、コロナ禍でさらに日本社会の脆弱さが露呈した。

私は、富める者が先に豊かになれば、その後貧しい者にも自然に富がこぼれ落ちていくという「トリクルダウン」という考え方を、"二万%"あり得ないと思っている。これは、長年、労働や貧困問題を取材してきたことによってたどり着いた確信だ。
では少しでも社会をよくしようと思ったら、どうするのか。これはもう「ボトムアップ」しかないのではないか。少しでも貧困のリアルを伝えること。私が貧困問題について書き続ける理由は、もしかしたらこのあたりにもあるのかもしれない。

   記者として貧困のリアルを伝えることで、声を上げられないほど追い込まれている人の存在が社会に認知される。その思いから、「社会のいい面を伝えなくては」という忖度なしに、「ありのままの貧困」が綴られている。

普通に努力しても貧困に陥る理不尽さ

   待遇格差など非正規雇用にはさまざまな問題があるが、藤田さんは、最大の問題は「働き続けられる保障がないこと」なのではないかと指摘する。たとえば、時給1500円もらえれば月25万円程度とそれなりの収入にはなるが、「数カ月ごとに契約更新を繰り返す細切れ雇用では、将来の計画など立てようがない」という。

私を含め世の中の多くは「飛びぬけた才能があるわけではないけれど、普通に努力をする人々」である。(中略)多くの「普通の人々」にとって、五年後、十年後に同じ職場で働けているか分からない、どの程度の収入があるのか予想もできないような暮らしの中で、結婚や子育て、老後といった将来を語ることは難しい。

   もう一つの問題は、「物言わぬ労働者」を増やすことだ。藤野さんは、セクハラの被害者なのに解雇された例や、不正を告発したことによるパワハラ、職場の不祥事に目をつむらないと正規雇用になれない、といった実例を挙げ、こんな状況では「物言わぬ労働者」が増えるのは当たり前だという。程度の差はあれ、非正規で働いたことのある人なら、いつ雇止めになるかもわからない弱い立場で、黒いものを黒と言えないもどかしさを感じたことが、一度はあるのではないだろうか。

   最近では、実際は労働者なのに契約上は個人事業主という「名ばかり個人事業主」や、ネット上の仲介サイトから仕事を受けて働く「プラットフォームワーカー」「ギグワーカー」と呼ばれる働き手も増えている。こうした人々には労働基準法が適用されないため、「非正規労働者以上に劣悪な環境で働かされる恐れがある」と藤野さんは危惧する。

   一方で、非正規で働く人の中には「波風を立てたくない」「自己責任だから」といって不条理を受け入れてしまう人も少なくないという。そもそも自分がどういう契約で働いているのかを把握していない人も。本書では、さまざまな事例をもとに、貧困の背景にある「働き方」の問題を掘り下げていく。

   目次は以下の通り。

はじめに
使い捨てられるアルバイト、契約社員、派遣社員たち
貧困の背景には、働き方の問題がある
手取り一五万円を超えられない四七歳男性の深い闇
妻からも見放された三四歳男性派遣社員の辛酸
「日雇い派遣」で食い繋ぐ三四歳男性の壮絶半生
フリーランスを志す三一歳男性の「夢と現実」
非正規公務員・官製ワーキングプワ
ますますひどくなる官製ワーキングプア
「ないない尽くし」非正規公務員の悲惨な実情
公立病院でブラック労働させられた男性の告発
「困窮支援相談員」の呆れるほどに悲惨な待遇
四八歳「市の臨時職員」超ブラック労働の深刻
月収一二万円で働く三九歳男性司書の矜持と貧苦
五五歳郵便配達員に生活保護が必要な深刻理由
コロナ禍・奈落の底へ
ぎりぎりまで助けてと言えない、広がる社会のいびつさ
コロナ禍がもたらしたもの
「コロナ感染でクビ」三〇歳男性が怯える理由
四〇歳料理人をクビにした社長の酷すぎる言い分
収入ゼロでも「生活保護は恥ずかしい」男の心理
孤独と差別の発達障害
発達障害と貧困
早稲田政経卒「発達障害」二六歳男が訴える不条理
壮絶な「いじめの記憶」に苦しむ四七歳男性の叫び
五〇歳の発達障害男性「社労士合格」に見た希望
「一〇社以上でクビ」発達障害四六歳男性の主張
おわりに

   コロナ禍で、いつ貧困に陥るかわからないという恐怖を実感させられた。現在非正規で働いている人だけでなく、誰にでも起こりうる身近な問題として、読んでおきたい一冊。


※画像提供:くんぷる
 
 
  • 出版社名くんぷる
  • 出版年月日2021年8月23日
  • 定価1,870円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・256ページ
  • ISBN9784875510550