あなただけの希望を探し求めてほしい

2024年11月09日 11時08分47秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

作家 あさの あつこ さん

―いきづらさを抱えている若者は多いと思います。

それって、大人の決めつけだと思うんです。

経済格差や少子高齢化など課題が山積する昨今を、確かな未来の見えない「閉塞の時代」「絶望の時代」などと形容しがちです。

でもそれは、実は大人が勝手に描いたものに過ぎなくて、若い人たちをはめこんで「君たちはこういう構図の中で生きている、生きづらい今を生きているんだ」と簡単に言ってしまうのは、すごく無責任だし、間違っていると思うんです。

生きずらい、未来に希望がないと感じるのであれば、その正体が何なのか、それに立ち向かう答えを、一人一人が自分で出していかなけばいけないし、それができるから生きていけると思う。

でも、それを潰してしまうことがやっぱり多い、

若い人たちが希望を語ったときに、私たち大人がどう受け止めるか。

結局、大人側の問題だと思うんです。

だから、それにのみ込まれない。

みんなが信じ込まない、みんな信じ込まされない枠組みを揺らすような物語を書きたかった。

10代の少年が本気で語った言葉、真実の言葉に対して、社会がちゃんと反応できるというのは、私の希望なんです。

人は誠心誠意の言葉に心動かされるし、気付かされもする。

それを信じられないんだったら、物書きの資格はありません。

この世の中は捨てたもんじゃないということを、信じたいのです。

―あさのさんにとって、小説を書く原動力は何でしょうか。

まだまだ書きたいことが山ほどあって、自分が納得できていないんです。

こういう仕事に巡り合い、機会を頂けるというのは、とても幸せなことです。

自分が何を頑張りたいのか、10代だけじゃなく、20代、30代・・・・いくつになっても自問し続けること、すごく大事だと思うです。

他人の語る希望に引きずられると、自分に問うことがなくなってしまいます。

ささやかなことでもいい。

春に咲く一本の花を楽しみ生きることだって、すてきな希望です。

自分で出した答えでなければ、やっぱり納得できないと思う。

絶望の時代とか、こう生きればいいとか、全て他人の言葉ですよね。

それを振りまいた人が誰かも分からない。

正体不明のあやふやなものに巻き込まれないためにも、自問し続けること。

答えを出そうとあがき続けること。

それが、その人の根っこを強く大きくさせるんだと思います。

「アーセナルにおいでよ」あさの あつこ 著

スタートアップ企業を立ち上げようと奮闘する若者を描いた青春小説!

累計1000万部突破の『バッテリー』シリーズ、『No.6』などで10代の少年少女から圧倒的な支持を受ける作家・あさのあつこ氏。
その4年ぶりの青春小説で、スタートアップを立ち上げようと奮闘する若者4人を描いた『アーセナルにおいでよ』が誕生しました。

あさのさんは、
「生きていく武器をちゃんと身につけてもらいたい。そういう思いを込めて書きました」
「よくありがちな「起業した若者たちの物語」という言葉では括れない、彼らたちだけの物語ができました」
と語られています。

ネットの中傷、不登校、詐欺など学校や社会に馴染めずドロップアウトした主人公たちが、起業という一つの目標に向かい、生きる「武器」を手に入れていく、まさに現代に求められる物語です。

【あらすじ】
「おれ、今度、起業するんだ」
幼馴染で初恋の相手・芳竹甲斐から突然呼び出された高校3 年生の川相千香は、その文章力と思索力を見込まれ、スタートアップのメンバーとしてスカウトされた。会社の名前は「アーセナル」。「器庫」という意味だという。コンプレックスを持つ千香。中学生で不登校になった甲斐。詐欺に巻き込まれて逮捕歴のある稲作陽太。バツイチの古藤里佳子・通称コトリ。それぞれ問題を抱えた4 人は、各々の個性と能力を武器に、「アーセナル」のために奔走するーー。

【著者プロフィール】
あさの・あつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、99 年『バッテリーII 』で第39 回日本児童文学者協会賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞、11年『たまゆら』で第18回島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『No.6 』『ランナー』『火群のごとく』『透き通った風が吹いて』『野火、奔る』など多数。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。


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