毎日新聞 2019年6月21日
視覚障害者らがより読書を楽しめるよう、国や自治体の責務などを定めた「障害者読書環境整備推進法(読書バリアフリー法)」が21日、衆院本会議で全会一致で可決、成立した。
目や手足の障害や識字障害があると、紙の本や雑誌に印刷された文字を読むのが難しい。
そうした人も利用しやすい音声や点字の図書などを増やそうと、障害者団体の要請を受け超党派で議員立法の法案を取りまとめた。
同法は「すべての国民が障害の有無に関わらず読書を通じて文字文化を楽しめる社会の実現」を目的に提示。
国と自治体に障害者の読書環境を整備する責務を定めた。具体的には、国が基本計画を作り、出版社、障害者団体、国会図書館などと協議会を設けて施策を進める。
出版社が書籍の電子データを点字図書館や障害者個人に提供する取り組みの促進や、図書館が録音図書や電子書籍などの所蔵を増やすことも盛り込んだ。【原田啓之】
「自由に本を」読書バリアフリー法案、超党派で提出へ
朝日新聞 前田智 2019年5月22日
視覚や上肢の障害、発達障害などがある人の読書環境を整えようと、超党派の国会議員が今国会に「読書バリアフリー法案」を提出する見通しになった。
誰でも読みやすいLLブック 読み書き不自由な人へ工夫
18カ条からなり、「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現に寄与する」とうたう。
7条と8条では、国が読書環境整備の基本計画を定め、自治体に障害当事者の意見を反映した具体的な計画をつくるよう求めた。
国や自治体が取り組むべき基本的施策も盛り込まれた。障害者が利用しやすい図書館の整備(9条)▽インターネットによるサービス提供の強化(10条)▽読みやすい書籍や電子書籍の製作支援、販売促進(11、12条)▽使いやすい電子書籍や端末など先端技術の研究開発(16条)などだ。
法制定を求める動きは2008年ごろ始まり、日本盲人会連合、DPI(障害者インターナショナル)日本会議、弱視者問題研究会、全国盲ろう者協会の障害当事者4団体が、「自由に本を読みたい」と共同で取り組んできた。日本は昨年、障害者の読書環境整備をめざす国際条約(マラケシュ条約)を批准した。