みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

トイレマップ

2012-05-13 21:21:08 | Weblog
東京と自宅の車での往復のためのトイレマップを、恵子が退院する前に作った。
伊豆高原から国道135を通って、小田原厚木道路、そして、東名川崎から狛江までの間でトイレを利用できる場所を探し、そのトイレの状況をマップにしたものだ。
なぜこんなものが必要かと言えば、私が東京に仕事に来る時は必ず恵子を同伴しなければならないからだ。
日本で、身体障害者がノープロブレムで利用できるトイレはあまり多くない。
段差、階段、手すり、角度、そしてトイレの清潔さなどを考えると、合格するトイレの方が少ない。
まずダメなのがファミレス。ファミレスのほとんどは2階にあり、そこまでエレベーターやエスカレーターがあるものは皆無に近い。
階段でしか到達できない場所は、車椅子の人にも杖の人にも到達不可能だ。
つまり、身障者の人たちはファミレスでは食事できないのだ。
その点、コンビニは合格するところが多い。コンビニは基本的にバリアフリーで作られているからだ。
しかしながら、肝心のトイレの中身はいろいろだ。
手すりがあるところはセブンイレブンに多いが、全ての店舗がそうだとも限らない。
トイレが清潔かどうかもかなり重要なポイントだが、手すりがあるトイレは大体最近整備された所が多いので清潔なところが多い。
昔建てられた建物は、つぎはぎで作られているところも多いので、段差が問題になる所が目立つ。
なので、私と恵子は、いつも小田厚木道路を降りてすぐの小田原のセブンイレブンを利用している。
店員さんの対応も良いし、何しろトイレが清潔で手すりがちゃんとしているのが嬉しい。
日本のバリアフリーに関する設備は、おそらく欧米から比べたら天と地ほども差があるのではないかと思う。
特に、鉄道関係は絶望的というか、「基本的に身障者は乗るな」という状況に近い(なのに、 身障者手帳を持っているとJRが半額で利用できる。なんたる矛盾!)。
だから、駅のトイレに手すりがついていたり、車椅子でも利用できるようなトイレがあるのを発見すると逆にバカバカしくなって腹が立ってくる。
トイレがいくら完備されていても、トイレまで一体どうやって到達したらよいのですか?と聞きたくなってしまう。
鉄道会社の人たちが何も考えていない証拠だ。
同時に、私たちがしょっちゅう耳にする「お客様ご案内中」の車内アナウンスにも腹が立つ。
本当は、案内なんかしなくても自由に行き来できるように設計しなくてはいけないはずなのだが、あんな風にわざわざ一般の人にアナウンスしなくてはならない状況を身障者の人たちは一体どういう気持ちで聞いているのか鉄道の人たちは考えているのだろうか。
私のアメリカ時代の指揮の恩師で、十数年前に武蔵野音大で指揮を教えていたロバート・バート先生が日本に数年滞在していた時も(先生は、先天性の病気で足が不自由な方だった)、「日本で電車に乗るのは不可能だから」と自家用車を足を使わなくても運転できるように改造して移動していた。
そうでもしないとこの国は、身障者の人たちが移動の手段をまったく持てない国なのだ。
恵子もバート先生と同じ境遇になってしまって、日本の社会保障がいかに不備で遅れているかを先生と話をしようと思ったけれども、先生は昨年他界されてしまって、もうそれもかなわなくなってしまっていた。

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