みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

4人のグラミー賞

2011-02-14 23:19:16 | Weblog
いつも海外のコンクールで誰かが優勝したりすると相変わらず「日本人はすごいですね、快挙ですね。世界で後退している日本の評価がこれで上がりますね」なんて馬鹿なコメントをしている人たちがいるけれど(大半がそうだけれど)「おいおいちょっと待てよ」だ。
これって日本人の才能が評価されただけであって決して日本の評価が上がったわけではない。
むしろその逆で彼ら4人を評価したのは外国であってけっして日本ではないということを忘れてはならない。
松本さんにしても内田さんにしても上原さんにしても(もう一人のお琴の人のことはよく知らないが)ずっと前から外国で評価されている。
今回のグラミー賞で評価されてということは、日本という国は音楽や文化を何も評価できない国だということを逆に宣言しているようなものでは(むしろ、かえって恥ずかしいことなのでは?)。

私は前から口を酸っぱくして言っているのだが、演奏家の技術レベルが上がることとその国の文化レベルが上がることは必ずしも一致しないし、そのことで日本はこれまでずっと勘違いをし続けている国なのだ。
明治維新で急に洋楽を勉強し始めた日本人は明治十九年にはもう既にオペラを上演していた。このことをどう見ればいいのか?(日本人にはそれだけ器用な人が多いということだろう)
世の中の人たちが洋楽のドレミファのファとシの音程が歌えなくてしょうがなく「ヨナ抜き音階」なんていう変てこりんな音階を作らざるを得なかったそんな状況でもオペラを上演していた国だ。
このアンバランスさは昔も今も変わらない。
自称音楽家(私もその一人だが)がゴマンといてその九割以上は経済的に自立できない状態なのにも関わらず、グラミー賞を4人も受賞したり世界最高のオーケストラ、ベルリンフィルのコンマスに日本人がなったりするこのアンバランスさこそがある意味「東洋の神秘」「東洋の不可解さ」なのかもしれないのだが果たしてそれはいいことなのか悪いことなのか?

ただ、それにしても最近のFACEBOOK報道にしてもグラミー賞報道にしても日本のメディアというのはどうしてこうトンチンカンな報道しかできないのだろうか?
ちょっと情けない。

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