私は、アトランタオリンピックの時は、選手であり、国会議員でした。オリンピック会場に向かう選手団をのせた飛行機から降りる時、私は一番最後に降りたのですが、唖然としました。スリッパや新聞や紙コップが散乱し、毛布も畳まれていなかったからです。
「これが本当に日本を代表する選手達か」と目を疑いました。案の定、いい結果ではありませんでした。その反省を受けて、「人間力なくして競技力向上なし」ということをテーマに掲げ、選手強化をやるようになりました。
日本を代表する選手というのは、血税を使っての代表選手です。いかに「公人」ということに耐えられるかということも、競技力の一つになります。
実際、選手村を去る時、私は全ての選手の部屋をチェックしています。お世話になったものに対して、感謝の気持ちを込めて後始末ができているかをチェックしているのです。
そうすると、ものに感謝できるかどうかが、競技力に結びついていることが分かります。競技成績のよい選手達は、人の見ていないところでも物に感謝することができています。
そのような心があってこそ、精神の鍛錬ができるのです。そして、その日々の感謝の積み重ねが、いざとなった時に、体格では劣る日本選手が勝つ、大きな要素になるのです。
このことを示していくためにも、私は今、オリンピックを教育の場にしたいという思い出、人づくりに励んでいます。
橋本聖子氏の言葉である。学校で子供達を見ていると、橋本氏の言う通りだと感じる。スポーツだけでなく、勉強ができる子、しっかりしている子、心が強い子は、みな物に対する感謝の気持ちをもっている。
みやざき中央新聞2538号より引用
平成26年(2014年)1月20日(月)発行
(この「みやざき中央新聞」一番おすすめの新聞である。読むと元気が出る唯一の新聞ではないだろうか。)