いい本を読んだ
「『不思議な会社』に不思議なんてない」である。
「不思議な会社」とは、島根県松江市にある「島根電工」という会社。
人口流出と産業の衰退に歯止めがかからない厳しい経済環境に置かれている地域であるが、毎年のように業績を伸ばしている。
でかい公共工事ではなく、小口の工事で業績を伸ばしている。
コンセントの取り付けや照明器具の設置などである。
期待を超える感動を!
がキャッチフレーズだという。
では、どんなサービスが必要なのか
著者(であり社長)である荒木氏は、次のように書いている。
私は社員たちに「お客さまを自分の恋人と思え。兄弟と思え」と話しています。
もし自分の恋人や兄弟が「電気がつかないからきてほしい」「水道の水がポタポタ落ちて止まらない」「トイレの水があふれた」と言ってきたらどうするでしょうか。
何もおいても、すぐ飛んでいくのではないでしょうか。そして「大丈夫だった?」「もう心配ないよ」「すぐ直してあげるからね」と優しい言葉をかけるでしょう。
お客さまも同じです。
このように指導しているから、次のようなことが起こる。
私も町のあちこちゃ会合で声をかけられることが多くなってきました。
「この間、お宅のおたすけ隊にきてもらって、本当に助かったよ」とお礼を言われることもしよっちゅう。
居酒屋に行ったら、そこの女性から「お宅は電話をしたらすぐきてくれるから、ほんとすごいわ」と感謝されたこともあります。
そのことを社員に伝えると、社員が喜んで、さらにやる気がアップするのです。
このような会社にするために、社長の荒木氏が重視しているのが、
研修であり、
先輩が後輩を指導する制度であり、
技能コンクールへの挑戦であり、
お客様を感動させた社員を表彰する「感動大賞」などの評価制度であり、
社員旅行や家族も参加する大運動会であり、
社員がその場で見積もりから施行内訳、集金までできる端末の開発である。
中でも研修は、一番重視している。
人間性を養う研修を最も重視している。
役員になっても研修を受ける。定年で退職するまで研修がある。
そんな島根電工は、特色だらけのようだが、荒木氏によると、1番の特色があるという。
それは、次である。
島根電工グループの特色をひとつだけあげろ、と言われたら、私は迷わず「社員を大切にすること」と言うでしょう。
以前は「顧客第一主義」を掲げていたのですが、お客さま第一で制度や仕組みをつくっていくと、どうしても社員に無理がかかってしまいます。
そこで島根電工グループでは、
(一)社員とその家族が一番
(二)関係する会社(卸会社・メーカー・下請会社)の社員とその家族が二番
(三)お客さまが三番
(四)地域が四番
(五)株主が五番 の順番にしています。
三番目がお客さま。順番は三番目ですが、社員を大切にして、取引先を大切にすれば、大切にされた社員と取引先はお客さまのことを大切にしますから、結局、お客さまが大切にされることになるのです。
ですから本当に「顧客第一主義」を掲げるなら、お客さまに直接、接する社員や取引先を大切にしなければなりません。
社員が一番、取引先が二番、お客さまが三番というこの順番は、本当にお客さまのことを考えたからこそ言える結果なのです。
こんな会社だから、我が子や兄弟が入社してくる。社員を大切にする会社であるからこそ、親族にも勧めたくなるのだろう。
では、教育界はどうだろう。
教職員を大切にしていると言えるだろうか。
休暇制度や厚生事業については手厚いと言えるかもしれない。
研修制度についても学べる仕組みがある。
しかし、教職を希望する人は年々減り続けている。
自分は管理職なので、荒木氏がやっていることを参考にして、できることを取り入れたい。
まずは、研修と学び合える環境づくりからやってみよう。