先日、地域のスポーツ少年団の秋季大会があった。
剣道、ソフトボール、バレーボールや陸上競技などに分かれて行われる。
普段がんばっている子供達を応援しようと出かける予定だった。
気軽に応援に行こうと思っていたが、教育委員会から次の依頼があった。
「剣道大会の閉会式で講評をしてほしい」
頼まれたら引き受けないわけにはいかない。
ただ、話をするというのは、今も苦手である。
プレッシャーを感じながら応援をすることになった。
普段から「校長の話」をする際、心がけているのは、主に次の3つである。
○ 短く話す
○ 感謝を伝える
○ 本質に関わる話をする(そもそも何のための教育活動なのか)・・・目的を語る
3つのことに気をつけたら、あとは、そのときに見た具体的なエピソードを取り入れながら話すようにしている。
とりあえず、下調べとして、全日本剣道連盟のホームページで、「剣道の理念」「心構え」等を調べた。
ねらうところは、自分がやっている柔道と同じであることに気づいた。
感謝と目的をどう取り入れて話そうかなあと思いながら試合を観戦した。
結局、次のような話をした。
剣道部のみなさん、今日は大会に参加できてよかったですね。
感染症の流行や、台風の災害があったから、この大会自体が開催できるかどうか分かりませんでした。今日は開催できてよかったです。この大会を通して、みなさんはまた一つレベルアップをしたと思います。
今日は、中学校の剣道部の先生方や先輩方に、審判や進行などをしていただきました。おかげさまで、スムーズに大会が進みました。ありがとうございます。
また、普段から指導に関わって下さっている指導者の方々や引率して下さる保護者の皆様方、ありがとうございます。
実は、私は、剣道はしませんが、柔道を今もしています。みなさんの試合を見ながら、「柔道で勝てるかなあ?」と思いながら見ていましたが、みなさんには到底勝てないだろうと思います。
まず、みなさんの間合いには入れません。あの迫力のある間合いの中には到底入れないだろうと思いました。
あらためて剣道というのは最強の護身術ではないかと思いました。
ところで、みなさんは、何のために剣道をしていますか?
(少し間を取る。)
剣道の稽古は、何のためにするのでしょうか?
実は調べてきました。
全日本剣道連盟のホームページに書いてあります。
「剣道は 剣の理法の修錬による 人間形成の道である」とあります。
「人間形成」なんですね
要するには、剣道を通して、次のような人になってほしいということです。
「礼儀正しく 心も体も強く 進んで社会に貢献できる人」
今日のみなさんの姿を見ていて、今言ったような人になっていくだろうなあと思いました。
例えば、会場に入ってくるときの挨拶、素晴らしかったです。もちろん試合の前と後の礼、そして試合後に監督さんのアドバイスを聞くときの返事をする姿、どれをとっても礼儀正しい姿でした。
また、試合では、積極的に攻撃する姿や、リードされても最後まで諦めずに攻める姿からは、心や体の強さを感じました。
そして、防具をきちんと整理整頓したり、会場の後片付けをしたりする姿を見て、きっと社会に貢献できる人になるだろうと思いました。
負けて悔しい思いをしている人もいるようですから、もっと強くなるためのコツもお伝えしますね。
もっと強くなるためのコツは、「道場で学んだことを日常生活でもやってみること」です。
指導者の方から教えてもらった竹刀の動かし方や足の動きを、日常生活でやってみることです。
そして、挨拶や返事、履物並べなど、道場でやっていることを、学校やお家でもできるようになることです。
道場でやっていることが、日常生活でも、当たり前のようにできるようになった人は、必ず強くなります。
みなさんは、もっともっと礼儀正しく、心も体も強く、貢献できる人になります。
これからも指導して下さる先生方やおうちの人の言うことをよく聞いて稽古に励んで下さい。
これで講評を終わります。
終わりの斜め文字の部分は、試合後に負けて悔し泣きをしている子を見たので付け加えた。
いい涙だなあと思った。練習してきたからこそ流す涙である。
少しでも強くなってほしいとの思いから付け加えてしまった。(長くなるとわかっていたのだけれど)