今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
「内村鑑三は『平和なときの平和論』と言いました。ずいぶん昔言った言葉ですが、いまだに生きて痛切ですから私は再三引用して、しまいには自分の言葉のような気がして失礼しています。これを聞いて何が分るかというと、平和なときに平和論を唱えるのは勇気がいるように見えますから皆さん言いますが実はちっともいりません。
勇気は戦争になってから平和論を唱えるほうにいります。言えば袋だたきにされます、うしろに手が回ります。それでも言いはると牢屋にいれられます。
このとき袋だたきにするのは、ほかでもないあの平和なときに平和論を唱えた者どもです。」
(山本夏彦著「生きている人と死んだ人」文春文庫 所収)
「内村鑑三は『平和なときの平和論』と言いました。ずいぶん昔言った言葉ですが、いまだに生きて痛切ですから私は再三引用して、しまいには自分の言葉のような気がして失礼しています。これを聞いて何が分るかというと、平和なときに平和論を唱えるのは勇気がいるように見えますから皆さん言いますが実はちっともいりません。
勇気は戦争になってから平和論を唱えるほうにいります。言えば袋だたきにされます、うしろに手が回ります。それでも言いはると牢屋にいれられます。
このとき袋だたきにするのは、ほかでもないあの平和なときに平和論を唱えた者どもです。」
(山本夏彦著「生きている人と死んだ人」文春文庫 所収)