「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2014・03・13

2014-03-13 07:00:00 | Weblog


今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

「荷風の人物は彼が好んで援用した儒教的モラルからみれば低劣と言うよりほかない。それなのに荷風は今も読まれこれからも読まれ、日本語があるかぎり読まれるのは、ひとえにその文章のせいである。その文章は『美』である。荷風は日本語を駆使して美しい文章を書いた人の最後のひとりである。おお、私は彼を少年のころから今に至るまで読んで、恍惚としないことがない。些々たるウソのごときケチのごとき、美しければすべては許されるのである
                                          〔Ⅱ『美しければすべてよし』昭57・9・16〕」

(山本夏彦著「ひとことで言う‐山本夏彦箴言集」新潮社刊 所収)

  

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