「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

ここは東京 2016・06・09

2016-06-09 09:55:00 | Weblog


 今日の「お気に入り」は、三好達治(1900-1964)の「ここは東京」。


 「 私はあなたに教へてあげたい

  ここは東京 焼け野つ原のお濠端(ほりばた)です

  こんなに霧のかかつた夜ですが 女のひとよ

  ここは北京(ペキン)ではありません また巴里(パリ)でもありません

  あなたはどちらへゆかれるのでせう

  あなたは路(みち)にまよはれたのです

  私はあなたに教へてあげたい

  あなたはそんなにもの思はしげに外套(がいとう)の襟(えり)に顎(あご)をうづめて

  うすらつめたいこんな夜霧にぬれながら

  どちらへお帰りのおつもりでせう

  まあ一度額をあげてごらんなさい

  その鈴懸(すずかけ)の並木のぐあひをごらんなさい

  枯木のままの骸骨(がいこつ)どもをごらんになつてはどうでせう

  幾年ぶりで昔の主人にめぐり会った飼犬のやうな直感で

  またその家畜のやうなもどかしさで

  私はあなたにあなたの見うしなはれた遠いお住ひを教へてあげたい
 
  あなたはいちづな性分です

  あなたは路をいそがれます

  霧の中に消えてゆくあなたの跫音(あしおと)をききながら

  私はかうして街燈のかげにひそんでゐるつまらぬ秘密探偵ですが

  考へてもごらんなさい

  追剥(おひはぎ)どもの待伏せするこんな夜路をあなたはごぞんじのはずはない

  はやく夢からおさめなさい 女のひとよ

  その外套のかくしの中で あなたの手はかたくかたく

  つめたく握りしめられてゐる

  実はたぶんそれがあなたの夢なんですよ

  ふしぎに淋(さび)しく遠ざかつてゆくあなたのうしろ姿にむかつて

  私は警笛でも吹いてあげたい

  ああそらあなたはまたそんな街角を一つ曲つてどちらへゆかれるおつもりでせう

  こんなに霧のふかい夜ふけですが 女のひとよ ここは東京

  焼け野つ原のお濠端です

  あなたは路にまよはれたのです

  女のひとよ 」






  舛添さんよ。




  将棋なら「待ったなし」、「もう詰んでますよ、舛添さん」。




  投票率を上げるより、被選挙人の質を引き上げてほしいもの。

  選ばれたとたんに馬脚をあらわすような人が、最高の得票率を得た人だなんて。

  選挙民に被選挙人並みの眼力、見識しかなかったということではありませんか。





  政治資金でクレヨンしんちゃんもサザエさんもどらえもんも購入してはなりません。

  政治資金の公私混同利用、あからさまな流用はNGになりました。

  議員候補、大臣候補を選ぶ時の身辺・下半身や政治資金収支報告書など点検項目がまた増えました。

  マスゾエさんほどやりすぎた、東大出の冷徹な合理主義者は珍しいとは思いますが、

  甘利流やりすごし術を見習うか、過去の多くの政治家のように心労を理由に入院するしかない

 かも知れませんネ、

  参院選の公示前に。




  「母に襁褓をあてるとき―介護 闘いの日々– 1998/1」、「母と子は必ず、わかり合える 遠距離介護5年間の真実 – 2014/6/20」

 の著者が厚生労働大臣や都知事を何年もつとめていたのですよ。

  吐く息すべて声、嘘八百、はったりの人生。

   化けの皮はがれてみればただのひと

   欲の皮つっぱりとおし職を辞す


  一敗地に塗(まみ)れる梅雨の朝………、

  夏至のきわみ。


  
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