「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

現の証拠 Long Good-bye 2021・09・22

2021-09-22 05:06:07 | Weblog



  今日の「 お気に入り 」 。

  「 げんのしようこ といふ草は腹薬として重宝がられるが 、何といふつゝましい草であらう 。梅の花を

   小さくしたやうな赤い花は愛らしさそのものである 。或る俳友が訪ねて来て 、その草を見つけて 、子

   供のために摘み採つたが 、その姿はほゝゑましいものであつた 。

      げんのしようこのおのれひそかな花と咲く

    萩がぼつぼつ咲き初めた 。曼殊沙華も咲きだした 。萩の花は塵と呼ばれてゐるやうに 、曼殊沙華の

   やうに 、花としてはさまで美しくはないけれど 、何となく捨てがたいところがある 。私は萩を見る

   たびにいつも故人一翁君を思ひ出す 。彼の名句 ―― たまさかに人来て去ねば萩の花散る ―― は歳月

   を超えて私たちの胸を打つ 。」

          【 筆者註: 文中の「故人一翁君」とは、「 清水一翁( しみず いちおう )、
                 ? – 1928 )」、一翁は出家後の法名 。大正時代の初め 、
                層雲で活躍 。】


  「 今日はあまりの好晴にそゝのかされて近在を散歩した 。そして刈萱を頂戴した 。

    素朴な壺に抛げこまれた刈萱のみだれ 、そこには日本的単純の深さが漂うてゐる 。何の奇もないと

   ころに量ることのできないものがある 。

    露草の好ましさも忘れてはならない 。まいあさ 、碧瑠璃の空へ碧瑠璃の花 、畑仕事の邪魔になら

   ないかぎりはそつとしておきたい 。

    だんだん月が澄みわたつてくる 。芋が肥え枝豆がおいしくなるにつれて 、月も清く明らかになる 。

   とかく寝覚がちの私は夜中に起きて月を眺める 。有明月の肌寒い光が身にも心にも沁み入つて 、お

   もひでは果もなくひろがる 、果もない空のやうに 。

    欲しいな 、一杯やりたいな 、 ――そんなとき 、酒を求めないではゐられない私は 、亡き放哉坊の

   寂しい句をくちずさむ 。 ―― こんなよい月をひとりで観て寝る

    私にもひよいと戯作一句うかんだ 。芭蕉翁にはすまないが 。 ――

      一つ家に一人寝て観る草に月                            」


   ( 出典: 種田山頭火著 村上護 編 小崎侃・画 「 山頭火句集 」ちくま文庫 ㈱筑摩書房 刊 )
   


    子供のころ 、母が土瓶で煮出していた「 ゲンノショウコ 」、部屋に漂う薬草の独特の匂いを思い出す 。

    明治生まれの母は 、右手に煮沸消毒した注射器を持って、自らの左腕に漢方薬「 ミノファーゲン 」の

    「 静脈注射 」をする 、今にして思えば変わった人 、医者でも 、看護師でもないのに 。

    因みに 、インターネットの フリー百科事典「 ウィキペディア( Wikipedia )」には 、以下の解説があり 、

    とても興味深い 。漢方じゃないんだ 。 夏の季語 。・・・ 飲んでみようかな ・・・ お薦めかも 。



  「 ゲンノショウコ( 現の証拠 、学名: Geranium thunbergii )は 、フウロソウ科フウロソウ属の

   多年草 。日本全土の山野や道端に普通に見られる 。中国植物名は 、童氏老鸛草(どうしろうかん

   そう)。近い仲間にアメリカフウロ 、老鸛草 などがある 。」

  「 名称

    古来より 、下痢止めや胃腸病に効能がある薬草として有名で、和名の由来は 、煎じて飲むとその

   効果がすぐ現れるところからきている 。和名ゲンノショウコは「 実際に効く証拠 」を意味し 、

   「 現(験)の証拠 」と漢字書きにされる
。日本では 、現の証拠 のほか 、玄草(げんそう)と

   いう名でも流通している 。

    別名として、果実の形をろうそくに見立ててロウソクソウや 、種子を飛散させた後の果実の形が 、

   神輿の屋根のように見えることから 、ミコシグサ( 神輿草 )、フウロソウとミコシグサを合わ

   せてフウロソウミコシグサ( 風露草神輿草 )とも呼ばれる 。また 、葉の形にちなんでネコアシ

   ( 猫足 )、ウメに似た花形と茎が細く伸びる姿からウメズル( 梅蔓 )ともよばれることもある 。

    花言葉は 、『 心の強さ 』である 。」

   ( 中 略 )

  「 薬草

   ゲンノショウコはドクダミ 、センブリなどと共に 、日本では古くからの三大民間薬の一つに数え

   られ 、下痢止めの薬草として知られている
。江戸時代から民間薬として用いられるようになり 、

   『本草綱目啓蒙』( 1803年 )にも取り上げられ 、『 根苗ともに粉末にして一味用いて痢疾

   ( りしつ )を療するに効あり 、故にゲンノショウコと言う 』との記載が見られる 。

   現代の日本薬局方にも『 ゲンノショウコ 』として見える 。ただし 、伝統的な漢方方剤(漢方薬)

   では用いない
。」

   ( 中 略 )

  「 採取と飲用

    一般に開花期である 7 - 8 月頃に根を除いて刈り取り 、洗って十分水気を除いて 、天日で乾燥

   させたものが生薬になり 、ゲンノショウコ と呼んでいる 。日本薬局方 では茎・葉をゲンノショ

   ウコ 、その粉末をゲンノショウコ末という 。若葉のころは 、トリカブトやキンポウゲ類の有毒

   植物に似ているため注意するが 、夏の開花期であれば花で確認できる 。

    優れた健胃・整腸作用を持ち、下痢、便秘、食あたり、慢性の胃腸疾患に効能があり、時間をかけて

   十分煎じることで薬効成分が抽出される 。下痢止めとしては 、ゲンノショウコ 1日量 10 - 20 グラム を

   約 500 - 600 cc の水で煎じ約半量まで煮詰めたものをさらに濾して、温かい状態で1日3回分けて服用

   する方法が知られている 。下痢に使用するときは 、なるべく量を多くした方が良いと言われ 、便秘に

   使用するときは 、1日量 5 - 10 グラム と量を減らして煎じ服用するとされる 。冷えた煎じ汁は 、整腸

   薬となる 。扁桃炎 、口内炎 、のどの痛みには 、煎じ汁をうがい薬として使用することが知られている 。

   湿疹やかぶれには 、煎じ液を冷まして冷湿布に用いられる場合もある 。慢性的な胃腸の弱い状態など

  ではお茶代わりに飲用する場合もある 。利尿目的の場合は 、1日 10 - 15 グラム を、500 cc の水で 、

   5 - 10分 煎じ 、3回に分けて食間に服用する 。高血圧予防には 、ゲンノショウコ10グラム 、ドクダミ

   10グラム 、少し炒った決明子 5グラム を煎じて常用すると効くとされる 。また 、ゲンノショウコ

   100グラム 、ヨモギ 100グラム を混ぜて浴湯料として使ったゲンノショウコ風呂は 、冷え性 、しぶり腹

   に効くとされる 。

   下痢 、便秘に使用するのは日本独特の使い方で 、中国ではこのような症状には使用されていなかった 。

   中国には日本のゲンノショウコはないが 、キクバフウロ 、ミツバフウロ 、イチゲフウロなどを老鸛草

   (ろうかんそう)と称して 、神経痛に用いる 。」


      

                         
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