「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

をなごやの灯がまたたき Long Good-bye 2021・09・25

2021-09-25 05:06:07 | Weblog



  今日の「 お気に入り 」 。


   「 分け入つても分け入つても青い山 」

   「 しとどに濡れてこれは道しるべの石 」

   「 鴉啼いてわたしも一人 」

   「 生死の中の雪ふりしきる 」

   「 この旅 、果もない旅のつくつくぼうし 」

   「 へうへうとして水を味ふ 」

   「 落ちかかる月を観てゐるに一人 」

   「 笠にとんぼをとまらせてあるく 」

   「 まつすぐな道でさみしい 」

   「 だまつて今日の草鞋穿く 」

   「 しぐるるや死なないでゐる 」

   「 しぐるるやしぐるる山へ歩み入る 」

   「 木の芽草の芽あるきつづける 」

   「 わかれきてつくつくぼうし 」

   「 すべつてころんで山がひつそり 」

   「 つかれた脚へとんぼとまつた 」

   「 捨てきれない荷物のおもさまへうしろ 」

   「 旅のかきおき書きかへておく 」

   「 まつたく雲がない笠をぬぎ 」

   「 年とれば故郷こひしいつくつくぼうし 」

   「 こんなにうまい水があふれてゐる 」

   「 しみじみ食べる飯ばかりの飯である 」

   「 うしろすがたのしぐれてゆくか 」

   「 鉄鉢の中へも霰 」

   「 よい湯からよい月へ出た 」

   「 月が昇つて何を待つでもなく 」

   「 かさりこそり音させて鳴かぬ虫が来た 」

   「 水をへだててをなごやの灯がまたたきだした 」


    ( 出典: 種田山頭火著 村上護 編 小崎侃・画 「 山頭火句集 」ちくま文庫 ㈱筑摩書房 刊 )



                                                      
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