今日の「 お気に入り 」 。
「 分け入つても分け入つても青い山 」
「 しとどに濡れてこれは道しるべの石 」
「 鴉啼いてわたしも一人 」
「 生死の中の雪ふりしきる 」
「 この旅 、果もない旅のつくつくぼうし 」
「 へうへうとして水を味ふ 」
「 落ちかかる月を観てゐるに一人 」
「 笠にとんぼをとまらせてあるく 」
「 まつすぐな道でさみしい 」
「 だまつて今日の草鞋穿く 」
「 しぐるるや死なないでゐる 」
「 しぐるるやしぐるる山へ歩み入る 」
「 木の芽草の芽あるきつづける 」
「 わかれきてつくつくぼうし 」
「 すべつてころんで山がひつそり 」
「 つかれた脚へとんぼとまつた 」
「 捨てきれない荷物のおもさまへうしろ 」
「 旅のかきおき書きかへておく 」
「 まつたく雲がない笠をぬぎ 」
「 年とれば故郷こひしいつくつくぼうし 」
「 こんなにうまい水があふれてゐる 」
「 しみじみ食べる飯ばかりの飯である 」
「 うしろすがたのしぐれてゆくか 」
「 鉄鉢の中へも霰 」
「 よい湯からよい月へ出た 」
「 月が昇つて何を待つでもなく 」
「 かさりこそり音させて鳴かぬ虫が来た 」
「 水をへだててをなごやの灯がまたたきだした 」
( 出典: 種田山頭火著 村上護 編 小崎侃・画 「 山頭火句集 」ちくま文庫 ㈱筑摩書房 刊 )

