”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

茶草場と在来茶

2013-07-28 08:03:23 | お勉強

掛川市の東山地区に行ってきました。

世界農業遺産に認定された茶草場を視察し、

この地に昔から伝わる在来茶を味わってきました。

Img_7440

 説明をしてくださった静岡大学の稲垣先生

 

 

●茶草場とは

この写真の中で、きれいに刈られたお茶の樹の間に、

少し緑色の濃い草地が見えると思います。

Img_7438   Img_7451

これが茶草場です。

主に生えているのはススキやササ。

11月~12月に枯れた草を刈って、干し、

1月~2月にそれを畑に敷きます。

 

こうすることで、有機物が増えて土が豊かになり、

お茶の味がよくなります。

 

この伝統農法は、掛川、菊川、島田、牧の原の4市と

本川根町で行われており、

このたび世界農業遺産に認定されましたが、

掛川の東山地区はその中心地です。

 

 

●茶文字の里、東山

粟ヶ岳の斜面に描かれた「茶」の文字。

Img_7441

霞んでしまって、わかりにくいかと思いますが、

目を凝らしてご覧ください。

まだ、携帯などの通信手段がなかった時代に、

手旗信号で位置を確認しながら、

植えられたそうです。

 

 

●在来茶「加久良(かくら)」をいただきました。

富士東製茶農業協同組合 青年部の方が

ていねいに淹れてくださいました。

Img_7445

 

Img_7446

 

上品な甘みと香ばしさ、深い味わいを感じます。

 

普通、お茶の樹は「さし木」で増やしていきますが、

在来茶「加久良」は、お茶の実から苗を作り、

それを植えていきます。

それゆえに、樹の成長にばらつきが出やすく、

育てにくいそうです。

茶業技術が進歩したとは言え、

そのような中で、一定の味を保っていく努力は

並大抵のものではないと思います。

 

 

●茶草場の最大の魅力

茶草場には、多様な動植物が生息しています。

この東山地区には、秋の七草がすべてそろっています。

また、「カケガワフキバッタ」など、地名が名前に入った

珍しい昆虫もたくさん暮らしています。

 

珍しい動植物が生息している地域なら、

他にもたくさんありますが、

農業のために守られてきた草地が

結果的に生物を守ることにつながったという点が

世界的にも評価を受け、

世界農業遺産として認定されたのだそうです。

 

 

今まで、茶草場という言葉を聞いても、

どの部分を指すのか、

私自身、明確にわかっていませんでした。

でも、これから季節が進み、

茶園の中の茶草場を見るたびに、

あの枯草色を誇らしく思うことでしょう。

 

稲垣先生、

富士東製茶農業協同組合 青年部の皆さま、

ありがとうございました。

   
   

コメント
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