掛川市の東山地区に行ってきました。
世界農業遺産に認定された茶草場を視察し、
この地に昔から伝わる在来茶を味わってきました。
説明をしてくださった静岡大学の稲垣先生
●茶草場とは
この写真の中で、きれいに刈られたお茶の樹の間に、
少し緑色の濃い草地が見えると思います。
これが茶草場です。
主に生えているのはススキやササ。
11月~12月に枯れた草を刈って、干し、
1月~2月にそれを畑に敷きます。
こうすることで、有機物が増えて土が豊かになり、
お茶の味がよくなります。
この伝統農法は、掛川、菊川、島田、牧の原の4市と
本川根町で行われており、
このたび世界農業遺産に認定されましたが、
掛川の東山地区はその中心地です。
●茶文字の里、東山
粟ヶ岳の斜面に描かれた「茶」の文字。
霞んでしまって、わかりにくいかと思いますが、
目を凝らしてご覧ください。
まだ、携帯などの通信手段がなかった時代に、
手旗信号で位置を確認しながら、
植えられたそうです。
●在来茶「加久良(かくら)」をいただきました。
富士東製茶農業協同組合 青年部の方が
ていねいに淹れてくださいました。
上品な甘みと香ばしさ、深い味わいを感じます。
普通、お茶の樹は「さし木」で増やしていきますが、
在来茶「加久良」は、お茶の実から苗を作り、
それを植えていきます。
それゆえに、樹の成長にばらつきが出やすく、
育てにくいそうです。
茶業技術が進歩したとは言え、
そのような中で、一定の味を保っていく努力は
並大抵のものではないと思います。
●茶草場の最大の魅力
茶草場には、多様な動植物が生息しています。
この東山地区には、秋の七草がすべてそろっています。
また、「カケガワフキバッタ」など、地名が名前に入った
珍しい昆虫もたくさん暮らしています。
珍しい動植物が生息している地域なら、
他にもたくさんありますが、
農業のために守られてきた草地が
結果的に生物を守ることにつながったという点が
世界的にも評価を受け、
世界農業遺産として認定されたのだそうです。
今まで、茶草場という言葉を聞いても、
どの部分を指すのか、
私自身、明確にわかっていませんでした。
でも、これから季節が進み、
茶園の中の茶草場を見るたびに、
あの枯草色を誇らしく思うことでしょう。
稲垣先生、
富士東製茶農業協同組合 青年部の皆さま、
ありがとうございました。