昨年暮れ、変わった名前のキウィが売られていました。
その名も「クリームキウィ」。
果実はこんな感じです。
クリームキウィという品種名はないので、
問い合わせてみると、
どうもクリーミーな舌触りなので、
生産者さんがそう名付けて販売していたことが判明。
「正式な品種名を教えてください。」
とお願いしてから4ヶ月が経ちました。
そして、ようやく
「アップルキウィに似ています。」
「ゴールデンイエローではないかということですが、
それ以上はわかりません。」
「ファーストエンペラーではないかと思います。」
などのお答えをいただきました。
キウィは果肉が黄色のものでも、
似たようなものはたくさんあります。
・アップルキウィ
・ゴールデンイエロー
・ファーストエンペラー
専門家がこの3種で迷うということは、
この3種には育種の過程で、
共通する何かがあるに違いない!!
そこでキウィの品種改良について調べてみたのですが、
柑橘のように「○○と●●を交配」という資料が見当たらない!!
これにはキウィの歴史が関係していました。
キウィの原産地は中国。
中国では古くから知られていたのにもかかわらず、
品種改良はほとんど行われませんでした。
それが、20世紀初頭、中国からの旅行者により、
ニュージーランドに種が持ち込まれ、
品種育成が盛んに行われるようになりました。
日本には1960年代に、
初めてニュージーランドからキウィの種子が導入されました。
つまり、キウィには中国系のものと
ニュージーランドで育成されたものがあるのです。
さて、さきほどの3種のキウィは
いずれも中国系のかなり古い品種です。
導入経緯も育成経過もわかっていないのが実情だそう・・・。
もともと経済栽培されていない果物が
原産地とは違う場所で品種改良され、
世界中に広まっていった・・・
その経緯を考えると、
キウィはとてもミステリアスな果物に思えてきます。
日本国内での育種事例はまだまだ少ないと言われますが、
静岡県内にはキウィの品種改良に熱心に取り組まれている
生産者さんがたくさんいらっしゃいます。
「ジューシーでクリーミーだから、クリームキウイ。」
と思わず名付けてしまったという
ほのぼのとしたエピソードがきっかけで
多くのことを学ぶことができました。
JA遠州中央営農指導課様
キウイフルーツカントリーJAPAN様
静岡県果樹研究センター 落葉果樹課様
ありがとうございました。