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酒は止められるが、煙草はやめられないという思いについて書く。
わたしがタバコを吸い始めたのは高校を卒業して1年目の頃だったと思う。その頃は、中学生・高校生の頃からタバコを吸う連中がいて、わたしも父親のタバコで試してみたが咳き込んで吸えなかった。最近は喫煙権が脅かされている背景があるから、学生の喫煙事情がどうなっているかわからない。わたしもある意味硬派だったのか、タバコを吸おうと決めて吸い始めたように思う。職場では皆色々なタバコを吸っている。年寄りは新生とかバット、若葉などというタバコを吸い、若い連中はその他のタバコを吸っていた。ヘソマガリのわたしは一番強いタバコから吸い始め嗜好に合うタバコに落ち着こうと吸い始めた。両切りのピース、デラックスピース、ロングピース、デラックスハイライト、ハイライト、ホープ、ショートホープと吸っていき、普通のハイライトが一番自分に合っているように思いそのタバコに落ち着いた。長くハイライトを吸っていたが、40才半ばだったと思うが、禁煙風潮が高まるなか、ハイライトの臭いが急に臭いと思うようになってしまった。長く馴染んだハイライトをやめて次のタバコを探し始めた。結局フィルタに細工がしてある(縦方向に穴が開いている)ヴァンテージというタバコに落ち着いた。ニコチンだったか、タールだったか含有量が少ないわりにキツイ感じのタバコだったように思う。この煙草を吸う人は少なかったので自動販売機にないケースが多かった。欲しいときにないとないと腹立つタイプだから、またまた検討に入った。セブンスターとかマイルドセブンだけは吸わないと決めていたので、他のタバコに落ち着いたのだが銘柄は忘れてしまった。
こんなタバコ事情だったが、ある日血圧が203にまでなった。体重も78Kgあり、身体的にも精神的にも不健康な状況であった。そのとき、自分の命がいとおしくなり、長生きしたい、しなければならない、と思った。病院にいって高血圧と糖尿病予備軍、禁煙外来の治療を受け始めた。食事・運動などと連動させながら色々やったが、そのとき始めて喫煙をしていては意味がない、と考えやめることにした。禁煙外来の先生はわたしをカウンセラーの対象として腕を発揮しようとしたがその場はなかっただろう。吸うのも吸わないのもわたしの問題という意識があり、質問に対する答えも面倒で、素直でない患者だったろう。
つかの間禁煙できてもまた吸ってしまう、飲みにいって冗談で吸って喫煙習慣に戻るということをいちばん恐れていた。しかし、冗談で吸ってみたが、咳き込んで耐えられなくなり習慣化することがなくいまに至っている。
結局、タバコはやめられないと考えていたことは頭で考えていただけで、実際にやってみるとできるものだなというのが、いまの気持ちである。失敗するのはその気がないということか。
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「我がゆゑに妹歎くらし風速の浦の沖辺に霧たなびけり(#15.3615 安藝国アキノクニ風速カザハヤの浦に舶フネ泊てし夜、よめる歌二首)」
「吾のため妻は嘆くらし風早の浦の沖にと霧たなびけり()」
「沖つ風いたく吹きせば我妹子が歎きの霧に飽かましものを(#15.3616)」
「沖の風すごく吹いたら吾妹子の嘆きの霧に飽きないものを()」