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「建物の回りの雪を踏まないで滅多に降らぬ踏まないで雪(大殿のこの廻モトホりの雪な踏みそねしばしばも降らざる雪そ山のみに降りし雪そゆめ寄るな人やな踏みそね雪は)」
「大殿の この廻モトホりの 雪な踏みそね しばしばも 降らざる雪そ 山のみに 降りし雪そ ゆめ寄るな 人や な踏みそね雪は(雪の歌一首、また、短歌 #19.4227)」
「ありつつも見メしたまはむそ大殿のこの廻りの雪な踏みそね(反歌一首 #19.4228)」
「このままでご覧になれるよ建物の回りの雪を踏まないでくれ()」
「房前の言葉を受けて沙彌サミが詠む伝うる人は子君コキミ・廣繩(右の二首歌は、三形沙彌ミカタノサミが、贈左大臣藤原の北の卿マヘツキミ[房前]の語コトを承けて、作誦ヨり。聞き伝ふるは、笠朝臣子君カサノアソミコキミなり。また後に伝へ読む者ヒトは、越中国の掾マツリゴトヒト久米朝臣廣繩なり。)」
「新アラタしき年の初めはいや年に雪踏み平ナラし常かくにもが(天平勝宝三年 #19.4229)」
「新らしい年のはじめはこのように雪踏みならし飲みたいものよ()」
「家持の館で集宴ウタゲするときに殊に大雪四尺[120cm]積もる(右の一首歌は、正月の二日、守の館にて集宴ウタゲせり。その時零雪殊多ユキフリツムコト、積尺ヒトサカ有マリ四寸ヨキなりき。即ち主人大伴宿禰家持此の歌を作める。)」