9/27
「(十月の二十二日、左大弁紀飯麻呂キノイヒマロの朝臣が家にて宴する歌三首)」
「手束弓タツカユミ手に取り持ちて朝狩に君は立たしぬ棚倉の野に(#19.4257 右の一首は、治部卿船王の伝へ誦める、久邇クニの京都ミヤコの時の歌なり。作主ヨミヒトしらず。)」
「小型弓手に取り持ちて朝狩にあなたは行った棚倉の野に()」
「明日香川川門カハトを清み後れ居て恋ふれば都いや遠そきぬ(#19.4258 右の一首は、左中弁中臣朝臣清麻呂が伝へ誦める、古き京の時の歌なり。)」
「明日香川瀬が清らかで佇んで人々恋えば都そ遠き()」
「十月時雨の降れば我が背子が屋戸のもみち葉散りぬべく見ゆ(#19.4259 右の一首は、少納言大伴宿禰家持が、当時梨の黄葉モミチを矚ミて、此の歌を作めり。)」
「十月の時雨が降ればわが彼の庭のもみち葉散りよに見える()」